夜勤中に地震が起きたら?介護士の初動対応【非常災害時の対応に関する研修】
- 夜勤中の地震対応に不安がある介護職
- 地震発生時の初動対応を学びたい方
- 少人数の夜勤での役割分担に悩んでいる方
- 停電や火災などの二次災害に備えたい方
- 施設の防災対策やBCPを見直したい方
この記事を読むメリット
夜勤中に地震が起きたら、まず何をする?

大きな揺れを感じたとき、介護職が最初に考えるべきなのは、「急いで走って利用者さんのところへ行く」ことではありません。
まずは、自分自身の身を守ることです。
地震の揺れの最中には、棚や物品が倒れたり、窓ガラスが割れたりする可能性があります。
揺れている最中に慌てて移動すると、職員自身が転倒して負傷し、その後の介助ができなくなることもあります。
まずは身を低くし、頭を守るなど、自分の安全を確保します。
揺れがおさまったら、次に施設内の状況を確認します。
ここで大切なのが、「最初から全部確認しようとしないこと」です。
夜勤では職員数が限られているため、優先順位をつけて行動する必要があります。
まずは、
- 職員自身にけががないか
- 利用者さんにけがや転倒がないか
- 火災や煙が発生していないか
- 建物に明らかな危険がないか
- 停電や断水が発生していないか
を確認します。
揺れがおさまったら、利用者さんの安全を確認する
揺れがおさまったら、利用者さんの安否確認を行います。
夜勤の場合、全員がベッドで寝ているとは限りません。
トイレへ向かっている人、離床している人、認知症によって歩き回っている人などもいます。
そのため、「居室のベッドだけ確認すれば大丈夫」と考えないことが大切です。
居室、トイレ、廊下、食堂など、利用者さんがいる可能性のある場所を確認します。
また、安否確認では「返事があったから大丈夫」だけではなく、けがの有無や状態の変化も確認します。
例えば、転倒していないか、頭をぶつけていないか、出血していないか、呼吸状態に異常がないかなどを観察します。
特に注意したいのが、地震によってベッドから転落しているケースです。
暗い中で利用者さんを発見した場合、すぐに起こそうとするのではなく、けがの状態を確認してから介助します。
夜間に特に注意したい「転倒・転落・火災・停電」
夜間の地震では、単純に「揺れた」というだけでは終わらないことがあります。
例えば、地震によって家具が倒れたり、物品が落下したりすることで、居室や廊下が通りにくくなる可能性があります。
また、電気が止まれば施設内が一気に暗くなります。
夜勤者が普段の感覚で歩いていると、転倒する危険があります。
特に、
- 地震直後に無理にエレベーターを使わないこと
- 破損したガラスや倒れた家具の近くを通らないこと
- 暗い場所へ急いで移動しないこと
は重要です。
さらに、地震後には火災が発生していないか確認します。
煙や火災を確認した場合は、施設の消防計画やBCPに従い、通報・初期消火・避難などを行います。
介護施設では、利用者さんの身体状況によって避難に時間がかかります。
そのため、「火事が起きてから避難方法を考える」のではなく、普段から誰を優先してどのように移動させるのかを決めておくことが重要です。
認知症の利用者さんにはどう対応する?
地震後の対応で難しいのが、認知症の利用者さんへの声かけです。
夜間に突然大きな揺れが起こり、停電まで発生すると、普段と違う環境になります。
「ここはどこ?」「何が起きたの?」「家に帰らないと」
と不安になる方も考えられます。
このような場合、介護職が大声で慌てて説明すると、かえって不安を強めてしまうことがあります。
例えば、
「大きな揺れがありました。でも、ここにいますから大丈夫ですよ」「今、職員が確認しています。一緒に待ちましょう」など、短く、落ち着いた声で伝えます。
特に夜間は、照明が消えることでさらに不安が強くなることがあります。
必要に応じて懐中電灯などを使い、利用者さんのそばで安心できる声かけを行います。
また、普段から地震や停電が起きた場合に不安が強くなりやすい利用者さんを把握しておくことも、夜勤帯の備えになります。
職員が少ない夜勤だからこそ、優先順位を決めて動く
夜勤中の災害対応で、現場が混乱しやすい大きな理由の一つが、「やることが多すぎる」ことです。
利用者さんの安否確認、設備確認、電話連絡、家族対応、職員への連絡、物資の準備など、同時にいろいろな仕事が発生します。
しかし、夜勤職員が2人、3人しかいない状況で、すべてを同時に行うことはできません。
だからこそ、何を最優先するのかを事前に決めておくことが重要です。
夜勤では、例えば、
「1人は利用者さんの安全確認」
「1人は施設設備や火災・停電状況の確認」
「確認後に管理者などへ報告」
というように、役割を分担しておくと動きやすくなります。
もちろん人数や役割は施設によって異なります。
大切なのは、「その場で相談して決める」のではなく、事前に施設のBCPや夜勤体制に合わせて決めておくことです。
地震後の停電・断水・エレベーター停止への対応
大きな地震の後には、停電、断水、通信障害、エレベーター停止などが発生する可能性があります。
つまり、地震への対応だけでなく、「地震によって起きた二次的な問題」への対応も必要になります。
例えば停電すれば、照明だけでなく、ナースコール、空調、通信機器、医療・介護機器などにも影響する可能性があります。
また、断水した場合には飲料水と生活用水を分けて考え、トイレについても簡易トイレやおむつなどの代替手段を準備しておくことが示されています。
夜勤者としては、すべてを一人で判断するのではなく、
「今、何が止まっているのか」「利用者さんへの影響は何か」「施設として優先するべき対応は何か」を確認しながら動くことが重要です。
特にエレベーターが停止した場合は、閉じ込めや設備の状態を確認し、無理に扉を開けようとせず、施設の手順や保守会社、消防などへの連絡基準に従います。
普段から夜勤者が確認しておきたい地震対策
災害対応は、地震が起きた瞬間に始まるものではありません。
実際には、夜勤に入る前から準備しておくことがたくさんあります。
厚労省は、BCPについて「作成しただけ」では実効性がなく、平時から研修や訓練を行い、課題を見つけて見直していくことが重要だとしています。
特に夜勤者は、次のことを確認しておきたいところです。
- 懐中電灯や非常用照明の場所
- 非常階段・避難経路
- 消火器の場所
- 非常用電源や発電機の位置
- 簡易トイレや非常食などの備蓄場所
- 施設のBCP・災害時マニュアル
- 夜間の連絡網
- 管理者・責任者への報告方法
- エレベーター停止時の対応
- それぞれの利用者さんの避難・移動方法
そして、できれば一度は夜勤を想定して実際に訓練してみます。
夜間は、昼間とは条件が違います。
職員が少ない。暗い。利用者さんが寝ている。応援職員がすぐ来られない可能性がある。
こうした状況を想定して、一度でも訓練しておくことで、実際の災害時に「次に何をするのか」を考える時間を減らすことができます。
おわりに
いかがだったでしょうか。
夜勤中の地震では、突然、多くのことが起こります。
停電、転倒、設備の破損、火災、通信障害、断水など、地震そのものだけでなく、その後に発生する問題にも対応しなければなりません。
だからこそ大切なのは、その場で頑張って判断することではなく、平常時から「どう動くか」を決めておくことです。
まず自分の安全を確保する。
揺れがおさまったら利用者さんと職員の安否を確認する。
次に建物や設備の被害を確認する。
そして、限られた職員で優先すべき業務に取り組む。
この流れを夜勤職員全員で共有しておきます。
「夜勤中に震度6クラスの地震が起きたら、うちの施設では誰が何をする?」「自分が夜勤責任者だったら、最初の10分で何を確認する?」
一度、夜勤職員同士で話し合ってみてください。
実際の災害時に大切なのは、完璧な対応よりも、迷わず最初の一歩を踏み出せる準備です。
夜勤だからこそ、平時から備えておく。
それが、災害から利用者さんの命と生活を守るための重要な取り組みです。
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