新人介護職がすぐ辞める理由|ダメな教え方とその対策
- 新人がすぐ辞めて悩んでいる介護職・リーダー
- 指導のやり方に自信がない方
- 教え方のバラつきをなくしたい方
- 新人との関係づくりに悩んでいる方
- 職場の定着率を上げたい管理職
新人介護職が「辞めよう」と決める3つの瞬間

新人スタッフは、決して介護の仕事そのものが嫌で辞めるわけではありません。
多くの場合、彼らは「この職場では、自分は人間として大切に扱われていない」「ここでいくら努力しても成長できない」と絶望した時に、退職を決断します。
放置される恐怖
「忙しいから、とりあえずこのオムツ交換の手順だけ見て覚えておいて」と、十分な説明もなくフロアに一人ポツンと放置される時間。彼らにとって、それは「仕事」ではなく「隔離」です。
指導者によって言うことが違う
A先輩には「丁寧にやりなさい」と教わり、B先輩には「そんなの遅い、効率優先でやって」と怒られる。この矛盾にさらされ続ければ、新人は何を信じて動けばいいのか分からなくなり、自信を喪失します。
理念と現場のギャップ
研修で学んだ「利用者様に寄り添う個別ケア」と、現場の「作業を回すことが最優先」という空気感。理想を抱いて入職した新人ほど、この落差を「嘘をつかれた」と感じ、絶望します。
新人を潰してしまう先輩の「5つのダメな教え方」
あなたの施設で、こんな教え方をしていないでしょうか?
今一度、指導担当者の行動をチェックしてみてください。
①感覚・背中を見て覚えろ型
「介護は泥臭い仕事だから、先輩の動きを盗め」と、明確な手順や根拠を示さず放任する。
言語化できない指導は、新人には何も伝わりません。
②マシンガントーク型
一度に1から10までを説明し、新人の理解度を確認せずに次の業務へ向かう。
知識の詰め込みはパンクを招くだけです。
③後出しジャンケン型
事前に教えていないローカルルールを、ミスをした後に「普通、これくらい気付くでしょ」と責める。
これは指導ではなく、単なる嫌がらせです。
④人格否定・ため息型
ミスに対して「本当に物覚えが悪いね」「介護に向いてないんじゃない?」と、能力ではなく人格を否定する言葉をかける。
これは即座に信頼関係を破壊します。
⑤失敗の放置型
ミスをしたことは指摘するのに、「なぜ起きたのか」「次はどうすればいいのか」という建設的なフィードバックをせず、ただ業務から外す。
新人は「自分は邪魔者なんだ」と感じてしまいます。
「仕事ができる人」ほど、新人指導で失敗する理由
私がかつて現場で犯した最大の失敗は、ケア技術が誰よりも高い「ベテランのエース職員」を、新人の指導係に任命したことでした。
その職員は「言わなくても見ていればわかる」という天才肌タイプでした。
しかし、新人が戸惑っていると「なんでそんなこともできないの?」とため息をつき、新人が質問しようとすると「今忙しいから後にして」とあしらいました。
結果、意欲に満ち溢れていた新人は、3週間で「自分には介護の才能がない」と自信を完全に失い、退職してしまいました。
指導とは、個人のスキルに頼るのではなく、組織として「誰が教えても同じ基準で合格点を出せるマニュアル」があること。
そして、新人の「できない苦しみ」に共感できる優しさを持つ人材こそが、優れた指導者であるということを、この経験から学びました。
新人が定着する「正しい指導・4つのステップ」
新人が安心して学び、成長を実感できる指導のステップ(OJT)を導入しましょう。
ステップ1:Show(やってみせる)
まずは先輩が手本を見せます。
この時、最も重要なのは「なぜそうするのか(根拠)」を伝えることです。
「腰痛予防のために重心をここに置く」「利用者さんの不安を和らげるために、必ず正面から声をかける」など、意味を教えることで納得感が生まれます。
ステップ2:Tell(説明する・言ってみせる)
手順を細分化し、新人に言葉で復唱してもらいます。
「まずはここを持って、次にこう動きますよね」と言葉でアウトプットさせることで、理解の抜け漏れを防ぎます。
ステップ3:Do(やらせてみる)
先輩が見守る中で実際にやってみます。
この時、決して途中で手を出しすぎないことがコツです。
ミスをしそうになっても、事故に繋がらない限りは見守り、やり遂げた後に修正案を出しましょう。
ステップ4:Check & Praise(評価・褒める)
「できた部分」を具体的に褒めます。
「今日の声かけはすごく優しかったね」「前よりもシワなくシーツが敷けているよ」と、小さな成長を認めることが、新人の自己効力感を高めます。
課題は、一度にすべて言わず「次はこの一点だけ気をつけてみよう」と、一つに絞ってフィードバックします。
おわりに
新人介護職が辞めていく現場には、必ず「新人の失敗を許容しない空気」や「誰が教えてもいいという無責任な体制」があります。
新人は、施設にとって「コスト」ではありません。
私たちが日々向き合っている重労働を、数ヶ月後には一緒に背負ってくれる「かけがえのないパートナー」です。
彼らが離職することは、現場にさらなる負担をかけ、残された先輩たち自身の首を絞めることと同義です。
「誰もが最初は初心者だった」という原点に立ち返りましょう。
「最近の若い子は」と愚痴を言う前に、私たち自身の教え方を振り返る。
丁寧なフィードバックと温かい眼差しで新人を育てることは、結果として、私たち自身の業務の負担を減らし、働きやすい環境を守ることに繋がります。
まずは今日、新人の小さな進歩を見つけ、「今日、ここは上手だったね」と声をかけることから始めてみませんか。
その小さな一歩が、定着率を劇的に改善する始まりになります。
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