とも
とも
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。「職員同士のLINEなら大丈夫?」という疑問をもとに、介護現場での個人情報共有のリスクと、安全に情報を伝えるためのルールや対策を学びます。
この記事はこんな方におすすめ
  • 利用者情報をLINEで共有してよいのか迷っている方
  • 介護現場での個人情報の取り扱いを学びたい方
  • LINEの誤送信や情報漏えいを防ぎたい方
  • 職員間の情報共有ルールを見直したい管理者・リーダー
  • 個人情報保護研修の資料を探している方

筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

読者さんへの前おきメッセージ

職員同士の連絡、情報の共有をLINEなどのメッセージアプリで行う現場が増えています。

「明日の送迎変更を伝えたい」「利用者さんの体調変化を夜勤に伝えたい」など、LINEは手軽で便利です。

一方で、利用者さんの氏名や病気、介護内容などをLINEで共有することには注意が必要です。

この記事では、介護職が知っておきたい「LINEと個人情報保護」について、厚生労働省・個人情報保護委員会のガイダンスをもとに、現場で起こりやすい事例を交えながら解説します。

この記事を読むメリット

  • 利用者情報をLINEで共有する際の注意点がわかる
  • 情報漏えいにつながる具体的な事例と予防策が学べる
  • 個人情報を安全に共有するための5つのポイントが身につく

 

それでは早速みていきましょう。

利用者情報をLINEで共有しても大丈夫?

スマートフォンの真ん中にビックリマークがある

まず結論からいうと、「LINEだから絶対にダメ」「LINEなら自由に使っていい」という単純な話ではありません。

重要なのは、利用者さんの個人情報を「何のために」「誰が」「どのような方法で」扱うのかです。

個人情報保護委員会と厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」では、介護事業者に対して、個人情報を適切に取り扱い、安全に管理することが求められています。

つまり、LINEを使うこと自体を一律に禁止するのではなく、施設として安全な情報共有の方法を決め、それを職員が守ることが重要です。

介護現場でLINEが使われるようになった理由

私の周りでも、職員同士の連絡手段としてLINEなどの便利なツールを使いたいという声を聞くことがあります。

介護現場は、全職員が同じ時間に集まるわけではありません。

早番、遅番、夜勤、休日の職員がいるため、「今日のうちに伝えておきたい」という情報もたくさんあります。

例えば、

「○○さん、午後から発熱があります」

「明日の送迎時間が変更になりました」

「△△さん、ご家族から連絡がありました」

など、申し送りだけでは伝えにくい場面があります。

LINEならすぐに送ることができるため、便利に感じるのも当然です。

しかし、「便利だから使う」という理由だけで利用者情報を送ってよいわけではありません。

便利さと個人情報保護を両立させることが必要です。

LINEで共有するときに注意したい利用者情報

介護施設が扱う情報には、氏名や住所だけでなく、介護の内容や健康状態など、非常に多くの個人情報が含まれています。

また利用者さん個人の情報だけでなく、ご家族に関する情報なども扱います。

特に注意したいのが、病歴、身体状況、障害の有無、治療や健康に関する情報などです。

これらは「要配慮個人情報」に該当する場合があり、通常の個人情報よりも慎重な取り扱いが必要です。

そのため、

「○○さんは認知症が進行している」

「○○さんは糖尿病がある」

「△△さんは失禁が増えている」

といった内容を、職員個人のスマートフォンから気軽に送ることは避けるべきです。

こんなLINE共有は避けましょう

例えば、職員同士のグループLINEに、

「○○さん、今日トイレで転倒しました。認知症が進んでいるので注意してください」

というメッセージを送ったとします。

本人のケアに必要な情報を共有したつもりでも、ここには氏名、事故情報、認知症に関する情報など、複数の個人情報が含まれています。

また、グループに誰が参加しているのか、退職者が残っていないか、間違った相手に送信していないか、といった問題もあります。

「職員同士だから大丈夫」と考えるのではなく、必要な人に、必要な情報だけを、適切な方法で伝えることが大切です。

なぜLINEでの情報共有が問題になるのか?

問題は「LINEというアプリだけ」にあるわけではありません。

例えば、個人情報を扱うスマートフォンを紛失した場合、その端末から情報が漏れる可能性があります。

個人情報保護委員会のガイダンスでは、個人データの盗難・紛失を防ぐため、機器の管理や、スマートフォン・パソコンなどの記録機能を持つ機器について必要な制限を行うことが示されています。

また、個人データを扱う情報システムについて、IDやパスワードなどによる認証、業務上必要な範囲に限定したアクセス管理などの安全管理措置も求められています。

つまり、

「スマホを落とした」

「間違ったグループに送った」

「退職した職員がグループに残っていた」

「家族に見られた」

といった場合にどうするのかまで考えておく必要があります。

LINEヤフーの情報漏えい事例から考える

LINEについて考えるとき、過去に発生した情報漏えい事案も参考になります。

個人情報保護委員会は、LINEヤフーについて、不正アクセスにより約52万人分の個人データについて漏えい等のおそれが生じた事案を公表しています。

原因の一つとして、業務委託先のPCがマルウェアに感染したことを契機とした不正アクセスが挙げられています。

この事例は「介護施設がLINEを使うことは危険」という意味ではありません。

むしろ、どのようなITサービスでも、情報を扱う以上、セキュリティ上のリスクをゼロにはできないということを考える材料になります。

だからこそ、施設側が「どの情報を、どの端末から、誰に共有するのか」を明確にしておく必要があります。

職員個人のスマホを使ってもいい?

ここは特に現場でルールを決めておきたいポイントです。

職員個人のスマートフォンを業務に使用すると、施設側で管理できない部分が増えます。

例えば、スマートフォンを紛失した場合、パスコードは設定されているのか、利用者情報が端末に残っていないか、退職時にデータが残っていないかなどの問題があります。

そのため、施設としては、

「職員個人のスマートフォンでは利用者情報を送らない」

「業務用端末だけを使用する」

など、施設の状況に合ったルールを決めておくことが重要です。

「緊急だからLINE」は大丈夫?

介護現場では、「今すぐ伝えないと困る」という場面もあります。

例えば、利用者さんが転倒した、急に体調が悪くなった、ご家族から重要な連絡が入った、といったケースです。

このような場合でも、「緊急だから何を送ってもいい」と考えるのは危険です。

個人情報保護法には、生命、身体、財産を守るために必要で、本人の同意を得ることが困難な場合など、一定の例外があります。

ただし、これは「緊急ならLINEで自由に共有してよい」という意味ではありません。

本当に緊急性がある場合は、電話や施設の緊急連絡網、業務用システムなど、施設で定めた方法を優先することが大切です。

安全に情報共有するための5つのポイント

現場では、次の5つを意識すると分かりやすいです。

①本当に共有する必要がある情報か

「知っておいたほうがいい」ではなく、「業務上必要なのか」を考えます。

②誰に送る必要があるのか

職員全員に送る必要がなければ、対象者を限定します。

③必要以上の情報を書かない

氏名、病気、家族情報などを必要以上に書かないようにします。

④施設が認めた方法で共有する

個人LINEなどを職員が自己判断で使用するのではなく、施設のルールに従います。

⑤送信前に一度確認する

「相手は合っているか」「内容は合っているか」「この情報を送る必要があるか」を確認します。

この「送信前のひと呼吸」が、誤送信を防ぐ大切な習慣になります。

事例で考える「このLINE共有はOK?NG?」

ここでは、研修で使いやすい事例を3つ紹介します。

事例①「明日の送迎変更」

「明日、○○さんの送迎時間が10時から11時に変更になりました」

一見、問題なさそうに感じます。

しかし、個人LINEで送るのではなく、施設が認めた業務用の連絡手段を使うことが基本です。

事例②「利用者さんが転倒した」

「○○さん、さっき廊下で転倒。右足を痛がっています。認知症もあるので注意してください」

このような情報は、ケアに必要な情報を含んでいます。

ただし、グループLINEに何となく投稿するのではなく、まず施設で定めた事故報告や申し送りのルールに従うことが重要です。

事例③「利用者さんの写真」

「今日のレクリエーションで○○さんが楽しそうでした!」

写真付きで職員LINEに投稿するケースです。

写真も個人を識別できる情報になり得ます。

個人情報保護委員会のガイダンスでは、顔画像なども個人情報に含まれるとされています。

「施設内だけだから大丈夫」と自己判断せず、写真の撮影・利用・共有について施設のルールを確認しましょう。

施設で決めておきたいLINE利用ルール

個人情報保護は、職員一人ひとりの注意だけに任せるのではなく、施設として仕組みを作ることが重要です。

例えば、

「利用者情報を個人LINEで送らない」

「業務連絡に使えるアプリを施設で指定する」

「利用者さんの写真を個人端末に保存しない」

「退職者はグループから速やかに削除する」

「誤送信した場合の報告先を決める」

といったルールを事前に決めておきます。

「気をつけましょう」だけではなく、誰が見ても判断できる具体的なルールにすることが大切です。

LINEを禁止するだけでは、個人情報保護にならない

ここで大切なのは、「LINEを禁止すれば個人情報問題は解決する」と考えないことです。

LINEを使わなくても、個人情報を含んだメールを誤送信したり、紙の資料を置き忘れたり、電話で他の人に聞こえるように利用者情報を話したりする可能性があります。

個人情報保護で重要なのは、特定のツールを禁止することだけではありません。

「必要な情報を、必要な人に、安全な方法で伝える」

この考え方を職員全員で共有することが基本になります。

介護現場では情報共有が欠かせないからこそ、「伝えないこと」ではなく「安全に伝えること」を考える必要があります。

研修で考えてみよう

個人情報保護研修では、職員に一方的にルールを説明するだけでなく、実際の事例について考えてもらう方法がおすすめです。

例えば、

「夜勤中に利用者さんが転倒。次の勤務者にLINEで伝えてもいい?」

「ご家族から電話があったことを職員グループに送ってもいい?」

「利用者さんの写真を職員LINEに送ってもいい?」

などのケースを出します。

そして、「OK」「NG」だけで終わらせず、

なぜそう判断したのか、どの方法なら安全に共有できるのか、まで職員同士で話し合います。

こうすることで、単なる知識ではなく、日常の業務で判断する力につながります。

おわりに

いかがだったでしょうか。

介護現場では、職員同士の情報共有は欠かせません。

LINEなどの便利なツールも、使い方を適切に考えれば業務を効率化する手段になります。

一方で、利用者さんの氏名や健康状態、介護内容などは大切な個人情報です。

「職員同士だから大丈夫」「急いでいるから仕方ない」と自己判断せず、施設で決めたルールに沿って取り扱うことが重要です。

個人情報保護で大切なのは、「送っていいか」だけではなく、「誰に、何を、どの方法で伝えるのが適切か」を考えることです。

今回の記事を、職員同士でLINEなどの情報共有について考える研修資料として活用していただければと思います。

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介護士の資格取得/スキルUP/転職について記事を書きています。 作業療法士/介護福祉士/ケアマネージャー資格等の保有