職員向けチェックリスト10項目
私たちが必ず意識すべき、感染対策と食中毒予防のチェックリストを以下に示します。
まずは項目をざっと確認し、その後、各項目の具体的な内容と理由・注意点をお伝えします。
- 出勤前に体温・体調をチェックする
- マスクを正しく着用する
- 手指衛生(手洗い・消毒)を徹底する
- 共用部分や器具をこまめに消毒・清掃する
- 室内を定期的に換気する
- 食事介助前後には手洗いをし、清潔な器具・食器で提供する
- 排泄介助時は手袋・エプロンを着用し、介助ごとに交換する
- 咳エチケットを徹底する(口と鼻を覆う)
- 体調不良や風邪症状があれば速やかに報告し、出勤を控える
- 送迎・休憩中もマスク着用・換気・手指消毒を徹底する
以下、項目別に具体的に解説していきます。
1. 出勤前に体温・体調をチェックする
厚生労働省も、職員は出勤前に必ず体温を測定し、発熱や咳、喉の痛み、下痢・嘔吐などの症状があれば出勤しないよう指示しています。参考:厚労省HP
微熱や体調不良が続く場合は医療機関に相談し、施設には速やかに報告します。
38℃以上の発熱があればもちろん休み、37.5℃程度の熱でも数日中に解熱するまで無理をせず自宅待機し、職場でほかの職員や利用者に感染させないように努めます(通知では解熱後24時間以上は他者との接触を控えるよう求められています)。
また、同居家族に体調不良者がいれば感染リスクを考慮し、同様の対応をとります。
2. マスクを正しく着用する
介護職場ではマスクの着用が引き続き推奨されています。
日本医師会の案内でも、医療機関や介護施設では感染再拡大防止のためマスク着用が勧められています。
マスクは鼻までしっかり覆い、隙間ができないよう装着します。
飛沫を防ぐ基本対策なので、ケアの際はもちろん他の職員と接するときや、同室の利用者さんと会話するときも継続して着用します。
体調が悪い利用者さんや感染が疑われる利用者さんと接する際は、不織布マスクだけでなく、必要に応じてゴーグルやフェイスシールドも併用します。
マスクは外した後もマスクの表面に触れないよう注意し、使い捨てマスクは一度で廃棄、布マスクはこまめに洗濯して清潔に保ちます。
3. 手指衛生(手洗い・消毒)を徹底する
手指衛生は感染対策の基本です。
厚労省のガイドラインでも、「1ケア1手洗い」や「ケア前後の手洗い」を徹底するよう強調されています。
つまり、利用者さんに触れる前後や清潔・無菌操作前、血液・体液に触れた後は必ず手を洗いましょう。
石鹸と流水での手洗いとアルコール消毒薬の両方を活用します。
目に見える汚れや排泄介助・嘔吐物処理の後は石鹸でしっかり洗い流し、それ以外の時は手指消毒薬で手を消毒して手指の汚染を防ぎます。
爪は短く整え、装飾品は外して洗い残しを防ぎましょう。
共有のハンドタオルは使わず使い捨てペーパータオルで手を拭き、流水栓を閉める際も拭いたペーパータオルで触るよう徹底します。
4. 共用部分や器具をこまめに消毒・清掃する
施設内の環境清掃と消毒も重要です。
床・壁などは日常的に水拭きしますが、ドアノブ、手すり、スイッチ、エレベーターのボタンなど、多くの人が触れる場所は消毒用エタノールなどでこまめに拭き取りましょう。
共用の車椅子や歩行器、レクリエーション機器なども利用後に消毒し、器具類はできるだけ利用者ごとに分けて使用します。
食堂やトイレ、手すりのように手が触れる箇所が多い場所には特に注意し、頻度高く清掃・消毒を行います。
清掃の際は手指衛生も忘れず、塩素系薬剤で消毒した後は十分に乾燥させます。
5. 室内を定期的に換気する
空気感染や飛沫感染を防ぐため、施設内や車両などはこまめに換気します。
窓や換気扇を開けて外気を取り入れ、できれば1~2時間おきに5~10分程度、窓全開で空気を入れ替えます。
感染症が疑われる利用者さんがいる時や、大人数での集まりがある時は、換気をさらに頻繁に行い、空間にウイルスが滞留しないようにします。
エアコンや空気清浄機を併用する場合も、換気は可能な限り続けるように心掛けます。
6. 食事介助前後には手洗いし、清潔な器具・食器で提供する
食事介助時の衛生管理が食中毒予防に直結します。
介護職員は食事介助の前に必ず石鹸と流水で手洗いを行い、清潔なエプロンや手袋を着用します。
特に排泄介助の後に食事介助を行う場合は、汚れが目に見えなくても改めて十分に手を洗います。
使用する食器・コップ・介護食器具は洗浄・消毒済みのものを使い、食後は速やかに片付けて洗浄します。
また、介護職員自身が下痢・嘔吐などの症状を抱えたまま食事介助をしないことも重要です。
介護現場における感染対策の手引き(第3版)にも「介護職員等が食中毒病原体の媒介者とならないよう注意する」ことが明記されており、体調が悪いときは介助を代わってもらいましょう。
食材・調理面では、十分に加熱し、食品の保存温度管理を徹底するなど厨房スタッフとも連携して食中毒予防に努めます。
7. 排泄介助時は手袋・エプロンを着用し、介助ごとに交換する
排泄物には多くの病原体が含まれる可能性があるため、おむつ交換や排泄介助の際は使い捨て手袋とエプロン(またはガウン)を必ず着用します。
手袋・エプロンは1人の介助が終わったらすぐに交換し、汚れた手袋やエプロンで他の物品に触らないようにします。
着脱後はその場で石鹸でしっかり手洗いを行い、必要に応じて手指消毒も実施します。
排泄介助をした用具やおむつ処理用バケツは他用途と分け、使用後は高濃度の次亜塩素酸ナトリウム液などで消毒してから汚物袋に密封します。
職員の汚染を防ぐためにも、おむつ交換車など共用器具の使用は可能な限り控え、個別ケアを徹底することが推奨されています。
8. 咳エチケットを徹底する
咳やくしゃみが出るときは必ず口と鼻を覆いましょう。
ティッシュを使用する場合はすぐに捨て、使用後は手洗い・手指消毒を行います。
ティッシュがないときはマスクの上からでも、袖やハンカチ、肘の内側で覆うことが指導されています。
この「咳エチケット」により飛沫を周囲に飛ばさず、接触感染も防ぎます。
また、利用者さんにせき込まれた場合は正面を避け、横や斜めから介助するなど、飛沫が直接口鼻に入らないよう配慮します。
マスク着用中でも、隙間からの飛沫に注意し、手洗いも必ず行いましょう。
9. 体調不良や風邪症状があれば速やかに報告し、出勤を控える
少しでも体調に不安がある場合は放置せず、すぐに上司や感染対策担当者に報告します。
発熱・咳だけでなく、倦怠感や味覚異常、腹痛・下痢など感染を疑う症状があれば休暇を取得し、医療機関を受診します。
厚労省通知でも「発熱等の症状が認められる場合には出勤を行わないことを徹底する」よう求められており、回復後24時間は他者と接触しないよう再度健康観察を続けるべきとされています。
また、同僚や利用者さんが感染症にかかった場合は速やかに情報共有し、必要に応じて体制を見直します。
内部で発生した感染症や食中毒疑いのケースは、マニュアルに従って所管保健所へ報告し、他職員や保護者への連絡体制を整えます。
10. 送迎・休憩中もマスク着用・換気・手指衛生を徹底する
感染対策は勤務時間中だけでなく、送迎時や休憩時間にも意識しましょう。
送迎車では利用者さんと送迎者(職員)の両方にマスク着用を徹底し、窓を開けて車内換気を行います。
利用者さん1人ごとに手指消毒を実施し、乗降時の接触感染も防ぎます。
職員同士の休憩時には距離をとり、会話中もマスクを外さないか短時間にとどめます。
休憩室や事務室も定期的に換気し、共有する飲み物や食べ物の回し飲み・共用は避けます。
これらの対策により、職員間のクラスター発生を防ぎ、施設内全体の感染リスクを低減します。
おわりに
いかがだったでしょうか。
感染症や食中毒の予防は、知識よりも「日々の行動の積み重ね」が重要です。
どれだけマニュアルを整えても、現場で一人ひとりが基本を守らなければ、感染拡大や事故のリスクは高まってしまいます。
今回紹介した10項目のチェックリストは、シンプルですが現場に必要なエッセンスが詰まっています。
職員同士で声をかけ合いながら、全員で意識を高めていくことが安全な職場づくりの第一歩です。
日々のケアの中で予防の視点を忘れず、利用者さんと自分自身の健康を守る行動を習慣にしていきましょう。
【介護事業所の必須研修資料一覧(2025年度版)】
お知らせ①介護サービスごとにわかりやすく、情報公表調査で確認される研修と、義務づけられた研修を分けて記載しています。
また、それに応じた研修資料もあげています。研修資料を探している方は、ぜひ参考にしてください。
【介護職の方へ!老後とお金の不安を解消する方法!】
お知らせ②介護職の仕事をしていると、低賃金や物価の高騰、そして将来に対する漠然とした不安がついて回ります。
特に独身の方は老後の生活費や年金に対する不安が大きいのではないでしょうか?
下記のブログは、そんな不安を解消するために実践すべき7つの方法です。
- 【節約】 これだけでOK!サクッとできる節約テク二ック
- 【資産運用】 低収入でも大丈夫?iDeCo & NISAの超カンタン活用術!
- 【転職】 未経験OK・高待遇!失敗しない介護職の転職術
- 【婚活】 忙しくて出会いがない…独身介護職のための婚活戦略!
- 【お金の勉強】 将来が不安?介護職のためのかしこい資産運用セミナー!
- 【ポイ活】 介護職におすすめ。スマホで簡単!【ワラウ】で楽しくポイ活デビュー♪
- 【副業】 介護職の副業は、これこれ1択!
少しの工夫と努力で、将来の不安を減らし、安心した未来を作るための第一歩を踏み出してみましょう! 詳しくはこちらの記事をご覧ください。