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入浴介助

デイサービスにおける入浴目標の立て方|利用者に合わせたケア計画のポイント

とも
とも
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。入浴目標の設定は、意外と頭を悩ませます…。
この記事はこんな方におすすめ
  • すぐに使える研修資料・マニュアル・事例などがほしい
  • 資料作成を急いでいる、でもちゃんと伝わる内容にしたい
  • 現場の職員が興味持ってくれるテーマって何?
  • 去年と同じ内容じゃまずいよな…
  • 研修担当じゃないけど、あの人に教えてあげたいな

筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

読者さんへの前おきメッセージ

デイサービスの利用者さんは、疾患や症状が多様です。

介護スタッフが安全・自立・満足感を重視した入浴ケアを行うためには、根拠に基づいた目標設定が欠かせません。

この記事では、現場で役立つように入浴介助の目的やアセスメントのポイント、目標の立て方、利用者タイプ別の具体例、ケア計画への反映方法、チーム連携のコツをやさしい言葉でまとめました。

この記事を読むメリット

デイサービスの入浴介助の目的とは

入浴介助をしている場面

入浴介助にはさまざまな意義があります。

利用者さんに合わせて目的を理解しておくと、目標設定がしやすくなります。

デイサービスにおける入浴の目的は、大きく次の5つあります。

①衛生の維持と皮膚トラブルの予防
入浴により汗や皮脂、汚れを洗い流し、感染症や肌荒れを防ぐことができます。

②リラクゼーションと血行促進
温浴は筋肉をほぐし血行を促進し、精神的なリラックスや睡眠改善にもつながります。

③早期発見と健康管理
裸になることで皮膚の異常や怪我を早期に発見できます。また、入浴前後の血圧・脈拍などをチェックすることで心疾患や血圧変動へのリスク管理ができます。

④“できることを活かす”自立支援型の視点
可能な限り本人が自分で洗体・着脱などを行うことでADLを維持し、自己効力感を高めます。

⑤生活習慣や希望を尊重することの重要性
入浴の時間や頻度、洗い方に対する思いは一人ひとり異なります。ご家族や本人の生活史・習慣を尊重し、「気持ちいい」「楽しい」と感じられる入浴を目指します。

入浴目標を立てる前に確認すべき情報

目標設定の前段階として、利用者さんの全体像を把握するアセスメントが必要です。

以下の3つの視点で情報を集めましょう。

①身体・認知・心理・生活環境のアセスメント

身体機能の確認:
関節可動域や筋力、麻痺・拘縮の有無、心疾患・皮膚疾患の状況を把握します。

認知機能・心理面:
認知症の有無や理解力、入浴への恐怖・拒否感など心理面の状態を確認します。

生活環境・習慣:
自宅の浴室環境や入浴頻度、生活リズム、昔からの習慣(朝風呂派・夜風呂派など)を聞き取ります。

②医療情報やリスクの確認
入浴前には血圧や脈拍、体温、呼吸状態を測定し、心疾患や皮膚疾患、感染症の有無など医師からの情報も確認します。血圧変動が大きい場合や皮膚損傷がある場合は、部分浴や清拭に切り替えるなどの対応が必要です。

③利用者さんの“入浴に対する思い”を聞き取る

入浴歴や好きな入浴方法:
「家ではどんな入浴をしていましたか?」など、生活歴から好き嫌いや抵抗感のあることを把握します。

目的や期待:
「どこを自分で洗いたいですか?」「湯船につかると疲れが取れますか?」など、本人の目標や楽しみを聞き出します。

不安や拒否理由:
認知症の方は「入浴の意味が分からない」「裸になるのが恥ずかしい」などの理由から拒否することがあるため、理由を把握して適切に対応します。

入浴目標の立て方:SMARTの考え方で明確に

目標を漠然と立てると評価や改善が難しくなります。

リハビリや介護の目標設定では、SMART(Specific, Measurable, Attractive/Achievable, Realistic, Time-related)を意識すると具体性が増します。

SMARTのポイント

①Specific(具体的)
「自宅で安全に入浴したい」ではなく、「上半身を自分で洗う」「湯船への出入りを一人で行う」など具体的な行動に落とし込みます。

②Measurable(測定可能)
見守りや介助の程度を評価できるよう、「50%の動作を自力で」「見守りのみで入浴できる」など数値や状態で表します。

Attractive/Achievable(魅力的・達成可能)
利用者さんが「やってみたい」と思える目標で、現状の能力や意欲に合わせて段階的に設定します。

④Realistic(現実的)
病状や生活環境を踏まえ、無理なく継続できる目標にします。

⑤Time-related(期限を決める)
「3カ月以内に」「次回の評価日までに」など期間を設定し、評価や振り返りのタイミングを明確にします。

短期目標と長期目標の立て方

長期目標(例):
「身体を清潔に保ち、心地よい入浴が習慣化している」「入浴時に自分で洗体し、自信を持っている」など、半年~1年ほど先の姿をイメージします。

短期目標(例):
長期目標に向けた段階目標を1~3カ月程度で設定します。例えば、「職員と一緒に体を洗う」「座位保持が安定してきたら上半身を自分で洗う」「週2回のデイサービスで安心して湯船に入る」などです。

評価基準:
利用者さんがどこまで自力で行えたか、介助がどの程度減ったかを介護記録で明確にして、達成度を共有します。

「安全・自立・満足感」を軸にした具体例

利用者の状況長期目標短期目標指導・支援内容
麻痺があり立位困難機械浴で安全に全身浴を行い清潔を保つスタッフ介助で機械浴に慣れ、座位保持や上肢の洗体を自分で行えるようにするリフト浴・ストレッチャー浴での移乗練習、座位訓練、拘縮予防の関節可動域訓練を実施する。
認知症により入浴拒否がある気持ちよさや達成感を感じながら定期的に入浴し、清潔と心身の安定を保つ好きな歌を歌いながら5分間湯船につかる、好きな職員と一緒に浴室に入るなど体験を積む入浴前の声かけを柔らかく、本人のペースに合わせる。時間や担当者を変えるなど工夫し、成功体験を積み重ねる。
意欲低下・拒否傾向入浴の効果を理解し、自分から入浴を希望できるようになる「今日は足湯だけ」など部分浴から始め、回数を重ねて全身浴へ移行する入浴のメリット(リラクゼーションや血行促進、睡眠改善)を説明し、短時間でも「気持ちよかった」と感じられる経験を提供する。
肢体が健康で自立目指す方自宅でも安全に入浴し、家族の介護負担を軽減する服の着脱や洗体を見守りのみでできるよう練習する転倒予防のための歩行・バランス訓練や、浴室での福祉用具の使い方を指導する。

その人に合った入浴ケアとは?タイプ別の支援と工夫

次の3つのタイプ別で支援の工夫を考えます。

  1. 認知症がある方
  2. 麻痺や拘縮のある方
  3. 意欲低下・拒否傾向の方

目標設定の参考にしましょう。

①認知症のある方
認知症の方は「なぜ入浴が必要なのか」が理解できなかったり、羞恥心や不安から拒否することがあります。まずは理由や感情を理解する姿勢が大切です。生活歴を踏まえ、なじみの職員が安心感を与える声かけを行いましょう。好きな音楽を流した足湯など、短時間で心地よさを感じられる体験を重ねることも効果的です。また、浴室を季節の飾りで演出するなど「特別なお風呂」を演出するのも有効です。どの時間帯や声かけで入浴できたかを記録・共有し、チームで連携します。

②麻痺や拘縮のある方
移乗や姿勢保持が難しい場合は、リフト浴やストレッチャー浴を選択して安全を確保します。入浴前後には関節をほぐす体操やマッサージを取り入れ、自立度を少しずつ高めていきます。さらに、家族にも介助方法を説明し、家庭での負担軽減と継続支援につなげます。

③意欲低下・拒否傾向のある方
まずは拒否の原因を探ることが第一歩です。体調や不安など背景を丁寧に確認します。いきなり全身浴を勧めるのではなく、足湯や清拭などの小さな成功体験から始めることで意欲を引き出します。「血行がよくなる」「眠りが深くなる」など、本人にとってのメリットを伝えることも効果的です。入浴時間や環境を調整し、無理のないペースで安心感を高めましょう。

個別機能訓練計画書との関連づけ

ケアプラン(計画書)の「生活全般の解決すべき課題」から入浴に関するニーズを抽出し、個別機能訓練計画書に落とし込みます。

作成の流れは次の①→④の通りです。

①アセスメントのまとめ
身体状況や認知面、入浴に対する思い、環境条件を整理します。

②目的と長期目標を設定
生活の質向上や自立支援を目的とし、半年~1年後の姿を描きます。

③短期目標とサービス内容を記載
具体的な期日と方法を決め、ケア内容(スタッフと一緒に洗体する、歩行訓練を実施する、機械浴を使用するなど)を明確にします。

④医師や看護師の意見を反映
医療情報やリスクに基づいて目標を修正し、安全面を担保します。

介護記録の書き方例

介護記録は次回のケアに生かす重要な情報源です。

SMARTの観点を意識し、客観的かつポジティブに記録します。

  • 「〇〇さんは今日、上肢の洗体を自力で行えた。移乗時に左膝に痛みあり、次回も温めてから入浴予定」と、具体的な動作と課題を記載します。
  • 入浴拒否があった場合は、声かけの内容や環境を記録し、成功・失敗の要因を分析できるようにします。
  • 安全面の観察(血圧変動、皮膚状態)や本人の満足感も忘れずに記録します。

チームで取り組む入浴ケア

入浴介助は、介護職だけで完結するものではありません。

看護師・リハビリ職・ケアマネジャーなど、多職種が協力することで「安全」と「楽しさ」を両立したケアが可能になります。

まず大切なのは情報共有です。

看護師はバイタルや疾患、薬の影響を伝え、介護職は入浴時の様子や拒否の理由を報告。

リハビリ職は身体機能や動作訓練の提案を行います。

こうした情報の積み重ねが、より安心できる支援につながります。

役割分担も重要です。

介護職が誘導と介助、看護師が皮膚観察と医療的ケア、リハビリ職が動作練習や福祉用具の選定といったように、それぞれの専門性を活かすことで効率もアップします。

さらに、定期的なカンファレンスで具体的な事例を共有し、PDCAサイクルで改善を続けることが、質の高い入浴ケアにつながります。

安全面ではバイタルチェックや転倒防止対策を徹底し、楽しさの面では入浴剤や音楽、季節の飾りなどで演出を加えます。

チーム全員で取り組むことで、利用者さんにとって安心で心地よい入浴時間をつくり、職員にとってもスムーズで負担の少ない支援が実現します。

まとめ

いかがだったでしょうか。

入浴は身体を清潔に保つだけでなく、リラクゼーションや生活の楽しみといった大切な役割を持ちます。

デイサービスでの入浴目標は、アセスメントを丁寧に行い、利用者さんの思いや生活歴に寄り添って立てることが重要です。

SMARTの考え方を活用して「安全・自立・満足感」を軸に具体的な短期・長期目標を設定し、多職種で協力しながら計画・実践・評価を行いましょう。

こうした積み重ねが、利用者さんの生活の質向上につながります。

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