虐待を未然に防ぐ仕組みづくり│見守りネットワークの活用方法【高齢者虐待防止研修】
- すぐ使える研修資料がほしい
- 急ぎでも伝わる資料を作りたい
- 職員が興味を持つ研修テーマは?
- 去年と同じ内容ではまずい…
- 研修担当じゃないけど伝えたい
高齢者虐待は、何か問題が起きてから対応するだけでは、防ぎきることができません。
日々の支援の中で感じる小さな違和感や気づきを、そのままにせず、早めに共有し、必要な支援につなげていくことが大切です。
令和7年度の国の調査では、介護職員やご家族による虐待の相談や通報が増えています。
また、施設職員によるケースでは、グレーではなく完全に「虐待」と認められる割合も高くなっています。
この研修では、虐待を特定の職員の問題として終わらせず、事業所全体、地域全体で予防する視点を確認します。
いざという時に迷わないよう、通報・記録・連携・会議の流れを共通の「型」として整理し、見守りの連携が日常的に動く状態を目指します。
この記事を読むメリット
- 虐待を未然に防ぐための考え方が整理できる
- 見守りネットワークを現場でどう使うかが分かる
- 迷わず動くための対応の型がつかめる
それでは早速みていきましょう。
高齢者虐待の基本と現状

高齢者虐待防止を考えるうえで、まず大切になるのが、「虐待にはどんな種類があるのか」「どこまでを虐待として考えるのか」という共通理解です。
高齢者虐待は大きく5つに分けて整理しています。
これは、ご家族による虐待でも、介護施設の職員による虐待でも、基本的な考え方は同じです。
【内容】
- 身体的虐待
- 介護や世話の放棄・放任
- 心理的虐待
- 性的虐待
- 経済的虐待
ここで押さえておきたいのは、「はっきりした証拠がある時だけ対応する」のではないという点です。
「虐待を受けたかもしれない」と感じた段階で、早めに相談や共有につなげることが大切です。
また最近の傾向として、正しい手続きを踏まない身体拘束などが、一定の割合で続いていることが分かっています。
その背景には、知識や意識の不足、職員のストレスや感情コントロールの難しさ、理念や倫理観の共有不足などが挙げられています。
つまり、虐待を防ぐためには、介護技術だけでなく、職場の雰囲気や学び合える環境、相談しやすさがとても重要になります。
仕組みづくりを支えるルール
虐待を防ぐしくみは、現場の善意や努力だけに頼ると続きません。
あらかじめ、地域と連携するための基本ルールを決めておくことが大切です。
そもそも市町村には、関係機関や民間団体と協力して支援体制を整える役割があります。
地域包括支援センターなどとの連携も、制度上あたり前の取り組みです。
そして現場で特に大切なのは通報の考え方です。
法律では、虐待の「可能性」があれば市町村へ通報することが求められています。
さらに、虐待対応では守秘も欠かせません。
通報者が特定される情報は守られることになっており、現場でもケース検討や連携の場では、必要な範囲に絞って情報を扱う姿勢が求められます。
最後に、事業所側にも虐待防止の体制整備が求められています。
委員会の開催や指針の整備、研修の実施、担当者の配置といった取り組みは、形だけでなく、日常の支援につなげていくことが重要です。
見守りネットワークの設計図
「見守りネットワーク」は、ただ連絡先を並べることではありません。
市町村は地域の実情に合わせて、「3つネットワーク」の構築を推奨しています。
①早期発見・見守りのネットワーク
②保健医療福祉サービス介入のネットワーク
介護事業所やケアマネージャー、医療機関、保健センターなどがチームを組み、起きている問題に対応するしくみです。みんなで話し合い、役割を分けて支援を進めます。
ふだんから本人やご家族とかかわっているため、異変に早く気づきやすいのも特徴です。
こうした連携は「地域ケア会議」などの日ごろの話し合いの場が中心になることが多いです。
ただし、虐待の個別対応を話し合う会議とは分けて考える必要があります。
③関係専門機関介入支援のネットワーク
この「3つの機能」が役割分担しながら連携することで、問題が深刻化する前に、本人・ご家族(養護者)への支援につなげやすくなる、というのが厚労省マニュアルの基本思想です。
現場で回す運用手順
ネットワークを作るだけでは、現場は何も動きません。
毎日の仕事の中で、迷わず動けるしくみが大切です。
① まずは「相談の窓口」を一つにまとめる
虐待かどうかの判断や通報の必要性を、担当者ひとりで全て進めてしまうのは危険です。
見落としなどの問題が起きやすくなるため、組織として動くことが大事です。
そのために、次のことをあらかじめ決めておきます。
- 相談・報告を受ける担当者(不在時の代わりも決める)
- 夜間や休日の緊急連絡の流れ
- 記録の書き方(受付票・経過記録・会議録など)
文章にして共有しておくと、迷いが減ります。
② 相談を受けた後の流れを決めておく
相談や通報を受けたら、①→⑤の流れで進めます。
- 情報を集める
- 事実を確認する
- 早めにコアメンバーで話し合う
- 虐待の有無や緊急性を判断する
- 今後の方針を決める
共通の書式で情報をまとめると、判断のズレが少なくなります。
市町村や地域包括支援センターとも連携しやすくなります。
③ 外部との連携を「形」だけで終わらせない
早期発見のポイントは「いつもと違う」を言葉にすることです。
介護職以外にも、配食や宅配、店舗など、日常的に高齢者とかかわる人の気づきはとても大切です。
「なんとなく変だな」を、このような方たちにも具体的に伝えられるようにします。
④ 連絡先の一覧より「連絡の型」
連絡先を並べるだけでは足りません。
相談を受けたときに最低限確認する内容を決めておきます。
- 本人の情報
- どんな状況か
- いつ・どこで起きたか
- 誰が気づいたか
- 危険はあるか
これを受付票として整えておくと安心です。
⑤ 個人情報は「必要な分だけ共有」
虐待対応では守秘義務が前提です。
通報した人の情報も守られます。
ただし、何も共有しないのではなく、支援に必要な範囲だけ共有することが大切です。
⑥ 身体拘束は「手続き」が重要
身体拘束は、しているかどうかだけでなく、
- 判断は適切だったか
- 記録は残っているか
- 見直しをしているか
この点まで確認することが予防につながります。
具体的な「手続き」と、その考え方を知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
⑦ 地域包括支援センターとの連携
地域包括支援センターは市町村が設置し、次のような仕事を担っています。
- 総合相談支援
- 権利擁護
- 高齢者虐待への対応
事業所で受けた虐待への相談等は、この地域包括支援センターへ報告、連絡します。
役割を理解しておくと、困ったときにスムーズにつながります。
大切なのは、「決まりを作ること」よりも、現場で迷わず動ける状態をつくることです。
小さな気づきを、確実な行動につなげる仕組みが、虐待予防の土台になります。
ワーク
以上をふまえ、ワークで“行動”に落とし込む作業をしてみましょう。
演習テーマ例:『その違和感を、どこにつなぐ?』
ケース:入浴拒否が続き、衣類の汚れが目立つ。職員の声かけに強い言葉が出る日がある。本人の表情が硬い。夜間にナースコールを手の届かない位置に置かれていたことがあった。
目的:これは何類型の可能性があるか。いま必要な安全確保は何か。誰に、何を、どの順で共有するか。
結論の正解を当てるより、次の“型”で発表し合うと、現場に残ります。
- いま見えている事実(できれば時系列)
- 危険性(生命・身体のリスク)
- 事業所内での共有(担当者、管理者、委員会)
- 外部連携(市町村/地域包括支援センター/必要なら専門機関)
- 記録と次の会議(コアメンバー会議の位置づけ)
おわりに
いかがだったでしょうか。
高齢者虐待を未然に防ぐために大切なのは、特別な対応を増やすことではありません。
日々の支援の中で感じた小さな違和感を、そのままにせず、組織や地域の中で共有し、早めにつなぐことです。
見守りネットワークも、作って終わりでは意味がなく、日常の業務の中で「いつ、誰が、どう動くか」が見えてこそ力を発揮します。
本記事で整理した考え方や手順は、すぐに完璧にできるものではありませんが、話し合い、確認し、少しずつ整えていくこと自体が虐待防止につながります。
ぜひこの研修をきっかけに、事業所内、そして地域との連携を見直し、「気づきが活かされる仕組み」を現場に根づかせていきましょう。
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