- すぐに使える研修資料・マニュアル・事例などがほしい
- 資料作成を急いでいる、でもちゃんと伝わる内容にしたい
- 現場の職員が興味持ってくれるテーマって何?
- 去年と同じ内容じゃまずいよな…
- 研修担当じゃないけど、あの人に教えてあげたいな
なぜ入浴前後の血圧測定が必要なのか
高齢者は入浴時に血圧が大きく変動し、ヒートショックを起こす危険があります。
暖かい部屋から寒い脱衣所に移動すると血圧が上昇し、熱い湯に浸かると急激に低下します。
さらに立ち上がると一気に下がり、失神することもあります。
こうした急変は脳梗塞や心筋梗塞などの重大な疾患につながる恐れがあります。
加えて、入浴後は血圧低下でふらつき、濡れた床で転倒する事故も多いです。
実際、デイサービスでの転倒・転落事故の多くは浴室や脱衣所で起きています。
利用者さんの安全を守るためには、入浴前後の血圧測定で体調を把握し、リスクを早めに察知することが重要です。
入浴前の血圧チェックで知っておくべきポイント
入浴前の血圧測定は、安全に入浴するための重要なステップです。
測定は 「衣服を脱いで入る直前」 に行い、正しい姿勢で安静に測ります。
正確な測定と再確認:
測定タイミングが早すぎると実際の状態を反映しません。異常値が出たら体勢やカフの巻き方を確認し、再測定します。
平常値との比較:
個人差があるため、「いつもと比べてどうか」が重要です。日頃からバイタルを記録し、普段の値を基準に判断しましょう。
入浴中止の目安:
収縮期血圧が180mmHg以上または90mmHg以下の場合は入浴を控えるのが一般的です。研究では160/100mmHg以上で事故リスクが大きく上がるとのことです。最終判断は看護師や主治医と相談し、施設全体で基準を共有します。
体調の観察も重視:
顔色が悪い、息切れ、ふらつき、寒気などの症状がある場合は数値が正常でも注意が必要です。利用者さんの訴えをよく聞き、少しでも不調があれば無理な入浴は避けましょう。
情報共有と安全意識:
測定結果は記録し、介助スタッフ間で共有。「大丈夫だろう」と思い込まず、小さな変化も見逃さないことが事故防止につながります。
血圧のチェックは数字を見るだけでなく、利用者さんの体調全体を把握することが大切です。
こうした確認を丁寧に行うことで、入浴中のヒートショックや転倒事故を防ぎ、安全なケアにつながります。
入浴後の血圧チェックと観察ポイント
入浴後は血圧の変動が大きく、事故を防ぐための観察と測定が欠かせません。
湯上がりは血管が拡張して血圧が下がりやすく、急に立ち上がると起立性低血圧を起こしてふらつきや失神につながる危険があります。
入浴後の対応ポイント:
- 「急がず、ゆっくり立ち上がる」よう声をかけ、手すりや職員の支えを活用。
- 浴槽から上がった直後ではなく、数分休んでから血圧を測定する。
- タオルで体を拭きながら保温し、水分補給(コップ1杯)を促す。
観察すべき症状:
- めまい、ふらつき、顔色の悪さ、ぼんやりした表情
- 顔面蒼白、冷汗、脈が弱い、吐き気などのショック症状
注意が必要な変化:
- 入浴前と比べて収縮期血圧が20mmHg以上下がった場合は要警戒。
- 不調の訴えがある場合は座らせ、ブランケットで保温し、水分補給と再測定を行う。
入浴後の血圧値は必ず記録し、他職員と共有します。
降圧剤を服用している利用者さんでは、入浴後しばらくしてから血圧がさらに下がることもあるため、30分ほど経過観察することも大切です。
入浴直後だけでなく、その日の帰りまで注意を払い、安全な介助を心がけましょう。
測定結果の記録と情報共有
血圧測定の結果や入浴時の様子は、介護記録に正確に残し、チーム全体で共有することが安全なケアにつながります。
ポイントは次のようになります。
記録の基本:
- 血圧・体温・脈拍などは「入浴前〇〇mmHg、入浴後〇〇mmHg」と時間を明記。
- 利用者さんの状態や対応内容も具体的に記録(例:「ふらつきあり→座位安静・水分補給実施」)。
- 平常時との違い、判断根拠も付け加える。
記録と共有のタイミング:
- 測定・対応直後にできるだけ早く記録する。
- 曖昧な表現は避け、事実を客観的に記す。
- 入浴中止やヒヤリハット時は、記録と合わせて口頭でも職員全員に共有。
連携体制の強化:
- 送迎担当や他職員にも情報を伝えることで、利用者さんの体調を全員で見守れる。
- 必要に応じてケアマネジャー、看護師、主治医にも報告・相談。
ミス防止の工夫:
- バイタル記録表の定位置管理、ダブルチェックの習慣化。
- ICTツール活用でリアルタイム共有も有効。
正確な記録と情報共有は、誰が対応しても安全な介護を続けるための土台です。
日々の積み重ねが事故予防と信頼できるケアにつながります。
異常値が出たときの対応フロー
入浴中に血圧異常や体調の変化があった場合は、迅速で的確な対応が必要です。
①→⑥の対応フローを覚えておきましょう。
① 入浴の中止・中断
- 収縮期血圧180mmHg以上または90mmHg以下なら入浴を中止。
- 入浴中に気分不良や顔色の変化があればただちに中断し、安全を優先。
- 体を拭いて保温し、安静に休ませます。
② バイタル再測定
- 測定ミスの可能性を考え、再測定で確認。
- 異常が続く場合は次のステップへ。
③ 看護師・上長への報告
- 看護職や管理者に連絡し、数値と症状を具体的に伝達。
- 看護師不在時は緊急連絡先へ報告・指示を仰ぎます。
④ 利用者への声かけと観察
- 不安を和らげる声かけを行い、意識や症状を確認。
- 毛布や水分補給などの応急対応も行います。
⑤ 家族・ケアマネへの連絡
- 入浴中止やバイタル異常はご家族・ケアマネにも報告。
- 今後の注意点を共有します。
⑥ 救急搬送の判断
- 意識障害や重篤な症状がある場合は119番通報。
- 血圧が極端に高い・低い、呼吸異常などがあれば即搬送します。
緊急時は「おかしい」と感じた時点ですぐ中断し、連携して対応することが大切です。
日頃から役割分担を確認・訓練し、再発防止策も共有することで、より安全な入浴介助が可能になります。
チームで安全な入浴ケアを支える
高齢者の入浴を安全に行うには、看護・介護・リハビリのチーム連携が欠かせません。
まず、看護職と介護職の情報共有が基本です。
介護職が日々の血圧測定や体調の変化を記録・報告し、看護職が医療的な視点から判断をサポートします。
逆に主治医や看護師からの注意点も全員で共有し、現場の対応に活かします。
リハビリ職との連携も重要です。
利用者さんの身体機能に合わせ、入浴前の運動や浴槽への出入り方法の工夫を提案してもらうことで、転倒や血圧変動のリスクを減らせます。
また、入浴中のヒヤリ・ハットや血圧異常はチームで共有し、カンファレンスで原因や改善策を話し合います。
新人職員への教育も重視し、全員が安全に対する意識を持つことが大切です。
何より「血圧チェックは形式ではなく命を守るための習慣」という共通認識が必要です。
忙しさを理由に省略することなく、一つひとつ確実に行う姿勢を徹底します。
危険を予測する意識を全員が持ち続けることで、安全な入浴介助の体制が整います。
おわりに
いかがだったでしょうか。
忙しい中、入浴前後の血圧測定は大変ですが、高齢者の命を守る大切な一歩です。
数値の変化に気づき対応することで、ヒートショックや転倒事故を防げる可能性があります。
「この数値で本当に安全か?」と確認する意識を持ち続けましょう。
血圧の情報をチームで共有し、「今日はやめましょう」「ゆっくり休みましょう」と声をかけ合える雰囲気づくりが大切です。
入浴介助は生活に潤いを与える大切なケアです。
数字を見るだけでなく、利用者の命と健康を守る“見守り”として血圧測定を根付かせ、チーム一丸で安全な入浴サービスを守りましょう。
【介護事業所の必須研修資料一覧(2025年度版)】
お知らせ①介護サービスごとにわかりやすく、情報公表調査で確認される研修と、義務づけられた研修を分けて記載しています。
また、それに応じた研修資料もあげています。研修資料を探している方は、ぜひ参考にしてください。
【介護職の方へ!老後とお金の不安を解消する方法!】
お知らせ②介護職の仕事をしていると、低賃金や物価の高騰、そして将来に対する漠然とした不安がついて回ります。
特に独身の方は老後の生活費や年金に対する不安が大きいのではないでしょうか?
下記のブログは、そんな不安を解消するために実践すべき7つの方法です。
少しの工夫と努力で、将来の不安を減らし、安心した未来を作るための第一歩を踏み出してみましょう! 詳しくはこちらの記事をご覧ください。