虐待防止につながるピアサポート│介護者同士の交流会が持つ力【高齢者虐待防止研修】
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『虐待防止』というと、マニュアルや通報体制づくりに目が向きがちです。
でも実際には、日々のストレスや孤立感が積み重なった先に、不適切な関わりが生まれることもあります。
だからこそ今、注目したいのが「ピアサポート」という考え方です。
仲間同士が対等な立場で支え合うことが、虐待予防の土台になります。
本記事では、交流会が持つ力と、その具体的な活かし方をわかりやすく解説します。
この記事を読むメリット
- ピアサポートがなぜ虐待防止につながるのかが理解できる
- 交流会を現場でどう始め、続けるかの具体策がわかる
- 職員のストレス対策と安全なケアを両立するヒントが得られる
それでは早速みていきましょう。
ピアサポートとは何か

ピアサポートとは、同じ立場や同じ経験をしてきた人どうしが、対等な関係で支え合うことです。
先生と生徒のような上下の関係ではなく、「仲間」として話を聞き合うのが特徴です。
同じ悩みをもつ人が集まる交流会では、次のような効果があります。
- 「わかるよ」と共感してもらえる
- 一人ではないと感じられる
- 安心して本音を話せる
孤立しがちな人にとって、大切な居場所にもなります。
この『ピアサポート』の考え方は、介護や看護の現場でも役立ちます。
仕事の中で感じた迷いやストレスを、「こんなこと言っていいのかな」と抱え込んでしまう人は少なくありません。
安心して話せる場があれば、いら立ちや無理な対応につながる前に気持ちを整理できます。
私が関わっているグループホームでも、職員同士で気軽に話せる場があるところは、「ちょっと聞いてほしい」と早めに声が上がりやすく、問題が大きくなる前に対応できている印象があります。
ピアサポートは、働く人にとっても大切な支え合いの形です。
虐待リスクとピアサポートの接点
介護現場で起きる虐待は、「その職員だけが悪い」とは言い切れません。
厚労省の資料では、職場の体制や人手不足、育成の仕組みなど、組織の問題が職員の行動に影響することがある、とされています。
虐待の原因には、次のようなものがよく取り上げられます。
- 知識や経験の不足
- 強いストレス
- 感情をうまくコントロールできない状態
しかし、これらは本人の性格だけでなく、忙しさや相談できない環境とも関係しています。
強い疲れや気持ちの消耗があると、大声を出す、無視する、必要なケアをしないといった不適切な関わりが増える可能性があるとされています。
だからこそ大切なのは、「結果」だけを見るのではなく、日々の過程を整えることです。
- 困ったことを相談できる
- 声をかけ合える
- つらいときは交代できる
- 学び直す機会がある
こうした環境を守ることが、虐待予防につながります。
実際に、職員の入れ替わりが多く、相談できる相手がいない施設では、職員のストレスが高くなりやすく、不適切な関わりが問題になるケースが多いです。
一方で、日ごろから声をかけ合う文化がある施設では、「少し気になる関わり」にも早めに気づき、チームで修正できていると感じます。
交流会が「持つ力」を裏づける知見
「交流会って、本当に意味があるの?」と感じる方もいるかもしれません。
実は医療や介護の現場では、「振り返り」や「気持ちを話す場」が、働く人の心を支えることが分かっています。
海外では、職員同士が集まり、ケアの中で感じたことを安心して話せる場がつくられています。
発言は無理に求められず、話した内容も外に出ないルールで行われます。
こうした場に参加すると、強いストレスを感じにくくなるという研究もあります。
ただし、交流会だけですべてが解決するわけではありません。
やる気や仕事の満足度までは、大きく変わらないこともあります。
だからこそ大切なのは、交流会だけに頼らないことです。
- 相談しやすい仕組み
- 学び直しの機会
- 働きやすい環境づくり
これらとセットで考えることが重要です。
また、「こんなこと言っていいのかな」と思わずに話せる空気づくりも欠かせません。
小さな違和感を言える職場は、大きな問題になる前に気づくことができます。
私の知り合いの介護施設でも、振り返りの場がある施設では、「少し言い方が強くなってしまった」といった気づきが共有され、トラブルの予防につながっています。
一方で、そうした機会が少ない施設では、「忙しくて気づかなかった」という声が多く、同じ対応が繰り返されがちです。
交流会は万能ではありません。
それでも、支え合える職場をつくるための大切な土台になります。
交流会を「仕組み化」する設計と運用
交流会は、やり方を間違えると、ただの愚痴の場や、注意を受ける場になってしまいます。
虐待防止につなげるには、「何のためにやるのか」を最初に決めておくことが大切です。
目的は、職員を責めることではなく、安心して振り返りができる場をつくることです。
形としては、月1回・30~60分ほど、いくつかの職種で集まり、気持ちも含めて振り返る方法が参考になります。
忙しい施設では、短時間から始め、無理なく続けることが現実的です。
大事なのは、単発で終わらせず、定期的に続けることです。
私が働く施設でも、最初は形だけの会議になっていましたが、「人を責めない」「気持ちも話してよい」とルールを明確にしたことで、徐々に本音が出る場に変わっていきました。
特に管理者が「まずは聴く姿勢」を見せることで、現場の安心感が大きく変わると感じています。
守りたい基本ルールは、次のようなものです。
- 話した内容は外に出さない
- 人を責めない
- まずは聴くことを大切にする
- 危険な内容は正式な報告ルートへつなぐ
特に最後の点は重要です。
虐待が疑われる場合は、交流会で抱え込まず、決められた手順で報告します。
交流会は支え合う場であり、問題対応の代わりではありません。
進行役に求められるのは、専門知識よりも「安心できる雰囲気」を守る力です。
また、強いストレスを抱えている職員がいれば、専門の相談先につなぐ準備も必要です。
交流会は万能ではありませんが、続けることで、声を上げやすい職場づくりの土台になります。
つまずきやすい点と効果の見方
交流会は、始めても長続きしないことがあります。
理由の多くは「忙しくて参加できない」ことです。
介護現場では特に、シフトや人手不足が大きな壁になります。
だからこそ、最初から参加しやすい時間や方法を考えておくことが大切です。
短時間でもよいので、無理なく続けられる形にします。
あるデイサービスでは、業務後ではなく「朝礼後の10分」などに短時間で実施することで、参加率を保っています。
また、「相談が増えた=悪化」ではなく、「声が上がるようになった」と前向きに捉えることで、取り組みが継続しやすくなっています。
そしてその「効果」を見るときは、虐待の件数だけで判断するのは危険です。
相談しやすくなれば、件数が一時的に増えることもあります。
それは悪いことではなく、声が上がるようになった証拠とも考えられます。
目安にしやすいのは、次のような点です。
- 交流会が定期的に開かれているか
- いろいろな職種が参加しているか
- 困りごとが正式な相談ルートにつながっているか
- 職員が「相談しやすい」と感じているか
職員のストレスの状態や、相談できる相手がいるかどうかも大切なポイントです。
そして忘れてはいけないのは、交流会は問題をごまかす場ではないということです。
虐待が疑われる場合は、決められた手順で記録し、報告します。
支え合う場と正式な対応は分けて考えることが、利用者さんを守ることにつながります。
グループワーク
それでは、今回学んだことをもとにグループワークをしていきましょう。
グループワークをすることで、ただの知識ではなく、自分事として落とし込むことができます。
グループワークの目的は【ピアサポートを“理想”で終わらせず、自分たちの職場でどう実践するかを考える】ことです。
ワーク①「今の職場で、安心して話せる場はあるか?」
グループで話し合います。
- 困ったとき、誰に相談していますか?
- 本音を言えていると感じますか?
- 言いにくい空気はありませんか?
現状を正直に出し合うことが第一歩です。
ワーク②「虐待の芽を止めるためにできること」
次の問いについて話し合います。
- ストレスがたまったとき、どうしていますか?
- “危ないサイン”はどんなときに出ますか?
- 仲間として、何ができそうですか?
最後に、明日からできる行動を1つ決めましょう。
【例】
- 月1回のミニ振り返りを提案する
- 「困ってない?」と声をかける習慣を作る
- 交代しやすい雰囲気づくりを意識する
それぞれ10分程度話し合い、グループの代表者が発表します。
おわりに
いかがだったでしょうか。
虐待防止は、誰か一人を注意することでは実現しません。
大切なのは、困ったときに声を上げられる職場をつくることです。
交流会は小さな取り組みですが、その積み重ねが、利用者さんを守る大きな力になります。
そして交流会は、愚痴の場ではなく、利用者さんを守るための支え合いの仕組みです。
安心して話せる空気があれば、小さな違和感にも早く気づけます。
正式な対応手順と役割を分けながら、支え合える土台を育てていくことが、安全で質の高いケアにつながります。
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介護サービスごとにわかりやすく、情報公表調査で確認される研修と、義務づけられた研修を分けて記載しています。
また、それに応じた研修資料もあげています。研修資料を探している方は、ぜひ参考にしてください。
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