先日、施設内で開催された「感染症対策BCP研修」を受講しました。
コロナ禍なども経験し、感染対策には普段から気を付けているつもりでしたが、この研修を通じて、新たな気づきや反省点 がたくさんありました。
研修を受けて学んだことや、明日から実践したい取り組みについてレポートします。
研修の概要と感染症BCP策定の重要性
今回の研修は、大きく分けて 「感染症BCP(事業継続計画)の策定・運用」 と 「感染症の予防および拡大防止策(実務対応)」 の二本立てでした。
まずBCP研修のパートでは、感染症BCPとは何か、その目的や必要性について学びました。
感染症BCPとは、平時から感染症の流行やクラスター発生に備えて「感染症発生時に事業を止めずに継続するための計画」を策定することです。
講師から「感染症BCPは単なるマニュアルではなく、利用者さんの生活と命を守りつつ必要なサービス提供を止めないための備え」と教わり、その重要性を改めて痛感しました。
研修では、なぜ感染症BCPが必要なのかも具体的に示されました。
2021年度の制度改正で介護施設にBCP策定が義務化され、令和7年(2025年)4月以降は未策定だと基本報酬が減算される決まりになっています。
それだけ国も本気で感染症への備えを求めているということです。
またBCPを一度作って終わりではなく、「策定後は職員への周知・研修・訓練の実施も義務だ」と聞き、日頃から個人個人も意識しておく大切さを感じました。
具体的な内容としては、BCPに盛り込むべきポイントとして「初動対応・職員体制・関係機関との連携・事業継続の工夫」という4つの柱を学びました。
たとえば初動対応では「利用者さんや職員に発熱者が出たらすぐ管理者へ報告し、可能ならその方を隔離して、速やかに保健所等に連絡する」など、発生直後~初日の行動手順を決めておく必要があるとわかりました。
事前に初動を明確に定めておけば、いざという時に現場が混乱せず落ち着いて対応できるとのことです。
次に職員体制では、平時から役割分担や指揮命令系統を決めておくことが大事だと学びました。
誰が初動時の指揮を執るのか、誰がご家族への連絡担当か、感染者対応班や代替要員をどう確保するか、といったことを決め、全員で共有しておく必要があります。
特にクラスターで多くの職員が出勤停止になるリスクもあるため、人員不足に陥った時にどうサービスを維持するかも計画しておかなければなりません。
講師からは「誰が・いつ・何をするのかを明確にしておくことが肝心」と繰り返し強調され、自分たちの施設ではまだそこが曖昧だったなと反省しました。
さらに関係機関との連携についても教わりました。
感染発生時には保健所や行政への報告・相談、嘱託医や利用者さんの主治医への連絡、ケアマネージャーへの情報提供など外部との連携フローが欠かせません。
研修では、万一クラスターが発生した際の近隣医療機関との連携や、複数事業所を運営する法人内での応援体制(物資の融通や人員派遣)の話も出て、地域全体・組織全体で助け合う視点の重要性を学びました。
【事業継続の工夫】の単元では、限られた人手や資源の中で最低限のサービスを提供し続けるためのアイデアについて考えました。
例えば業務の優先順位を決めて重要度の低いものは一時縮小・休止する、通所サービスなら一時休業しても利用者宅へのお弁当配達や安否確認電話を行う、など柔軟な対応策です。
実際に研修中のグループワークでも「デイサービスを止めた場合、代わりに何ができるか?」といった議題で意見を出し合い、平時から代替サービスを準備しておく発想が大切だと感じました。
感染拡大防止策の実務対応で得た学び
研修の後半では、感染症そのものの予防策や現場での拡大防止の具体策について再確認しました。
ここでは手指消毒やマスク着用といった基本的な標準予防策から、嘔吐物の処理手順、消毒液の正しい使い分けなど専門的な内容まで幅広く扱われました。
正直、これらのテーマは日々の業務で当たり前にやっていることばかり…と思っていましたが、「ただやっているつもり」では不十分だと痛感しました。
特に印象的だったのは、講師の「感染症は“防ぐことができる災害”である」という言葉です。
災害は天災で防ぎようがないものもありますが、感染症は一人ひとりの意識と行動で被害を小さくできるという意味だと受け取りました。
この言葉を聞き、私は自分の日頃の対策を振り返りました。
マスクや手洗いは習慣化しているものの、その手洗いのタイミングや方法は正しく徹底できていたか?と問われると、自信がない部分もあります。
研修では正しい手洗い方法・手順を改めて実習し、ただ“やっているつもり”ではなく“意識して丁寧に行うこと”の大切さに気づかされました。
基本的なことほどおろそかになりがちですが、利用者さんを守るためには基本の徹底こそが肝心だと感じました。
また、感染経路を断つための具体的な技術も多く学びました。例えば個人防護具(PPE)の正しい使い方です。
手袋やガウン、マスクの着脱手順については頭では理解していたつもりでしたが、研修で改めてデモンストレーションを見ると「自分のやり方は甘かったかも」と気づく点がありました。
忙しい現場では、つい「手袋をしたまま複数の作業を続けてしまう」「使い捨てエプロンを惜しんでしまい本当は交換すべき場面で着続けてしまう」などの手抜きをしてしまいがちです。
私自身、心当たりが全くないとは言えず、反省しています。
たった一つの気の緩みが大きなリスクにつながることを肝に銘じ、今後はどんな時も基本を省略せず実践しようと決意しました。
さらに嘔吐物や排泄物の適切な処理方法も学べたことは大きな収穫でした。
ノロウイルスなど嘔吐を伴う感染症では処理手順がとても重要ですが、私は正直これまで自信がありませんでした。
しかし今回の研修で、嘔吐物処理の具体的手順や次亜塩素酸ナトリウム消毒液の適切な濃度・使い方まで実践的に教えてもらえたことで、かなり安心できました。
実演を交えた説明だったので、自分でもすぐ現場で活かせそうです。
食中毒予防についても調理担当者との連携の大切さを再認識しました。
研修では「調理部門と介護現場の情報共有が鍵になる」という話があり、例えば「配膳前に職員の健康状態を確認する」「調理後は適切な温度管理を徹底する」など部署間の連携事項が紹介されました。
実際に過去の事例では、調理場の衛生管理不足が原因で集団食中毒を起こしたケースもあると聞き、職種の垣根を超えて協力し合うことの重要性を痛感しました。
介護職だけでなく調理スタッフや看護職とも連携し、「施設全体で感染症を防ぐ」という視点を持って明日から取り組みたいと思います。
新型コロナ流行時の経験を振り返って
研修を受けながら、私は新型コロナウイルスが流行した当時の現場経験を思い出していました。
あの頃、突然の対応に追われて現場は本当に混乱しました。
職員にも感染者や濃厚接触者が出て、一時はシフトが回らないほど人手不足に陥ったことがあります。
実際、全国の多くの施設でコロナ流行下に職員欠勤が相次ぎ、サービス継続が困難になる事態が発生したと研修でも紹介されました。
まさに私たちも同じ状況を体験した一人です。
当時は必死で応急的に回すしかなく、管理者や残ったスタッフでなんとか乗り切りましたが、事前にBCPが整備されていればもっと慌てず対応できたのではないかと今になって感じます。
研修中に紹介された他施設のクラスター事例では、感染拡大の要因が「職員の手指衛生の緩み」や「消毒の不徹底」だったために、結果的に施設全体の運営停止にまで至ったそうです。
自施設でも「あのとき誰か一人でも気を抜いていたら…」とゾッとしますし、逆に一人ひとりが注意を徹底していれば被害を最小限にできるのだと改めて実感しました。
また、コロナ禍ではご家族への連絡・説明にも苦労しました。
面会制限や感染者発生の知らせをする際、ご家族は不安でいっぱいです。
研修ではクラスター発生時のご家族対応についても触れられ、初動時に速やかに文書や電話で状況説明と協力依頼を行うこと、面会制限や差し入れ対応などのルールを明示して不安軽減に努めることが大切だと学びました。
実際、研修のシミュレーションでは「発生当日中にご家族へ説明連絡をする」「問い合わせには丁寧に繰り返し説明し信頼を保つ」といった対応を練習し、情報発信の迅速さと丁寧さが信頼維持の鍵だと理解できました。
振り返れば、感染症流行下では職員も利用者さんも皆が不安を抱えていました。
不安な状況だからこそ、平時からの備えと冷静で的確な初動、そして丁寧なコミュニケーションがどれほど重要か、今回の研修を通じて過去の経験と重ね合わせながら強く感じました。
明日から実践したいこと
研修で得た学びを踏まえて、明日から私が現場で実践しようと考えたことを整理します。
基本の徹底:
手洗い・手指消毒やマスク着用、グローブ交換など基本的な感染予防策を「忙しいから」と省略せず徹底します。自分自身が感染源とならないよう意識し続けます。
役割分担の再確認:
職場の同僚たちと話し合い、BCPで決められた各自の役割を改めて確認・共有します。誰が誰に連絡するか、休んだ場合の代替要員はどうするかなど、事前にシミュレーション訓練も行っておきたいです。
ミニ訓練の定期実施:
ユニット内やフロア内で小規模な感染対応訓練を定期的に企画します。例えば「利用者さんが嘔吐した」という想定で、初動対応やゾーニング、報告連絡の流れを実地で練習し、職員みんなの即応力を高めます。
新人職員への教育:
今回学んだ内容を新人指導にも活かし、配属時から感染症対策の基礎とBCPの考え方を教えていきます。ベテランと新人で知識や意識に差が出ないよう、知識の共有を図りたいです。
情報共有と記録:
日々のバイタルチェックや体調不良者の情報、ヒヤリハット事例などをチーム内ですぐ共有し、「気付きの段階で対処する」習慣を強化します。異変の早期発見・報告・伝達が感染拡大防止には欠かせないと学んだためです。
おわりに
今回の感染症対策BCP研修を受けて、現場職員の一人ひとりの意識と行動が利用者さんの命を守ることにつながると改めて感じました。
研修内容を振り返りながら、自分自身「まだまだ学ぶべきことがある」と痛感すると同時に、「よし、明日からまた頑張ろう」という前向きな気持ちにもなれました。
感染症や食中毒は正しい知識と日々の小さな心がけで予防できます。
大変なことも多いですが、私たち介護職が学び続けて対策力を高めていけば、きっと利用者さんを守れるはずです。
これからも「持ち込まない・広げない・持ち出さない」を合言葉に、安全な介護現場をみんなで作っていきたいと思います。
いかがだったでしょうか。
レポートは文章の上手・下手よりも、あなたなりの学びと前向きな姿勢が伝わることが何より大切です。
このレポートが、少しでもあなたのお役に立つことができればうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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