とも
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こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。看取り期でも「楽さ」と「尊厳」を大切にした、褥瘡予防の実践ポイントをまとめた記事です。
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筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

読者さんへの前おきメッセージ

看取り期にある利用者さんにとって、褥瘡は大きな苦痛につながる可能性があります。

そして終末期のケアでは、「予防のために何をするか」だけでなく、「本人にとって楽であるか」「尊厳を守れているか」という視点が何より大切です。

無理な体位変換や過度な処置は、かえって苦痛を増やしてしまうこともあります。

本記事では、看取りケアの基本的な考え方をふまえながら、終末期における褥瘡予防のポイントを、現場ですぐ実践できる形で整理します。

利用者さん本人とご家族に寄り添った、やさしいケアを考えるヒントとしてお役立てください。

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看取りケアとは│余命期に寄り添うケアの基本

家族でおばあさんを看取っている

看取りケアとは、余命が数週間~数か月と判断された終末期(ターミナル期)にある患者・利用者に対して行うケアであり、目的は「治すこと」ではなく、苦痛の緩和とQOL(生活の質)の向上にあります。

医療現場では、余命が数か月と診断された段階からターミナルケアが始まり、症状が進むにつれて在宅や施設での看取りケアへと移行していきます。

看取りとは単に“亡くなる瞬間に立ち会うこと”ではなく、

  • ご本人が静かに人生を振り返れるよう支える
  • ご家族が不安なく寄り添えるよう整える
  • 穏やかな最期を迎えられる環境をつくる

といったプロセス全体を指します。

終末期では、身体の痛みや不安を和らげる緩和ケア的な視点が重要で、ご本人とご家族の「自分らしい最期」を尊重しながらケアを行います。

看取りケアは、残された時間をできる限り安楽に、その人らしく過ごせるよう支える大切な取り組みです。

褥瘡発生リスクが高まる理由

看取り期は身体機能が低下し、褥瘡が発生しやすくなる時期です。

まず、活動量や可動域の低下によって長時間同じ体位が続き、圧迫が持続しやすくなります。

歩行や座位が保てていた人でも、寝たきりになるほど活動性が下がるとリスクは大きくなります。

また、末期には意識低下や認知機能の低下により痛みや違和感を訴えられない場合も多く、自分で寝返りがうてなくなることが直接的な要因となります。

褥瘡ができやすい部位(好発部位)

  • 仰臥位:仙骨部(おしり中央)、後頭部、肩甲骨部、踵
  • 側臥位:大転子(腰)、膝の内側、耳介

褥瘡の好発部位

また、上体を起こす際に皮膚に“ずれ”や摩擦が生じ、血流が低下します。

高齢者の皮膚は乾燥しやすく薄いため、わずかな摩擦や湿潤でも損傷が起こりやすいという特徴があります。

さらに、栄養・水分不足も大きな要因です。

食欲低下、嘔吐、吸収障害などで低栄養になると皮膚や組織が薄くなり骨突出が目立ち、圧迫部位で褥瘡が発生しやすくなります。

低アルブミンの状態では浮腫が生じ、皮膚がより脆くなります。

また、排泄物や汗による湿潤は皮膚バリアを壊し、感染・炎症のリスクを高めます。

これらの直接要因に加え、看護・介護の人員不足など環境面の問題も褥瘡発生を助長します。

基本原則:苦痛の軽減と尊厳保持

繰り返しになしますが、看取りケアでの褥瘡予防の第一原則は、患者・利用者の苦痛を増やさないことです。

終末期では、痛みや不快感を与えないケアが最優先となるため、無理な体位変換や過度な刺激は避けます。

例えば、本人が「右を向いている方が楽」と感じている場合は、その姿勢を尊重しつつ、浮腫や骨の突出に配慮して自動体位変換マットやクッションで圧迫を逃がす工夫をします。

看取り期の褥瘡ケアで大切なのは、以下のような考え方です。

  • 痛みを与えないことを最優先にする
  • ご本人が楽と感じる姿勢を尊重する
  • 過度な体位変換より「部分的な圧抜き」を工夫する
  • クッションや体位変換マットで局所的な負担を軽減する
  • ご本人・ご家族の意向を踏まえたケアを行う
  • 自然な生命の流れを妨げない支援を目指す

褥瘡予防の実践ポイント

では次に、褥瘡予防の実践ポイントを4つの項目に分けて、具体的にお伝えします。

①体位変換の工夫

体位変換は通常2時間前後ごとに行うことが推奨されていますが、終末期ではご本人が楽に感じる姿勢を最優先しつつ、こまめな圧迫除去を心がけます。

対策としては以下のとおりです。

  • 左右・仰向け・うつ伏せなどを無理のない範囲で交互に行う
  • 「背抜き」「足抜き」など部分的な圧迫除去で血流を改善する
  • 体圧分散マットレス・エアマットレスを活用
  • 一か所ずつ圧を逃がす「スモールチェンジ」を取り入れる
  • 骨突出部(仙骨・かかと・大転子など)はクッションやタオルで保護する

これらの工夫により、負担をかけずに褥瘡の進行を防ぎやすくなります。

②スキンケア

終末期の皮膚は非常に脆弱なため、清潔保持と保湿、摩擦・ずれの予防が重要です。

  • 排泄後や発汗時は優しく汚れを拭き取る
  • 清拭はぬるま湯で行い、こすらず押さえるように洗う
  • 洗浄後はワセリンや保湿クリームで乾燥を防ぐ
  • おむつ使用時は頻回交換と皮膚洗浄を徹底
  • かぶれ・湿潤を避けるため、皮膚を清潔・乾燥状態に保つ
  • 刺激の強いナイロンタオルは使用しない
  • 下着やシーツのシワ、圧迫にも注意する

湿潤や摩擦を最小限にすることで皮膚障害の予防につながります。

③栄養・水分管理

良好な栄養状態は皮膚の修復力を高め、褥瘡予防に欠かせません。

  • タンパク質・ビタミン・鉄分を意識した食事
  • 食欲不振や嚥下障害がある場合はゼリー飲料・とろみ食・流動食を活用
  • 経口摂取が難しい場合は点滴や皮下輸液を検討
  • 皮下輸液は合併症が少なく終末期の水分補給に適している
  • 輸液の目的(脱水・せん妄改善など)をチームとご家族で共有しておく
  • 状況に応じて中止・再開可能であることも事前に説明

無理に栄養・水分を押し込まず、ご本人の負担にならない方法を選ぶことが大切です。

④ご家族への説明と共有

看取り期には、ご家族の不安や迷いが大きくなるため、自然な身体変化への理解を促すことが重要です。

  • 食欲減退・筋力低下・意識の混濁は自然な経過であると説明する
  • 「無理な点滴は負担になることがある」など過度な介入を避けるよう伝える
  • 褥瘡は動けなくなると一定のリスクがあるが、ケアで進行を遅らせることはできると説明
  • 小さな発赤でも早めに知らせてもらえるよう協力を依頼
  • 病状やケア方針は家族と密に共有し、チームで判断する(医師・看護師・介護職・栄養士など)

ご家族への丁寧な説明と共有は、安心感につながり、ケアチームと協力した看取りにつながります。

エンゼルケア時の皮膚保護と処置

死亡後のエンゼルケアでも、亡くなった方の皮膚の尊厳を守る配慮が欠かせません。

褥瘡がある場合は、まず創部周囲を丁寧に洗浄し、乾いたガーゼで患部を覆います。

浸出液が多いときは、フィルム材を貼った上で大きめの吸収パッドやおむつを用いて保護します。

この際、テープで強く固定せず、ずらしやすい状態を保つことが重要です。

その後、皮膚全体にワセリンなどの保湿剤を塗布し、乾燥や皮膚のはがれを防ぎます。

これらの処置は、主に次の目的があります。

  • 感染予防
  • 皮膚の損傷防止
  • 故人の尊厳を守るケアの提供

ケアを行う際は、ご遺族にも状況を説明しながら、故人を大切に扱う姿勢を示すことが大切です。

現場での工夫事例

では次に、現場での工夫事例を4つお伝えします。

体位調整の工夫例

体位変換が難しい方に対して「寝具を2~3時間ごとに少しずらすだけでも血流改善につながる」として、以下のような工夫が行われています。

  • マットレスの角度を20~30度ずつ変える
  • 枕やクッションを使って局所の圧迫を軽減する
  • 自動体位変換ベッドを導入し、介護者の負担を減らしつつ圧力分散を行う

無理な体位変換が難しい終末期でも、こうした“小さな調整”が褥瘡予防に効果的です。

スキンケアの工夫例

保湿剤を嫌がる方には、感触を和らげるための工夫がされています。

  • 入浴時に保湿成分のあるボディケア製品を使用して自然に保湿
  • 洗浄後、ワセリンを手のひらで温めてから少量ずつ塗布
  • 衣服は綿やガーゼなど柔らかい素材を選び、ゴムや縫い目が肌に当たらないよう調整

肌への刺激を最小限にしながら、保湿と清潔保持を両立しています。

栄養・水分管理の工夫例

終末期でも少量で栄養を摂れるよう、次のような工夫が行われています。

  • 高カロリーの介護食やサプリメントを少量ずつ摂取
  • ミキサー食・ペースト食・アイスクリームなど食べやすい形態に変更
  • 水分は氷やゼリーで補給しやすくする
  • 必要に応じ、医師と相談し在宅輸液を導入する

無理のない形で栄養と水分を確保し、体力低下や皮膚脆弱を軽減する工夫です。

家族参画の例

ご家族には、負担にならない範囲で具体的な関わり方を提案しています。

  • 赤みを見つけたらすぐ介護職に知らせてもらう
  • やさしく体を撫でるように拭くケアをお願いする
  • 全身清拭を一緒に行い、最期のケアに自然に参加してもらう

ご家族が関われる時間をつくることで、ケアへの理解や安心感が深まります。

これらの工夫を総合的かつ継続的に実践することで、看取り期であっても褥瘡の進行を最小限に抑え、利用者さんの苦痛緩和と尊厳ある最期の時間を支えることが可能になります。

おわりに

いかがだったでしょか。

看取りケアにおける褥瘡予防は、「できる限り防ぐ」こと以上に、「苦痛を与えず、その人らしさを守る」ことが大切です。

終末期では、体位変換やスキンケア、栄養管理のすべてにおいて、ご本人の楽さとご家族の思いを尊重した判断が求められます。

小さな圧抜きや保湿、声かけといった日々の積み重ねが、穏やかな時間につながります。

チームと家族が同じ方向を向き、最期まで安心して過ごせる環境を整えることが、看取りケアに関わる私たちの大切な役割です。

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介護士の資格取得/スキルUP/転職について記事を書きています。 作業療法士/介護福祉士/ケアマネージャー資格等の保有