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看取りを支える介護職にも必要な“グリーフケア”とは│ターミナルケアに関する研修資料

とも
とも
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。看取りにかかわる介護職は、この知識とスキルは必須です。
この記事はこんな方にもおすすめ
  • すぐ使える研修資料がほしい  
  • 急ぎでも伝わる資料を作りたい  
  • 職員が興味を持つ研修テーマは?  
  • 去年と同じ内容ではまずい…  
  • 研修担当じゃないけど伝えたい

筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

読者さんへの前おきメッセージ

介護の現場では、看取りに直面するたびに心を痛める職員も多く、業務に追われる中で悲しみを抱え続けることがあります。

そんな介護職自身やご家族の心を支えるために注目されているのが「グリーフケア」です。

本記事ではその基本と必要性、セルフケアや職場での支援、現場での工夫などを丁寧に紹介します。

この記事を読むメリット

  • 看取りの場で役立つグリーフケアの基礎が分かる。
  • 介護職自身の心を守る方法が理解できる。
  • 現場で使える具体的な取り組みや工夫を知ることができる。

グリーフケアとは何か(定義と背景)

看取りをしている家族

「グリーフ」とは、大切な人や場所を失ったときに感じる深い悲しみや喪失感のことです。

ただ「悲しい」だけでなく、心や体、行動、考え方にさまざまな影響を与える複雑な反応です。

たとえば、次のような形で現れることがあります。

【精神面】不安・怒り・罪悪感・孤独感

【身体面】倦怠感・食欲不振・不眠

【行動面】涙が止まらない・引きこもる

【認知面】現実感がない・記憶力や集中力の低下

これらの反応には個人差があり、回復までの時間も人それぞれです。

心理学者キューブラー=ロスは「死の受容プロセス(否認→怒り→取引→抑うつ→受容)」という考えを提唱しましたが、必ずしも順番どおりには進みません。

こうした悲しみを抱える人に寄り添い、心の整理を支えるのが「グリーフケア」です。

介護の現場でできるグリーフケアには、以下のようなものがあります。

  • ご家族の気持ちに寄り添い、静かに話を聴く
  • 遺族が日常生活に戻れるよう温かく支援する
  • 職員自身の悲しみや感情も共有し合い、ケアし合う
  • エンゼルケアやお別れの場面での丁寧な関わり

グリーフケアは特別な資格がなくても、介護職一人ひとりが実践できます。

「悲しみによりそう気持ち」を持ち、相手の思いを否定せず、安心して過ごせる時間をともに作っていくことが大切です。

自分や仲間の心を守ることにもつながる、介護職にとって大切なケアです。

グリーフケアでは「悲しむことは当たり前で自然なこと」と認め、無理に元気づけようとしないことが大切です。例えば「早く元気を出して」などの言葉は禁物で、「いくらでも泣いていいんですよ」「悲しいのは当然のことです」といった声かけで悲しむことを許す雰囲気を作りましょう。誰かが自分の悲しみを受け止めてくれている、と感じられることがグリーフケアの出発点になります。

なぜ介護職にもグリーフケアが必要なのか

「グリーフケア」というと、ご家族への支援を思い浮かべる方が多いですが、

実は介護に関わる職員自身にも欠かせないものです。理由としては、大きく二つあります。

①自分の心を守るため

介護職員自身も、利用者さんとの別れに向き合うたびに深い悲しみや喪失感を味わいます。

長く寄り添った方を看取った後、複雑な気持ちを抱えたまま仕事を続けるのは簡単ではありません。

とくに現場では、

  • 感情を表に出しにくい
  • 役割上、気持ちを抑え込んでしまいがち
  • 悲しみを話す場が少ない

といった状況が生まれやすく、そのままにしておくと心の疲れや体調不良、さらにはバーンアウトにつながることもあります。

自分の悲嘆に気づき、きちんとケアすることは、長く働くための大切な土台になります。

②ご家族に寄り添うため

グリーフケアを理解していると、看取り後のご家族への声かけや関わり方が大きく変わります。

例えば、

  • どんな言葉が相手の心に寄り添うか
  • どんなサポートが必要か
  • どこまで踏み込むべきか

といった判断がしやすくなり、ご家族が抱える悲しみに丁寧に寄り添えるようになります。

また「やるべきことができた」という職員自身の安心感にもつながり、後悔や迷いを減らす効果があります。

職場全体にも良い影響がある

グリーフケアが不足している職場では、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 職員のメンタル不調・燃え尽き
  • 人間関係の悪化
  • 離職率の上昇
  • 雰囲気が沈み、活気がなくなる
  • ケアの質の低下

反対に、グリーフケアに取り組む職場では、感情を共有しやすい空気が育ち、「心理的に安心して働ける環境」が整います。

看取り後に振り返りの時間を設け、故人の人生を皆で語りながら自分の気持ちも言葉にする…そんな取り組みが、職員のストレス軽減とケアの質向上につながっています。

看取り後の家族への対応と心のケア

大切な人を失った直後のご家族は、深い悲しみの中で気持ちの整理がつかず、何をどうすれば良いのか分からなくなることがあります。

介護職としては、ご家族が少しでも安心できるよう、心に寄り添った対応が大切です。

ここでは、看取り後の基本的な流れとポイントをまとめます。

受容の手助け

利用者さんの死亡確認後は、ご家族が落ち着いてお別れできる場を整えます。

例えば、

  • ベッド周りを整える
  • 清潔なシーツに替える
  • 照明を少し落として穏やかな空間にする

といった配慮が、現実をゆっくり受け入れる手助けになります。

静かな時間は、ご家族の心を支える大切なひとときです。

傾聴と共感

ご家族の言葉を否定せず、丁寧に耳を傾ける姿勢がとても重要です。

  • 「おつらいですね」「お気持ちお察しします」などの共感の一言
  • 涙や動揺があっても制止せず、そばで静かに寄り添う
  • 言葉にならない思いには、手を握るなど優しいスキンシップで支える

介護職ができる最大の支援は、ご家族の悲しみをそのまま受け止めることです。

正確で落ち着いた情報提供

悲しみの中では判断力が低下しやすいため、必要な情報を分かりやすく伝えます。

「これからお迎えの手配をしますね」

「死亡診断書をご用意しますので、落ち着かれたらご確認ください」

といった案内は、ご家族の不安を減らす助けになります。

急かすような説明ではなく、相手の様子を見ながらゆっくりと伝えることが大切です。

継続的なフォロー

可能であれば、四十九日や一周忌など節目の時期に気遣いの連絡をとると、ご家族の心の支えになります。

  • 「その後お変わりありませんか」とお手紙や電話で声をかける
  • 初盆や命日にメッセージカードを送る
  • 施設として故人を偲ぶ気持ちを形にして届ける

こうした取り組みは、「忘れられていない」という安心感を生み、悲しみを抱える心を温かく支えます。

状況に応じた柔軟な対応

時には、悲しみが怒りや後悔となって表れ、職員に感情をぶつけられることもあります。

これもご家族の自然な反応のひとつです。

「お気持ち分かります」「おつらいですよね」と共感を示すだけで、次第に落ち着かれることも多いものです。

また、故人の生前の写真や動画をまとめてお渡しする取り組みが、ご家族の心を癒すこともあります。

笑顔や日常の姿は、ご遺族にとっての大切な“宝物”となり、悲しみを和らげる助けになります。

介護職自身の悲嘆への向き合い方

介護職がグリーフケアを行ううえで忘れてはいけないのが、自分自身の心のケアです。

利用者さんやご家族への支援だけでなく、支援者である職員本人のメンタルケアも欠かせません。

介護の現場は、人の最期に向き合う機会が多く、悲しみやストレスが溜まりやすい環境です。

自分では平気だと思っていても、心や体には確実に負荷がかかっています。

だからこそ、セルフケアの習慣づけが、長く健康に働く土台になります。

手軽にできるセルフケア

セルフケアの方法はいくつかあります。

  • 呼吸法やリラクセーション
  • マインドフルネス(簡単な瞑想)
  • 軽いストレッチや散歩
  • 気持ちを紙に書き出して整理する

なかでも「4-7-8呼吸法」はよく知られた方法で、

  1. 4秒かけて吸う
  2. 7秒息を止める
  3. 8秒かけてゆっくり吐く

という流れで行います。

緊張や悲しみで体が強張ったとき、数分実践するだけでも心が落ち着いてきます。

仲間や上司に相談する

悲しみやつらい体験を、一人で抱え込まないことも大切です。

「先日の看取りが心に残っていて…」と打ち明けるだけでも気持ちは軽くなります。

  • 信頼できる同僚に話す
  • 上司に相談する
  • 職場の相談窓口やカウンセラーを利用する
  • グリーフケアの研修や勉強会に参加する

同じ立場の人の話を聞くだけでも、「自分だけじゃないんだ」と感じられ、心が落ち着くことがあります。

職場の支援体制を活用する

職場によっては、看取りが続いたときにシフトの調整や休憩時間の確保をしてくれる場合があります。

また、産業医やカウンセラーとの面談を設けている施設もあります。

強い悲しみが長く続き、日常生活に支障が出る場合は専門家の支援が必要です。

「最近様子が違う」と自分で感じたり、同僚が気づいたりしたときは、早めに相談することが大切です。

悲しむ自分を責めない

最後に、「悲しむのは自然なこと」と自分に許可を出してあげることも忘れないでください。

介護職だからといって、いつも強くいなければいけないわけではありません。

  • 感情を抑え込まない
  • 泣きたいときは涙を流してよい
  • 心のケアを受けるのは弱さではない

人の死に慣れることなんてありません。

悲しみに向き合い、必要な支援を受け入れることは、より良いケアを続けていくための大切なプロセスです。

チームで支え合うグリーフケア

介護の仕事は、チームで協力しながら行うものです。

その中で大切なのが、悲しみも一人で抱えず、仲間と支え合って乗り越える姿勢です。

近年は「グリーフシェア」という考え方が注目されており、これは職場の仲間同士で悲しみを共有する取り組みを指します。

グリーフケアが「誰かをケアする」関係なのに対し、グリーフシェアは立場に関係なく“共に分かち合う”点が特徴です。

例えば、亡くなった利用者さんの思い出をスタッフ同士で語り合う時間も立派なグリーフシェアになります。

特別な知識がなくても、同じ悲しみを知る仲間と気持ちを言葉にすることで、「自分だけじゃない」と感じられ、心が少し軽くなります。

グリーフシェアが必要な理由

介護職員は「支える側」であるがゆえに、自分の悲しみを後回しにしがちです。

しかし、気持ちを抱え込んだまま働き続けるのは大きな負担になります。

  • 思いを言葉にできる場が必要
  • 誰かが受け止めてくれる安心感がエネルギーになる
  • 気持ちを共有できる職場文化が離職防止にもつながる

「一人じゃない」と感じられるだけで、人は次へ進む力が湧いてきます。

チームで取り組むための工夫

以下のような方法が、チームで悲しみを共有する助けになります。

①看取り後の「ふりかえりの時間」をつくる

利用者が亡くなられた後、5分でもスタッフで思い出を語る時間を設けましょう。「○○さんらしい最期でしたね」、「穏やかに旅立たれてよかった」といった一言だけでも、胸に抱えた思いが軽くなります。忙しい場合は黙祷と短い共有だけでも十分です。

②同僚への声かけに共感を添える

落ち込んでいる仲間には、「大丈夫?」ではなく、「私も寂しい気持ちです」、「つらいね」と自分の感情も含めて声をかけると、相手の心に寄り添うことができます。

③ミニカンファレンスで感情も共有する

月1回でも、ケース振り返りの場に「どんな想いで寄り添ったか」「別れを迎えて何を感じたか」を話せる時間を加えると、スタッフ同士の理解が深まります。繰り返すうちに、「悲しみも話していい」空気が職場に根づいていきます。

こうした取り組みによって、スタッフは心を閉ざさずに働くことができ、施設全体にも安心感が広がります。

新人スタッフにとっても心強い環境となり、離職防止やケアの質の維持にも良い影響を与えます。

「心に余白があること」が、利用者に寄り添ったケアを行う土台になります。仲間と支え合いながら、チーム一丸で悲しみを乗り越えていきましょう。

介護現場におけるグリーフケアの取り組み事例

ここでは、実際の介護・看護の現場で行われているグリーフケアの工夫をご紹介します。

どれも明日からのケアに取り入れられるヒントばかりです。

職員の「グリーフノート」活用

ある介護施設では、看取りに立ち会ったスタッフが気持ちを書き留める「グリーフノート」を設置しています。

  • 誰でも匿名で書き込みOK
  • 亡くなった方へのメッセージ
  • 自分のつらさや寂しさを言葉にする

後日みんなで読み返すことで、

  • 「みんな同じ気持ちなんだ」と感じられる
  • お互いの思いを知るきっかけになる
  • 気持ちを言語化することで心が整理される

という効果が生まれています。

ノート一冊というシンプルな方法ですが、大きな支えになっているそうです。

訪問看護ステーションの遺族ケアプログラム

ある訪問看護ステーションでは、ご遺族への支援を組織的に行っています。

取り組みは主に3つです。

  1. 四十九日頃の訪問・近況確認
  2. お盆やお彼岸にメッセージ付き「グリーフカード」を送付
  3. 年4回の「遺族の会」(交流会)を開催

遺族の会では、同じ経験をもつ人同士が集まり、悲しみや寂しさを語り合います。

「家族にも話せなかったことをここでは話せた」という声もあり、ご遺族にとって安心できる場になっています。

生前を知るスタッフだからこそ寄り添える、温かい取り組みです。

写真や思い出品を通じた癒し

あるホスピスでは、ご家族へ「写真入りカード」とお花を送る取り組みを行っています。

  • スタッフと写った写真
  • 在宅療養中の笑顔のスナップ
  • 「○○様の笑顔を忘れません」などのメッセージ

こうした思い出の形は、ご遺族の心を深く慰めます。

別の施設では、ご遺族の希望があれば、

  • 故人の愛用品を展示する「思い出コーナー」を作る
  • スタッフや他の利用者がお花やメッセージを添える

といった取り組みも行われています。

「大切に思われて旅立った」と感じられ、ご遺族だけでなく職員や他の利用者の心のケアにもつながっています。

新人職員向けグリーフケア研修

ある福祉法人では、新人研修にグリーフケアを取り入れています。

  • グリーフの基礎知識
  • 適切な声かけの練習
  • 自分自身のセルフケア方法

など、内容は幅広く構成されています。

職場全体でグリーフケアに向き合う姿勢を見せることで、新人が安心して現場に入れるという効果も生まれています。

おわりに

いかがだったでしょうか。

介護の現場では、利用者様の人生の最終段面に寄り添うという尊い役割を担う一方で、職員自身も大きな悲しみを抱えることがあります。

そんな日々の中で、自分や仲間、そしてご家族の心をそっと支えるのがグリーフケアです。

特別な知識がなくても、「悲しみは自然なもの」と認め、相手の思いを大切に受け止める姿勢さえあれば、誰でも取り組むことができます。

一人で抱え込まず、チームで支え合いながら、悲しみに寄り添う温かいケアを続けていくこと。

それこそが、利用者様とご家族に寄り添う力となり、そして介護職自身の心を守る力にもつながっていくのだと思います。

それではこれで終わります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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