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近頃は、利用者さんの写真や映像を撮る場面が増えてきています。
行事の記録やご家族への報告、広報活動など、写真は便利な手段ですが、その一方で「個人情報のかたまり」であるという意識がとても重要です。
無断での撮影や公開は、利用者さんの尊厳を傷つけるだけでなく、施設全体の信頼にも関わります。
本記事では、写真・映像の適切な扱い方や注意すべきポイント、同意の取り方などについて、介護職員として押さえておくべき基本をわかりやすく解説します。
この記事を読むメリット
- 写真・映像の取り扱いに関する正しい知識が身につく
- トラブルを未然に防ぐための具体的な対策がわかる
- 利用者・ご家族との信頼関係を築く力が高まる
それでは早速みていきましょう。
写真・映像の取り扱いが重要な理由

写真や映像にはその人の姿や様子がはっきりと映り込みます。
誰にでも「勝手に撮られたくない」「公表されたくない」という肖像権があります。
そのため、無断で写真を撮影・公開すると、利用者さんの心を傷つけ、信頼関係を壊してしまう恐れがあります。
また写真や動画の不適切な扱いは、施設全体の信用を損ねる原因にもなります。
実際に、SNSに無断で投稿された映像が問題となり、施設の評判を大きく落としたケースもあります。
最悪の場合、法的トラブルや職員の処分に発展することもあるため注意が必要です。
こうしたリスクを防ぐには、撮影や使用の際に必ず事前の同意を得ること、情報の取り扱いを慎重に行うことが重要です。
利用者さんとご家族が安心してサービスを受けられるよう、信頼と配慮ある姿勢を常に心がけましょう。
写真・映像に含まれる「個人情報」とは?
顔や姿がはっきり映っている写真や映像は、名前が出ていなくてもその人を特定できるため、それ自体が個人情報となります。
さらに、写真に映り込むものの中には、思わぬ情報が含まれていることがあります。
【例】
- 名札や表札などにより氏名が判明する
- 居室や施設の背景から生活場所が特定できる
- 制服や趣味の服装などから職業や嗜好が分かる
- 車いすや医療器具の使用から健康状態が推測される
このように、たった一枚の写真でも、本人のプライバシーに関わる情報が多数読み取れてしまう可能性があります。
写真・映像は非常に強い個人情報であるという意識を持ち、取り扱いには十分な配慮と慎重さが求められます。
よくありがちなNG例と改善ポイント
介護現場での写真・映像の取り扱いには、ちょっとした油断が大きな問題につながることもあります。
以下にありがちなNG例と、その改善ポイントを整理しました。
NG①:本人の了承を得ずに撮影
利用者さんが嫌がっているのに「記録のため」と無断で撮影してしまうケース。
改善策: 撮影前には必ず本人の意思を確認し、「撮られたくない」という意思表示があれば尊重する。どうしても必要な場合は、顔が写らないよう工夫する。
NG②:同意を得ていない人の写真を誤って使用
行事写真などで同意を得ていない利用者さんが写り込み、そのまま広報に使ってしまうケース。
改善策: 事前に「写真NGリスト」を職員間で共有し、撮影時や掲載前に必ず確認。必要に応じてモザイク処理や写真の差し替えを行う。
NG③:職員が私的にSNSへ投稿
利用者さんの写真や動画を職員が無断でSNSにアップするという深刻な事例。
改善策: SNSの利用ルールや個人情報保護に関する研修を徹底し、就業規則でも明確に禁止する。違反時は厳正な対応を行い、再発防止に努める。
このようなNG例は、いずれも事前の確認と情報共有、そして職員全体の意識づけによって防げるものです。
利用者の尊厳と安全を守るため、日々の業務で丁寧な配慮を欠かさないようにしましょう。
撮影前に必要な「同意」の取り方
利用者さんの写真や映像を撮影する際には、必ず事前に同意を得ることが原則です。
本人が判断困難な場合は、ご家族や成年後見人など代理人からの同意が必要です。
同意を得る際のポイントは次の通りです。
- 「誰が・いつ・何のために」撮影するのかを具体的に伝える
- 「どのように使うか」(例:広報誌やホームページへの掲載)を明確にする
- 可能であれば書面での同意書を交わす(署名ありが望ましい)
- 契約時の包括同意ではなく、写真の利用には個別の同意書を用意する
- 本人が無理な場合は、ご家族や後見人に確認をとる
また、同意を得られなかった場合は撮影を控える、もしくは顔が分からないように写すなどの配慮が必要です。
写真や動画は個人情報そのものであり、目的外利用は個人情報保護法に抵触する恐れがあります。
安心してサービスを受けてもらうためにも、利用者さんの気持ちを尊重し、丁寧な説明と同意取得を心がけましょう。
どんな場面で注意が必要か
前述のように、まずは撮影前に必ず本人またはご家族・後見人から明確な同意を得ることが原則です。
そのうえで、以下のような場面では注意が必要です。
季節の行事やイベント:
夏祭りや運動会、クリスマス会などでは写真を撮る機会が増えます。同意を得ていない利用者さんが映らないよう、事前の同意状況の確認と、アングルや配置の工夫が必要です。万が一映ってしまった場合は、モザイク処理などの対応も行いましょう。
日常の記録や様子:
日々の生活での自然な笑顔やリハビリの様子も、ご家族にとっては貴重な記録です。しかし、たとえ日常の一コマであっても、本人のプライバシーに関わる内容であれば、勝手に撮影してはいけません。特に、他の利用者さんが背景に写っていないか、居室の内部情報が映っていないかなども確認しましょう。嫌がる様子があれば無理に撮らず文章などで記録する方法もあります。
SNSやネット投稿:
施設の公式SNSに写真を投稿する場合は特に慎重な対応が必要です。一度ネット上に掲載すれば、不特定多数に一気に拡散する可能性があるため、本人とご家族の明確な許可を取りましょう。また、他の利用者さんが映っていないか最終確認を徹底します。さらに、職員個人のSNSに写真を載せる行為は厳禁です。これは守秘義務違反に当たり、施設の信頼を損なう重大な問題となります。
安全な保存と管理のルール
介護現場で撮影した写真や動画は、個人情報を多く含むため、漏洩のリスクを避けるためにも厳重な保存・管理が必要です。
以下のような基本ルールを守りましょう。
限定された保存場所:
画像データは職員用の共有サーバーや専用パソコン内のフォルダなど、施設内の決められた場所に保存します。USBや私物の端末に無断で移したり、外部へ持ち出すことは禁止です。紙の写真の場合は鍵付きキャビネットや金庫に保管し、外部の人の目に触れないよう管理しましょう。
アクセス権限の管理:
写真や映像にアクセスできる職員は業務に必要な最小限の人員に限定します。パソコンやフォルダにはパスワード設定やアクセス制限を設け、外部からの不正アクセスやデータ流出を防ぎます。必要に応じて暗号化などのセキュリティ対策も講じましょう。
保存期間と廃棄方法:
不要になった写真・動画はいつまでも保管せず、保管期間を決めて定期的に確認・削除します。削除する際は、ゴミ箱に移すだけでなく、完全削除やシュレッダー処理を行い、復元できないようにするのが重要です。
端末・機器の管理:
写真データを保存しているパソコン、タブレット、スマホなどにはパスワードや画面ロックを設定し、万一の紛失・盗難に備えます。原則として職員の個人端末に写真データを保存しないよう徹底し、やむを得ず使用する場合は事前に許可を得た上で、使用後の速やかなデータ削除を徹底します。
このように、写真や映像の取り扱いには細心の注意を払い、利用者さんの安心と信頼を守る環境を整えることが大切です。
万が一、トラブルが起きたら
写真や映像の取り扱いでは、どれだけ気をつけていてもトラブルが起きてしまう可能性はあります。
そんな時は、慌てず、誠意ある対応を取ることが大切です。
以下に基本的な対応の流れをまとめます。
①上司への報告と拡散防止
問題に気づいたら、すぐに上司や責任者に報告しましょう。同時に、誤って公開した写真・映像があればすぐに削除し、拡散を防ぐための緊急対応を行います。
②事実関係の確認
どの写真が、どこに、どのように漏れたのかを正確に調べ、原因を明らかにします。
③本人・家族への説明と謝罪
被害を受けた利用者さんやご家族には、速やかに経緯を説明し、心から謝罪します。原因や今後の再発防止策についてもきちんと伝えましょう。
④関係機関への報告
ケースによっては、市区町村や個人情報保護委員会など、関係機関への報告が必要になります。施設の規定に沿って対応しましょう。
⑤再発防止策の実施
トラブルの原因を分析し、再発防止策を検討・実施します。たとえば、同意リストの管理方法の見直しやチェック体制の強化などを行い、決定した対策は全職員に周知徹底します。
日々の業務中、写真や映像を扱う場面が少なくありませんが、その一つ一つに丁寧な配慮が求められます。
トラブルを防ぐには、「本人の気持ちを大切にする」という基本を忘れず行動することが何より大切です。
利用者さんとご家族の信頼を守るため、今一度チームでルールを確認し、安全な運用を心がけましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
写真や映像は、利用者さんの笑顔や日々の様子を記録できる貴重な手段ですが、その裏には大きな責任が伴います。
介護職員一人ひとりが「これは利用者さんの大切な個人情報である」という意識を持ち、慎重に取り扱うことが必要です。
同意の取得、保存・管理、公開方法など、どの場面でも「本人の気持ちを大切にする」姿勢が信頼関係につながります。
利用者さんとご家族が安心して過ごせる環境を守るために、日々の業務の中で適切な対応を心がけていきましょう。
それではこれで終わります。
この研修記事が御社の運営に少しでもいかしていただければ幸いです。
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