とも
とも
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。システム障害は、いつでも生じる可能性があります。備えは必ず必要です。
この記事はこんな方にもおすすめ
  • すぐ使える研修資料がほしい  
  • 急ぎでも伝わる資料を作りたい  
  • 職員が興味を持つ研修テーマは?  
  • 去年と同じ内容ではまずい…  
  • 研修担当じゃないけど伝えたい

筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

読者さんへの前おきメッセージ

介護施設では、記録や申し送り、利用者さんの情報管理、請求業務など、毎日の仕事の多くを介護ソフトに頼っています。

そのため「介護ソフトが使えなくなる」ことは、現場にとって大きな不安につながります。

しかし、地震や水害、停電、通信障害、サイバー攻撃などによって、システムが突然止まることは、決して特別なことではありません。

BCPでは、こうした事態を「起きてから考える」のではなく、「起きる前提で備える」ことが求められています。

この記事では、介護ソフトが使えなくなった場合を想定し、現場で迷わず動くために何を決めておくべきかを、できるだけ分かりやすく整理します。

この記事を読むメリット

 

システム障害をBCPで扱うべき理由

システム障害に女性が驚いている

私たちは日々、介護ソフトを使って記録を書いたり、申し送りをしたり、利用者さんの情報を共有したり、請求の手続きをしたりと、介護ソフトは欠かせない存在です。

その一方で、災害や事故が起きて電気やインターネット、サーバが止まると、仕事が一気に進まなくなる危険があります。

厚労省の自然災害BCPガイドラインでは、連絡手段の確保だけでなく、「電気が止まってサーバが使えなくなった場合」も想定するよう示されています。

その場合に備えて、次のようなことをBCPに書いておく必要があります。

  • パソコンが使えないときの手書き対応の方法
  • サーバが置いてある場所の安全性(浸水しないか)
  • データが消えないためのバックアップの取り方

想定すべきシステム障害のパターン

「介護ソフトが使えない」と言っても、原因は一つではありません。

止まった理由によって、最初に取る行動(初動対応)が変わります。

そのためBCPでは、原因ごとに分けて想定しておくことが大切です。

まず多いのが、停電や機器の故障によるものです。

地震や事故で電気が止まると、サーバやパソコンが動かなくなり、介護ソフトが使えなくなります。

この場合は、すぐに紙で記録するなど、手書き対応へ切り替える準備が必要になります。

次に考えておきたいのが、通信が使えなくなるケースです。

インターネット回線が切れたり、回線が混雑したりすると、クラウド型の介護ソフトは使えなくなります。

このためBCPでは、

  • 電話以外の連絡方法(メールやSNSなど)
  • 連絡先リストの定期的な見直し
  • 被災していない遠くの施設を中継点にする考え方

などを決めておくことが勧められています。

三つ目は、外部のトラブルです。

施設の機器が無事でも、介護ソフトの会社やクラウドのシステムに障害が起きると、ログインできなくなることがあります。

この場合は、復旧を待つだけでなく、「復旧するまで紙で運用する」とすぐ判断できる仕組みが重要です。

最後に、サイバー攻撃も無視できません。

ウイルス感染などでデータが暗号化され、ファイルが開けなくなる被害は、医療や介護の現場でも実際に起きています。

介護ソフトが使えなくなる原因として、「攻撃される可能性」も考えておく必要があります。

平時に作っておくダウンタイム運用

BCPで最も大切なのは、システムが止まっている間でも、最低限の介護を続ける方法を決めておくことです。

これを「ダウンタイム運用」と呼びます。

システムが止まると、現場でまず困るのは、「誰に何をしたか分からない」「申し送りが伝わらない」「薬や注意点が確認できない」といったことです。

そのため、あらかじめ紙で持つ情報を決めておく必要があります。

介護施設では、次の3つに分けて考えると分かりやすくなります。

①利用者の安全に直結する情報
利用者一覧、緊急連絡先、持病やアレルギー、服薬内容、食事形態、転倒の注意点など

②ケアを回すための情報
申し送り用紙、その日の職員配置、食事・排泄・清拭のチェック

③あとで戻すための記録
いつ止まったか、何をしたか、連絡の記録、紙記録の番号

大切なのは、紙を用意するだけでなく、どこに置くか・誰が管理するか・いつシステムに戻すかまで決めておくことです。

また、データのバックアップも欠かせません。

バックアップは、別の場所に保管し、何日分残すか、誰がどの順で復旧するかを決めておきます。

ときどき実際に戻せるか確認することも大切です。

さらに、介護ソフトの会社(ベンダ)への連絡先や、復旧が分からない場合に紙へ切り替える判断基準をBCPに書いておくと、現場が迷いにくくなります。

発生時の初動対応

実際の現場では、次の順番で動くのが安全です。

あわてて復旧を急ぐほど、ミスや混乱が広がりやすくなります。

  1. まず「紙運用」に切り替える
  2. 次に「原因を分けて考える」
  3. その後で「復旧の方針」と「外部への連絡」を進める

最初に行うのは、紙での対応です。

記録、申し送り、服薬確認など、命と安全に関わる業務を最低限回すことを優先します。

パソコンが直るまで待つのではなく、「使えない前提」で動きます。

次に、何が原因で止まっているのかを整理します。

たとえば、停電なのか、ネットが切れているのか、端末の故障なのか、ソフト会社側の問題なのか、といった切り分けです。

この整理ができると、次に何をすべきかが見えやすくなります。

復旧の進め方と個人情報対応

システムが止まったあとの対応で大切なのは、「元に戻す」だけでなく「安全に戻す」ことです。

急いで復旧すると、データが壊れたり、情報が外に漏れたりする危険があります。

BCPでは、次のような流れを決めておくと現実的です。

  1. 利用者の安全に関わるものから復旧する
  2. 介護ソフトが直るまで紙での対応を続ける
  3. 復旧後は、紙の記録を入力し直し、内容を確認する

特に、食事や服薬などに関わる記録は、間違いが起きないようダブルチェックが必要になります。

また、システム障害では個人情報の扱いにも注意が必要です。

介護ソフトには、病気の情報や介護記録など、とても大切な情報が入っています。

もし情報が外に漏れた可能性がある場合は、決められたルールに沿って報告が必要になります。

  • 早めの報告(数日以内が目安)
  • 状況が分かった後の正式な報告
  • 本人への連絡が必要な場合がある

復旧と個人情報対応をセットで考えておくことが、利用者さんと施設の両方を守ることにつながります。

実例から学ぶ「止めない」ための要点

BCPの大切さは、実際に起きた事例を見ると分かりやすくなります。

A病院の調査報告では、サイバー被害が分かった直後に対策本部を立ち上げ、BCPに沿って対応しました。

そのとき最初に決めた基本方針は、「今いる利用者を守る」ことでした。

そのため、記録や事務作業よりも、利用者さんの安全確保を優先し、当日から会議を開いて情報共有と連携を行いました。

  • まず守るのは「今、施設にいる利用者」
  • 記録や請求などは後回しにしてよい
  • 職員同士で情報を集め、判断材料をそろえる

「仕事を止めない」とは、すべてを続けることではなく、守る順番を間違えないことです。

別の事例を紹介します。

子会社のパソコン1台がサイバー攻撃を受けたことがきっかけで、グループ全体の多くのファイルが開けなくなる被害が起きました。

暗号化されたファイルの中には個人情報も含まれていましたが、専門機関の調査で外部への流出は確認されなかったとのことです。

この事例から分かるのは、「たった1台の感染でも、仕事全体が止まる可能性がある」ということです。

介護施設でも、1台のパソコンから介護ソフトが使えなくなり、記録や情報共有ができなくなる事態は十分に考えられます。

研修で使える机上訓練と評価指標

研修では、「書いてある手順が本当に動くか」を確かめる形が効果的です。

机上訓練は、むずかしく考えなくても、次の3つの場面を想定するだけで十分です。

①ネットが使えない場合
クラウドに入れない状況を想定し、紙の記録セットがどこにあるか、利用者一覧や服薬情報がすぐ使えるか、申し送りをどう回すかを確認します。

②施設内が停電した場合
サーバが止まった想定で、手書き事務への切り替え、バックアップの保管場所、持ち出す書類を確認します。

③サイバー攻撃が疑われる場合
ファイルが開かない想定で、パソコンを止める、ネットを切る、記録を守る、外部に相談する流れを確認します。

評価は、細かくしすぎない方が続けやすくなります。

おすすめは、次の3つです。

  1. 紙の運用に切り替えるまでに、どれくらい時間がかかったか
  2. 利用者一覧や服薬情報が、最新の状態だったか
  3. バックアップや記録の保管が、決めたとおりにできていたか

これらを見るだけでも、「どこが弱いか」がはっきりします。

研修を年に1回のイベントで終わらせるのではなく、短時間でも定期的に行うことで、非常時に落ち着いて動ける力が身についていきます。

おわりに

いかがだったでしょうか。

介護ソフトが使えなくなったときに大切なのは、すぐに元に戻すことよりも、利用者さんの安全を守りながら介護を止めないことです。

そのためには、紙での対応や役割分担、判断の順番を、平時のうちに決めておく必要があります。

BCPは、立派な文章を作ることが目的ではありません。

非常時に「次に何をするか」が分かり、現場が落ち着いて動けることが何より重要です。

研修や机上訓練を通して、計画を実際に使ってみることで、弱点や改善点も見えてきます

介護ソフトが使えない状況を想定したBCPづくりは、利用者さんと職員、そして施設そのものを守るための大切な備えです。

お知らせ①【介護事業所の必須研修資料一覧(2026年度版)】

介護サービスごとにわかりやすく、情報公表調査で確認される研修と、義務づけられた研修を分けて記載しています。

また、それに応じた研修資料もあげています。研修資料を探している方は、ぜひ参考にしてください。

テレビ会議
介護事業所の必須研修資料一覧【2026年度版】介護事業所や施設には、いろいろな研修が必要です。でも「あれは必須研修だった?」、「あの研修は情報公表調査にのっていたっけ?」など忘れてしまうことがあります。そんな方の為に、介護サービスごとにわかりやすく、情報公表調査で確認される研修と、義務づけられた研修を分けて記載しています。また、それに応じた研修資料もあげています。...

お知らせ【介護職の方へ!老後とお金の不安を解消する方法!】

介護職の仕事をしていると、低賃金や物価の高騰、そして将来に対する漠然とした不安がついて回ります。

特に独身の方は老後の生活費や年金に対する不安が大きいのではないでしょうか?

下記のブログは、そんな不安を解消するために実践すべき7つの方法です。

少しの工夫と努力で、将来の不安を減らし、安心した未来を作るための第一歩を踏み出してみましょう! 詳しくはこちらの記事をご覧ください。

悩んでいる中年女性
このままじゃヤバい!介護職が抱える老後とお金の問題【不安解消の為の7つの方法】低賃金での生活が続き、物価は上がり続ける一方、将来に対する漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。この記事は、そんな悩みを少しでも解消できるように節約・資産運用(iDeCo、NISA)・お金に関するセミナーの受講・ポイ活・中高年の婚活・副業・転職の7つについてお伝えします。...
ABOUT ME
tomoblog
介護士の資格取得/スキルUP/転職について記事を書きています。 作業療法士/介護福祉士/ケアマネージャー資格等の保有