筆者(とも)
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
令和3年度介護報酬改定において、【感染症の予防及びまん延の防止のための措置】として、
- 感染対策委員会の設置と運営
- 感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備
- 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
が追加されました。
この施行は令和6年3月31日までの間は経過措置が設けられています。
そこで、本記事では「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」のひな型をブログとしました。
介護施設全般に使えるような内容になっています。
そのままコピペで施設に保存しておいてもOKです。
もちろん自施設に合ったものに書き換えていただいてもかまいません。
この記事が施設運営に少しでもお役立てできれば幸いです。
研修動画
本ブログ記事と同じ内容の動画です。
研修等で役立ててください。
この記事を読む価値
- そのまま施設に保管できるような内容です。
- 研修資料としても役立てれます。
- 難しい表現は省いているので、誰でも理解できる内容です。
早速、見ていきましょう。
1、感染症・食中毒の予防・まん延防止の基本的考え方
ケアセンター〇〇は、感染症が発生時、まん延しないように必要な措置を講ずるための体制を整備します。
また平素から対策を実施するとともに、感染予防、感染症発生時には迅速で適切な対応が取れるよう指針を定め、施設全体で取り組みを推進していきます。
2、基本的方針
感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のために、対応方法や報告体制を決め、委員会を設置する等、施設全体で取り組みます。
平常時の対応
① 施設内の衛生管理
当施設では、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のため、施設内の衛生保持に努めます。
又、手洗い場、トイレ、汚物処理室等の整備と充実に努めるとともに、日頃から整理整頓を心がけ、換気・清掃・消毒を定期的に実施し、施設内の衛生管理、清潔の保持に努めます。
② ケアと感染症対策
ケアの場面では、職員の手洗い、手指の消毒、うがいを徹底し、常にマスクを着用します。
又、血液・体液・排泄物・嘔吐物等を扱う場面では細心の注意を払い、適切な方法で対処します。
利用者様の異常の兆候をできるだけ早く発見するために、利用者様の健康状態を常に注意深く観察することに留意します。
③ 面会者・外来者への衛生管理の周知徹底を図り、まん延防止に努めます。
発生時の対応
万一、感染症及び食中毒が発生した場合は、「厚生労働大臣が定める感染症または食中毒が疑われる際の手順」に従い、感染の拡大を防ぐため下記の対応を図ります。
①「発生時の状況把握」
利用者・職員の健康状態の把握をします。
②「まん延防止のための措置」
嘱託医への連絡、必要に応じて施設内の消毒等実施します。
③「有症者への対応」
嘱託医への連絡、必要に応じて医療機関への受診をします。
④「関係機関との連携」
嘱託医、保健所、法人へ報告し、指示を仰ぎます。
⑤「行政への報告」
市町村・保険者・県の施設関係課へ報告をします。
報告について
施設長は、次のような場合には迅速に市町村等の主管部局に報告するとともに、所轄の保健所への報告を行い発生時対応等の指示を仰ぎます。
※報告書式は都道府県、市町村の指定様式とします。
報告が必要な場合
① 同一の感染症もしくは食中毒による、又はそれらによると疑われる死亡者又は重篤患者が、1週間内に2名以上発生した場合
② 同一の感染症もしくは食中毒による、又はそれらによると疑われる者が、10名以上、または全利用者の半数以上発生した場合
③ ①及び②に該当しない場合であっても、通常の発生動向を上回る感染症等の発生が疑われ、特に施設長が報告を必要と認めた場合
※②については、同一の感染症などによる患者等が、ある時点において、10名以上又は全利用者の半数以上発生した場合であって、最初の利用者等が発生してからの累積の人数ではないことに注意。
報告する内容
① 感染症又は食中毒が疑われる利用者の人数
② 感染症又は食中毒が疑われる症状
③ 上記の利用者への対応や施設における対応状況等
なお、医師が感染症法、結核予防法又は食品衛生法の届出基準に該当する利用者又はその疑いのある者を診断した場合は、これらの法律に基づき保健所等への届出を行う必要があります。
3、体制
感染症対策委員会の設置
① 設置目的
感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討するため、感染症対策委員会を設置します。
② 感染症対策担当者
施設長
③ 感染症対策委員会の構成員
施設長・医師・看護師・生活相談員・介護職員・栄養士・理学療法士(作業療法士)
④ 感染症対策委員会の運営
- 委員会は、3か月に1回以上定期的に開催する。
- 関係する委員会や職種、取り扱う事項が相互に関係が深い場合には、他の会議と
一体的に行う場合がある。 - 会議の実施にあたっては、テレビ会議システムを用いる場合がある。
⑤ 感染症対策委員会の主な役割
- 感染症予防対策及び発生時の対応の立案
- 各マニュアル等の作成:感染症の予防マニュアル・感染症対応マニュアル・清掃マニュアル・食中毒予防マニュアル等
- 施設感染課題を明確にし、感染対策の方針・計画を定める
- 感染予防に関する決定事項や具体的対策を施設・事業所全体に周知する
- 発生時における施設内連絡体制及び行政機関、各関係機関への連絡体制の整備
- 利用者・職員の健康状態の把握
- 新規利用者の感染症の既往の把握と対応策
- 委託業者(清掃・調理等)への感染症及び食中毒まん延防止のための指針の周知徹底
- 感染症、衛生管理に関する基礎知識に基づいた研修の実施
- 各部署での感染症対策実施状況の把握と評価
⑥ 職員の健康管理
- 全職員は年1回健康診断を実施する。インフルエンザの予防接種について、接種の意義、有効性、副作用の可能性等を職員へ十分に説明の上、同意を得て予防接種を行う。
- 職員が感染症を罹患している場合は、感染経路の遮断のための完治まで適切な処置を講じる。
各職員の役割
施設内において、感染症・食中毒の予防・まん延防止のためのチームケアを行う上で、各職種がその専門性に基づいて適切な役割を果たします。
施設長
- 感染症・食中毒の予防・まん延防止体制の総括責任
- 感染症発生時の行政報告
医師
- 診断・処置方法の指示
- 各協力病院との連携
看護師
- 医師、協力病院との連携
- ケアの基本手順の教育と周知徹底
- 衛生管理・安全管理の指導
- 外来者への指導
- 予防対策への啓発活動
- 早期発見・早期予防の取り組み
- 経過記録の整備
- 職員への教育
生活相談員
- 医師・看護職員と連携を図り、予防・まん延防止対策を強化
- 緊急時連絡体制の整備(行政機関・施設・家族)
- 発生時及びまん延防止の対応と指示
- 経過記録の整備
- 家族への対応
介護職員
- 各マニュアルにそったケアの確立
- 生活相談員・看護職員・栄養士・調理員との連携
- 利用者の状態把握
- 衛生管理の徹底
- 経過記録の整備
栄養士
- 食品管理・衛生管理の指導
- 食中毒予防の教育・指導の徹底
- 医師・看護職員の指示による利用者の状態に応じた食事の提供
- 緊急時連絡体制の整備(保健所各関係機関)
- 経過記録の整備
理学療法士(作業療法士)
- 施設内の環境整備・備品の整備(居宅介護支援事業所職員・地域包括支援センター職員)※併設されている場合
- 施設の状況把握
- 在宅利用者の状態把握
- 衛生管理の徹底
職員教育
全ての従業員に対して、感染症対策の基礎知識の周知徹底を図るとともに指針に基づいた衛生管理と衛生的なケアの励行を図り職員教育を行います。
- 定期的な教育・研修(年2回以上)
- 新任者に対する感染症対策研修の実施
- その他必要な教育・研修の実施
指針の閲覧について
この指針はホームページにて公表します。
参考:厚労省HP
おわりに
いかがだったでしょうか。
マニュアルによって適切な対応と予防策を講じることで、利用者さんやご家族との信頼関係を築き、施設の評価を高められます。
そしてマニュアルは施設に保管しておくだけではなく、定期的に研修等で職員へ周知させ、苦情対応への準備をしておくことは重要だと思います。
その際はぜひ、本ブログを参考にしていただければ幸いです。
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