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- 資料作成を急いでいる、でもちゃんと伝わる内容にしたい
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- 去年と同じ内容じゃまずいよな…
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そもそも「事故報告」とは?

利用者さんの転倒や誤嚥(ごえん)など、思わぬ事故は時々生じてしまいます。
そうした事故が起きたときに、事実を記録して上司や関係者に伝え、必要に応じて市町村に報告することを「事故報告」と言います。
事故報告書には事故の内容や状況を詳しく書き込み、その情報をもとに職場のみんなで事故原因を振り返って再発防止策を考えます。
特に、利用者さんが死亡したり骨折などで医師の治療が必要になった重い事故の場合は、市町村への報告が決まり(義務)になっています。
こうした制度は、事故を隠さず安全対策につなげるために作られています。
事故が起きたらすぐにやるべきこと
事故が起きたら、まず何よりも利用者さんの安全確保を優先します。
意識の有無や出血・骨折の有無を確認し、異変があればすぐに応急処置や救急搬送を検討します。
特に、状況に応じて次のように対応します。
- 意識がない → 迷わず119番通報し救急車を呼ぶ
- 軽い切り傷 → 清潔なガーゼで止血
- 打撲など → 冷やして腫れを防ぐ
次に、関係者への連絡を行います。
上司や看護師リーダーに事故発生を報告し、施設内でスタッフ全員に状況を共有します。
また、利用者さんの家族やケアマネジャーにも電話で連絡し、現在の状態を簡潔に伝えます。
その後、事故情報を記録します。
事故発生時刻・場所・利用者さんの様子・応急処置・家族への連絡内容と時刻などをメモしておきましょう。
最後に、これらの対応が終わったら、できるだけ早く事故報告書を作成します。
事故報告書の書き方:わかりやすく正確に伝えるには
事故報告書は公式様式を使うのが安心です。
厚生労働省の標準様式や自治体指定の様式があればそれを使いましょう。
書くときのコツは以下の通りです。
5W1Hで記入:
「いつ(When)・どこで(Where)・誰が(Who)・何を(What)・なぜ(Why)・どのように(How)」の視点で、事故の流れを時系列で整理します。
客観的に具体的に:
起こった事実だけを具体的に記載します。感情や推測は入れず、利用者さんや目撃者の言葉を「”…”」で引用すると状況が伝わりやすくなります。
簡潔で分かりやすい言葉で:
専門用語や略語は避け、短い文や箇条書きを使って書きます。文章を読みやすい順序に並べると、第三者にも事故の状況が伝わりやすくなります。
必要事項を漏れなく:
事故報告書には事故日時・場所・関係者(職員・利用者)の氏名、事故の経緯・状況、利用者さんのけがの状態、行った応急処置、事故後の対応(医療機関・家族への連絡内容など)、再発防止策の検討結果などを記入します。これらをもれなく書いておきましょう。
誤字脱字の確認と提出:
書き終えたら誤字脱字がないか確認し、速やかに上司や管理者に提出します。早めに提出することで、検討会などで共有する時間を確保できます。
これらのポイントを参考にすれば、第三者にもわかりやすく正確な報告書を作成できます。
報告をためらってはいけない理由
事故が起きたときは、必ず報告を行うことが大切です。
主な理由を挙げると以下の通りです。
再発防止に必要:
事故報告書がなければ、同じような事故が繰り返される可能性があります。報告書をもとに原因を分析し対策を立てることで、職場全体の安全を高められます。
信頼関係を守る:
利用者さんやご家族には事実を知る権利があります。事故を隠して後から知られると信頼を損ねてしまいます。起きたことは正直に報告し、しっかりと説明しましょう。
法令・制度上の義務:
特に利用者さんが亡くなったり大ケガをした場合、市町村への報告が決められています。介護事業者には事故の再発防止義務もあるため、この報告義務は避けられません。
職員自身を守る:
報告書は職員を守る証拠にもなります。ご家族から詳しい説明を求められたり、万一訴訟になった場合でも、事実を正確に記録しておくことで立場を守りやすくなります。
早期対応の重要性:
事故への対応が遅れると、利用者さんの症状が悪化するだけでなく、事業所や職員の責任が問われることがあります。事故を認めてすぐに報告し対処すれば、余計なトラブルを防ぎ、より冷静に対処できます。
事故を報告しない選択肢はありません。
怖いことやミスに思えても、積極的に報告することで職場全体で安全につなげていきましょう。
再発防止につなげる!事故報告の活かし方
事故報告は単なる手続きではなく、事故防止の糸口になります。
報告書を活かす方法は次の通りです。
カンファレンスで共有:
事故報告書をもとに職員会議やカンファレンスを開き、参加者全員で事故の原因や対策を話し合います。会議で決まった防止策は事故報告書にも追記し、次の実践に生かします。
原因分析と対策実施:
報告書の情報を分析し、同じ事故が起こらないよう対策を講じます。たとえば、同じ場所で転倒事故が多ければ、床に滑り止めマットを敷いたり、手すりを追加したりする環境改善が考えられます。
事例共有による教育:
報告書に記入した事例をスタッフ研修や朝礼で共有します。具体的な事例を知ることで注意点がイメージしやすくなり、「自分だったらどうするか」を考えるきっかけになります。事前に事故事例を学ぶことは、事故防止意識を高めるのに役立ちます。
定期的な見直し:
一度の報告で終わりにせず、複数の報告書をまとめて傾向を点検しましょう。定期的に事故報告書を振り返り、職員全員で安全対策の効果を確認する習慣を作ることで、職場全体の安全性が向上します。
これらの取り組みを続ければ、事故報告書を通じて現場の安全意識が高まり、同じような事故が起こりにくい職場づくりにつながります。
事故を未然に防ぐためにできること
事故を防ぐには、日頃からの準備も重要です。
具体的には次のような取り組みが効果的です。
リスクアセスメント:
利用者さん一人ひとりの身体状況や既往歴、生活環境を把握し、潜在的な事故リスクをあらかじめ洗い出します。定期的な評価・見直しを行い、必要な安全対策を計画しましょう。
施設環境の整備:
転倒事故を防ぐために、滑りやすい床には滑り止めマットを敷き、通路やトイレには手すりを設置します。照明を明るくし、段差をなくすなど、バリアフリーの工夫も大切です。
利用者への配慮:
歩行が不安な方には杖や歩行器を用意し、靴は滑りにくい適切なものを履いてもらいましょう。薬の副作用でふらつくおそれがある場合は服薬内容を調整します。利用者さんの身体機能に合わせた支援を心がけます。
誤嚥・誤飲予防:
嚥下機能に合わせて、とろみをつけた食事ややわらかい食形態にすることが有効です。食事中は姿勢を正してもらい、継続的に様子を観察して異変にすぐ対応できるようにします。
ヒヤリ・ハット報告:
実際に事故には至らなかったが「ヒヤリ」とした出来事も、重要な予防材料です。簡単な報告書様式を作り、職員がミスや危険に気づいたときに気軽に報告できる仕組みを作りましょう。報告された情報は全員で共有し、改善策を検討します。
職員教育と意識啓発:
夜間や見守りの手薄な時間帯など事故が起きやすい状況を把握し、必要に応じて人員配置を工夫します。定期研修や朝礼で安全注意点を確認し、日頃から声を掛け合ってお互いを助け合う雰囲気作りも心掛けましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
介護現場での事故報告は、単なる義務ではなく「安全を守る第一歩」です。
正しく報告し、チームで原因を振り返ることで、同じ事故を防ぎ、職場全体の信頼と安心が高まります。
報告をためらわず、学びの機会として前向きに活用することが大切です。
小さな気づきや「ヒヤリ」とした経験も、次の事故を防ぐ貴重な情報になります。
介護に関わる全員が事故を“共有し、防ぐ”意識を持つことで、より安全で温かい介護現場をつくっていきましょう。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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