とも
とも
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。利用者さんの命を守るために、介護職が知っておきたい備蓄と食事の注意点を徹底解説します!
この記事はこんな方におすすめ
  • 災害時の高齢者の食事対応に不安がある介護職
  • 非常食の選び方や備蓄方法を知りたい方
  • 嚥下機能が低下した利用者さんへの対応を学びたい方
  • 災害時の脱水や栄養不足を防ぎたい方
  • 施設の非常食やBCPを見直したい方

筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

読者さんへの前おきメッセージ

災害が起こったとき、介護施設では「食事をどうするか」という問題が必ず出てきます。

地震や水害などによって物流が止まったり、停電・断水が発生したりすると、普段のように食事を作ることが難しくなる場合があります。

そんなときのために必要なのが非常食です。

しかし、高齢者の場合は「保存期間が長い食品を用意しておけば大丈夫」というわけではありません。

普段から噛むことが難しい方、飲み込む力が低下している方、糖尿病や腎疾患などで食事の管理が必要な方など、一人ひとり食べられるものが違います。

この記事では、介護施設で働く職員向けに、災害時の高齢者向け非常食について、どのような点に注意すればよいのかを解説します。

この記事を読むメリット

  • 高齢者に適した非常食の選び方が分かる
  • 嚥下機能や持病に合わせた食事対応が分かる
  • 介護施設で必要な備蓄と事前準備が分かる

 

それでは早速みていきましょう。

災害時、高齢者の食事で起こりやすい問題とは?

災害で逃げようとしている女性

災害が起こると、停電や断水によって、いつものように食事を準備できなくなることがあります。

そのため、介護施設でも備蓄している非常食を利用者さんに提供することになります。

しかし、高齢者の場合は、非常食があっても、そのまま食べられるとは限りません。

例えば、普段から次のような食事をしている利用者さんがいます。

  • ご飯を柔らかくした軟飯やおかゆを食べている
  • 噛む力が弱く、刻み食やソフト食を食べている
  • 飲み込みにくいため、水分にとろみを付けている
  • 食事量が少なく、栄養補助食品を利用している

このような方に、一般的な非常食のご飯やパンをそのまま提供しても、硬くて食べられなかったり、飲み込みにくかったりする可能性があります。

農林水産省でも、噛む力や飲み込む力が弱くなった方に備えて、おかゆや介護食品、とろみ調整食品などを準備することを紹介しています。

つまり、介護施設で非常食を準備するときは、「食べ物が足りるか」だけでなく、「利用者さん一人ひとりが安全に食べられるか」まで考えることが大切です。

高齢者向け非常食を選ぶときのポイント

非常食を選ぶときは、賞味期限や価格だけで決めるのではなく、利用者さんの身体状況や栄養状態を考えます。

特に確認したいのは次のような点です。

  • 普段の食事形態に対応できるか
  • 噛む力・飲み込む力に問題がないか
  • 水分が十分に確保できるか
  • 主食だけに偏っていないか
  • 持病や食事制限に対応できるか
  • 開封・調理・配膳がしやすいか
  • 停電や断水の状況でも提供できるか

災害時には、どうしても「ご飯やパンなど、とりあえずお腹を満たせるもの」に偏りがちです。

農林水産省のサイトでは、災害直後は炭水化物中心になりやすいため、たんぱく質なども含めて栄養バランスを考えることが重要としています。

魚や肉の缶詰などは、たんぱく質を補う食品の例として紹介されています。

介護施設では、普段の食事内容を参考にしながら、主食・主菜・副菜をできるだけ組み合わせられるように考えておくことが大切です。

嚥下機能が低下している利用者さんへの注意点

高齢者向けの非常食を準備するときは、「食べ物の硬さ」と「飲み込みやすさ」に注意することが大切です。

例えば、普段おかゆを食べている利用者さんに硬いご飯を提供したり、水分にとろみを付けている方に普通の水やお茶を提供したりすると、うまく飲み込めず、誤嚥につながるおそれがあります。

そのため、非常食も利用者さん一人ひとりの食事形態に合わせて準備しておきましょう。

具体的には、次のような食品が考えられます。

  • おかゆや軟飯を食べている方:レトルトのおかゆなど
  • 噛む力が弱い方:柔らかく調理されたレトルト食品
  • 水分を飲み込みにくい方:普段と同じようにとろみを付けるための食品
  • 介護食を利用している方:普段食べているものに近い介護食品

ただし、同じ「柔らかい食品」でも、利用者さんによって食べやすさは異なります。

普段の食事形態や飲み込みの状態を確認し、安全に食べられるものを選ぶことが重要です。

災害時だからといって、全員に同じ非常食を提供するのではなく、できるだけ普段と同じように食事ができるよう準備しておきましょう。

水分不足・脱水を防ぐためにできること

災害時は食事だけでなく、水分の確保も非常に重要です。

高齢者は、のどの渇きを感じにくくなることがあり、普段から水分摂取が少ない方もいます。

さらに、災害による環境の変化や食事量の低下、発熱・下痢などが加われば、水分不足につながる可能性があります。

そのため、飲料水を備蓄するだけではなく、「誰が、どのくらい飲めているか」を確認することが重要です。

また、普段から水分にとろみを付けている利用者さんについては、とろみ調整食品も忘れないようにします。

災害時は職員数が少なくなり、一人ひとりの水分摂取量を把握しにくくなる可能性があります。

そのため、

  • 水分摂取量を記録する
  • 水分摂取が少ない方を職員間で共有する
  • とろみなど普段の方法を継続する
  • 飲料水だけでなく、必要な水分をどう確保するか考える

といった準備が必要です。

持病や食事制限がある利用者さんへの対応

介護施設には、病気などの理由で食事に制限がある利用者さんも大勢います。

例えば、糖尿病や腎臓病、心臓病などがある方は、普段から糖分や塩分、たんぱく質などの摂取量に注意しています。

こうした利用者さんのために、災害時でも食事制限に対応できるよう、事前に準備しておくことが大切です。

特に、次のようなことを確認しておきましょう。

  • どのような非常食なら食べられるのか
  • 食べられない食品がある場合、代わりに何を用意するのか
  • 災害が長引いた場合、必要な食事をどう確保するのか

これらは災害が起きてから考えるのではなく、普段から管理栄養士や看護師などと相談しておきましょう。

また、食事制限の内容は利用者さんによって異なるため、介護職だけで判断しないことも重要です。

「この利用者さんは何を食べられるのか」「どのような食事に注意が必要なのか」を職員間で共有しておくことが、災害時の安全な食事提供につながります。

非常食を「実際に食べられるか」確認しておく

非常食を備蓄するときに意外と忘れやすいのが、「実際に食べてみる」ということです。

例えば、アルファ化米は水やお湯で戻して食べられるため、災害時の備蓄食品として活用できます。

しかし、実際の現場では、

  • 「どのくらい柔らかくなるのか」
  • 「高齢者でも食べやすいか」
  • 「水だけで準備できるか」
  • 「どのくらいの時間がかかるか」

などを確認しておく必要があります。

非常食を一度も調理したことがないと、災害時に作り方が分からず、困ってしまう可能性もあります。

そのため、普段から非常食を実際に作り、味や食べやすさを確認しておくことが大切です。

また、利用者さんの食事の好みにも配慮しましょう。

食べ慣れない食品ばかりでは、災害時に食欲が落ちてしまうことも考えられます。

そこでおすすめなのが、「ローリングストック」という備蓄方法です。

これは、普段の食事でも使える食品を少し多めに備蓄し、使った分を買い足していく方法です。

非常食を定期的に食事に取り入れることで、利用者さんの好みに合っているか、無理なく食べられるかを確認できます。

非常食は、長期間保存できることだけでなく、利用者さんが食べやすく、食べ慣れていることも大切です。

施設で準備しておきたい非常食と備蓄のポイント

介護施設で非常食を準備するときは、利用者さん全員が食べられる量と、それぞれの食事形態に合った食品がそろっているかを確認することが大切です。

例えば、次のようなことを確認しておきましょう。

  • 普通のご飯を食べる方、おかゆを食べる方はそれぞれ何人いるか
  • 刻み食やソフト食が必要な方は何人いるか
  • 水分にとろみを付けている方は何人いるか
  • 栄養補助食品を利用している方は何人いるか
  • 病気などで食事制限がある方は何人いるか

こうした情報を整理しておくことで、どのような非常食を、どのくらい備蓄すればよいか考えやすくなります。

また、非常食を準備するだけでなく、災害時にどうやって食事を提供するかも考えておく必要があります。

災害によって停電や断水が起こると、普段使っている調理器具や給湯設備が使えなくなる可能性があるからです。

そのため、次のようなことも確認しておきましょう。

  • 電気やガスが使えなくても準備できるか
  • 水が少なくても調理できるか
  • 紙皿や使い捨てスプーンなどは足りているか
  • とろみが必要な利用者さんにも対応できるか

さらに、準備した非常食を実際に作ってみることも大切です。

例えば、防災訓練や施設内研修で非常食を作り、調理にかかる時間や必要な水の量、利用者さんの食べやすさなどを確認してみましょう。

実際に試してみることで、備蓄している食品や物品に不足がないか気づくことができます。

災害が起きてから困らないように、普段から非常食の種類や量、提供方法を職員同士で確認しておきましょう。

おわりに

災害時の非常食というと、「賞味期限が長い食品をたくさん備蓄すること」を思い浮かべるかもしれません。

もちろん、備蓄量や保存期間は重要です。

しかし、介護施設ではそれだけでは十分ではありません。

利用者さんの身体状況や食事形態、持病、水分摂取の状況などを考えて、「この人が災害時にも安全に食べられるか」という視点で備えることが大切です。

特に、普段からおかゆやソフト食、とろみなどを使用している方については、災害時にもできるだけ普段に近い食事を提供できる準備が必要です。

厚生労働省は、大規模災害時の食料備蓄について、栄養面だけでなく要配慮者への配慮を重視しています。

農林水産省も、高齢者や食べる機能が弱くなった方に向けて、介護食品やおかゆ、とろみ調整食品などの備蓄を紹介しています。

「非常食はあります」だけで終わらせず、

  • 「誰が食べるのか」
  • 「どのように食べるのか」
  • 「水や電気がなくても提供できるのか」

まで考える。

それが、介護施設の災害への備えとして大切なポイントです。

今回の記事をきっかけに、施設に保管している非常食を一度取り出して、実際の利用者さんが食べられるものなのか、職員同士で確認してみてはいかがでしょうか。

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