この記事を読む価値
- ベテラン職員から新人職員まで学べる内容です。
- 読み進めるだけで研修にできます。
- 極力、難しい表現は避けてあります。
早速、見ていきましょう。
介護の現場で求められる「倫理」とは?
介護現場における「倫理」とは、何が正しくて、どう行動すべきかを判断するための内面的なルールや指針のことをいいます。
介護職は、利用者さんの身体に触れたり、生活の深い部分に関わったりする仕事だからこそ、高い倫理観が求められます。
倫理観が欠けていると、意図せずして利用者さんを傷つけたり、尊厳を損ねるような行為に繋がる可能性があります。
だからこそ、介護のプロとして「何がより良い支援か」を考え続ける姿勢が重要です。
倫理とは、「~してはいけない」という禁止だけでなく、「どう支えるか」「どうすればより良くなるか」という前向きな視点を含むものです。
日本介護福祉士会の「倫理綱領」でも、利用者本位の支援、自立の促進、専門性の追求、地域福祉への貢献、後進育成など、積極的により良いケアを目指す姿勢が示されています。
また、この中には「社会に働きかける」姿勢など、利用者さんの生活の質向上を目指す広い視野も含まれています。
法令を守ることも倫理の一部に含まれます。
たとえば「社会福祉士及び介護福祉士法」では、誠実に業務を行う義務、秘密保持義務などが定められており、これらは法律でありながら倫理的責任とも重なります。
法令を守ることは、信頼ある介護の基本です。
倫理4原則とは?介護職が押さえるべき4つの柱
介護の現場では、倫理に関わる判断が日常的に求められます。
利用者さんの希望と現実が食い違うとき、命の安全と自由をどう両立するかなど、「倫理的ジレンマ」に直面することもあります。
そうしたときに役立つのが、医療・介護の現場で重視される「生命倫理の4原則」です。
自律尊重:利用者さんの意思や希望をできる限り尊重する
善行:利用者さんにとって最も良い結果をもたらすよう努める
無危害:利用者さんに害を及ぼさないよう配慮する
正義・公平:すべての人に公平に、差別なく接する
これらの原則は、介護現場で判断に迷ったときの“ものさし”になります。
すべての原則を完璧に満たすことは難しくても、「今できる最善は何か」と考え続ける姿勢こそが、介護職の倫理です。
今回は、その判断の基準として大切な「倫理4原則」について解説します。
これは、中村裕子氏の著書『新・介護福祉士養成講座4 介護の基本Ⅱ』でも紹介されており、介護職が日々の実践の中で直面する悩みやジレンマに対し、冷静に考えるためのツールになります。
自律尊重(自己決定)
利用者さんの意思や価値観を尊重し、その人らしさを大切に支援する考え方です。
たとえ介護者の考えと違っていても、「自分で服を選びたい」「できることは自分でしたい」といった希望はできる限り叶える努力が必要です。
たとえば、末期がんの高齢者が「また畑仕事がしたい」と希望した場合、本人の気持ちに寄り添い、話を聞いて気持ちを安定させる支援も「自律の尊重」にあたります。
善行(善をなす)
利用者さんやご家族にとって“最良の結果”を目指すことです。
例えば、畑に行きたいという希望をかなえるために、ベッドの位置を変えて窓から畑が見えるようにしたり、外に出られなくても自然を感じられる工夫をするなど、生活の質を高める積極的な支援が善行の実践です。
専門知識に基づいたサービスの提供も、この善行に含まれます。
3. 無危害(悪をなさない)
身体的・精神的に害を与えないこと、またはできるだけそれを減らすことです。
たとえば、無理な体位変換を避けたり、プライバシーを守ったりといった配慮がこれに当たります。
また、職員の不安げな表情が利用者さんを不安にさせる場合もあるため、安心感を与える接し方を意識することも大切です。
認知症の方など、思いを言葉にしづらい方に対しては、真のニーズをくみ取り、代弁することも“害を避ける”行動の一つです。
正義(公平・公正)
すべての利用者さんに公平なサービスを提供する姿勢です。
性別、年齢、障害、経済状況などに関係なく、誰もが同じように尊重されるべき存在です。
たとえば、利用者本人の希望だけでなく、家族の意見も丁寧に聞き取り、関係者と話し合いながら、その人にとって最も公平なケアを提供する努力が求められます。
これらの「倫理4原則」は、介護の現場で起こる迷いやジレンマに対して、冷静に判断するための支えになります。
すべてを完璧に守るのは難しくても、「何が一番良い支援か?」を職員同士で話し合い、利用者さんの立場で考え続けることが大切です。
倫理とは「~してはいけない」だけでなく、「どう支えるか」を問い続けるものです。
倫理4原則は、その問いに応えるための大切な指針となります。
倫理4原則を使って考える!現場で役立つポイント
介護の現場では、忙しさや人手不足などで平常心を保つのが難しい時もあります。
そんなときこそ、これらの4原則に立ち返ることが、自分たちのケアが「本当に良いものか」を確認する“帰る場所”になります。
「どの原則を大切にすべきか」「今の支援は誰にとっての最善か」。
こうした問いを通じて、感情的にならず冷静に判断することができます。
倫理的な悩みは、一人で抱えるものではありません。
迷ったときはチームや上司に相談し、多角的に意見を出し合うことが重要です。
話し合いによって、新たな視点が得られ、より良い判断ができるようになります。
また、職場全体で倫理的な価値観を共有するためには、以下のような取り組みが効果的です。
- 定期的な研修や事例検討会の実施
- 日常的な声かけや相談しやすい空気づくり
- 自己覚知(自分の価値観や感情の影響に気づくこと)の促進
倫理観は人によって感じ方が異なります。
その違いを認め合いながら、共通の理解をつくっていくことが、質の高い介護につながります。
倫理4原則は万能の「正解」ではありませんが、利用者さんにとってより良いケアを探るうえでの大切な道しるべです。
思考を止めず、チームで支え合いながら、目の前の利用者さんにとって「いま、何が一番良いのか」を考え続けていきましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
介護の現場では、利用者さん一人ひとりの気持ちや状況に寄り添った対応が求められます。
そんな日々の中で、判断に迷ったときに立ち返りたいのが「倫理4原則」です。
自律尊重・善行・無危害・正義という4つの柱は、どんな支援が本当にその人のためになるかを考えるための道しるべとなります。
もちろん、すべての原則を完璧に守ることは難しいかもしれません。
でも、「いま、自分のケアは誰のためのものか?」「これは本当に安全で尊重ある支援か?」と考え続ける姿勢こそが、プロとしての倫理です。
悩んだときは一人で抱え込まず、チームで話し合いながら、より良い介護を一緒に目指していきましょう。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
「他の【倫理及び法令遵守に関する研修】の資料が見たい!」という方は、コチラの記事を参考にしてください。
【介護事業所の必須研修資料一覧(2025年度版)】
お知らせ①介護サービスごとにわかりやすく、情報公表調査で確認される研修と、義務づけられた研修を分けて記載しています。
また、それに応じた研修資料もあげています。研修資料を探している方は、ぜひ参考にしてください。
【介護職の方へ!老後とお金の不安を解消する方法!】
お知らせ②介護職の仕事をしていると、低賃金や物価の高騰、そして将来に対する漠然とした不安がついて回ります。
特に独身の方は老後の生活費や年金に対する不安が大きいのではないでしょうか?
下記のブログは、そんな不安を解消するために実践すべき7つの方法です。
- 【節約】 これだけでOK!サクッとできる節約テク二ック
- 【資産運用】 低収入でも大丈夫?iDeCo & NISAの超カンタン活用術!
- 【転職】 未経験OK・高待遇!失敗しない介護職の転職術
- 【婚活】 忙しくて出会いがない…独身介護職のための婚活戦略!
- 【お金の勉強】 将来が不安?介護職のためのかしこい資産運用セミナー!
- 【ポイ活】 介護職におすすめ。スマホで簡単!【ワラウ】で楽しくポイ活デビュー♪
- 【副業】 介護職の副業は、これこれ1択!
少しの工夫と努力で、将来の不安を減らし、安心した未来を作るための第一歩を踏み出してみましょう! 詳しくはこちらの記事をご覧ください。