「虐待を防ぐ」という視点はとても大切です。
普段は意識していなくても、知らず知らずのうちに不適切な対応をしてしまっている可能性もゼロではありません。
この自己点検チェックシートは、利用者さんの尊厳を守るために、日々のケアや職場環境を振り返るきっかけとして作成しました。
小さな違和感や気づきが、大きなトラブルを未然に防ぐ力になります。
まずは肩の力を抜いて、自分自身を見直すつもりで活用してみてください。
この記事を読む価値
- 簡潔にまとめられています。
- 各々チェック項目を見直し、それについて議論することで研修にすることができます。
- 極力、難しい表現は避けてあります。
早速、見ていきましょう。
自己点検チェックシート

このチェックシートは、高齢者へのケアが適切に行われているか、虐待や不適切な対応がないかを見直すための自己点検ツールです。
介護施設などの現場で働く職員の皆様が、自分たちのケアのあり方を見直し、よりよい介護環境をつくるためにお役立ていただけます。
「こんなことないかな?」「これは大丈夫かな?」と自分自身やチームで話し合いながら活用してください。
チェックにあたっては、「少しでも気になる」「当てはまるかも」と思った項目にチェックを入れ、あとで見直したり、話し合いの材料にしたりしましょう。
また、チェックシートを定期的に活用することで、ご家庭での虐待をいち早く気づくきっかけにもなります。
チェックシートには、実際の虐待事例や厚生労働省・自治体などが発信している資料をもとに、具体的な兆候(サイン)や行動パターン、職員・組織にありがちな傾向をわかりやすく整理しています。
ぜひ、ご活用ください。
利用者さんの状態や様子から見えるサイン
【身体的虐待の兆候】
☑ キズやアザが頻繁に見られる(とくに太ももの内側や腕の内側など、普通はぶつけにくい場所)
☑ 火傷や火傷跡がある
☑ 「家にいたくない」などの訴えがある
☑ 説明のつかないケガや、説明があいまいな場合
☑ 医療や福祉関係者との接触を避けようとする
☑ 歩行が不自然になる、座るのが困難になる(性的虐待の可能性も)
【心理的虐待の兆候】
☑ おびえる、叫ぶ、泣くなどの行動
☑ 睡眠障害や悪夢
☑ 無表情、無関心、感情の起伏が少なくなる
☑ 自傷行為や拒食・過食
☑ ひと目を避けるようになる
【ネグレクト(介護放棄)の兆候】
☑ 衣服や寝具が汚れているまま
☑ 異臭がする、住環境が著しく不衛生
☑ 食事が適切に与えられていない
☑ 医療にかかっていない、薬が処方されていない
☑ 栄養失調、脱水症状
☑ 家庭内から怒鳴り声や物音が頻繁に聞こえる
☑ 郵便物がたまっている、電気メーターが動いていない
☑ 高齢者が一人で長時間外にいる
【経済的虐待の兆候】
☑ 年金や収入があるのに「お金がない」と訴える
☑ 自由にお金が使えない
☑ サービスの支払いがされていない
☑ 通帳を取り上げられたと訴える
☑ 高齢者の財産を無断で使用・売却されている
【性的虐待の兆候】
☑ 肛門や性器まわりのキズや痛みの訴え
☑ 急におびえる、極度の恐怖心
☑ 不自然な歩き方や座り方
☑ 排泄の失敗に対する懲罰的な対応
☑ 性的な言葉や映像を見せるなど
介護従事者の行動・考え方に関する項目
☑ 利用者の意思よりも職員の都合でケアをしてしまっている
☑ 時間がないからと全介助してしまい、自立を妨げている
☑ 同じ話を何度もする利用者にイライラして強く当たる
☑ 排泄の失敗を笑ったり、他の人の前で話題にしてしまう
☑ 子ども扱いする、上から目線の話し方をしてしまう
☑ 感情(とくに怒り)を抑えられない場面がある
☑ 認知症についての理解が浅く、対応に困っている
☑ 利用者の体調や性格に合わせたケアができていない
☑ 身体拘束を安易に使ってしまう傾向がある
☑ 同意なしでケアをしてしまうことがある
☑ 法令や契約内容に反するようなケアをしていないか不安になる
☑ 不適切なケアについて、自分自身で振り返る機会がない
☑ 「仕方ない」「皆がやっている」と言い訳していないか
☑ 他人からの指摘や助言を受け入れにくくなっている
組織や職場の環境に関する項目
☑ 組織の理念や方針があいまい、または共有されていない
☑ 人員不足で職員のストレスや疲労が蓄積している
☑ 職場内の人間関係が悪く、報告・相談がしづらい
☑ 職員への倫理教育や研修が不足している
☑ 仕事の役割があいまい、責任の所在が不明確
☑ 情報共有の仕組みがなく、ケアの連携がとれていない
☑ 不適切なケアが黙認されるような雰囲気がある
☑ 利用者や家族との情報共有が不十分
☑ 職員のストレスを軽減する取り組みが不十分
☑ 虐待防止に関する方針・指針が明確でない
☑ 虐待防止委員会や研修が実施されていない
チェック結果の活用方法
このチェックシートを通して気づいたことは、小さなことでも見逃さず、次の行動につなげましょう。
- 気になる点があれば、早めに同僚や上司と共有し、対応を話し合う
- 外部の研修や勉強会に参加して、ケアの質を高める
- 組織として、働きやすくストレスの少ない環境を整える
- 利用者さんや家族の声を聞き、信頼関係を築く
- 「自分たちのケアはこれでいいのか?」と定期的に振り返る習慣を持つ
虐待が疑われる場合の相談先
もし虐待のサインを発見した場合は、ひとりで抱え込まず、必ず専門機関へ相談しましょう。
相談先:
- 地域包括支援センター(各市区町村に設置)
- 市町村の高齢者虐待対応窓口 → 通報者が特定されないよう配慮されます。守秘義務も守られます。
- 法務省「みんなの人権110番」など
通報は「虐待かもしれない」と感じた段階で可能です。
証拠は必要ありません。
高齢者虐待防止法では、通報義務が定められています(緊急性がある場合)。
おわりに
いかがだったでしょうか。
チェックシートを通して、「もしかしたら…」と感じることがあったなら、それはとても大切な気づきです。
介護の現場は忙しく、時に感情的になってしまうこともあります。
しかし、私たちの一番の使命は、利用者さんの安心と尊厳を守ることです。
小さな違和感を見逃さず、チームで共有し、必要な改善に取り組むことが、よりよいケア環境をつくる第一歩になります。
今日のチェックを、これからの自分たちのケアの質を高めるきっかけにしていきましょう。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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