介護の仕事は、高齢者の生活を支え、心に寄り添う大切な役割を担っています。
だからこそ、その関わり方ひとつで、利用者さんの尊厳を守ることもあれば、知らず知らずのうちに傷つけてしまうこともあります。
「自分はそんなことしない」と思っていても、忙しさや経験不足から不適切な対応になってしまうことは誰にでも起こりうることです。
本記事では、新人職員の皆さんが知っておくべき「虐待」の基本をわかりやすく解説し、現場で気をつけたい言動や予防のためのポイントを紹介します。
大切なのは、「相手の立場に立って考える」こと。
安心して働ける環境と、利用者さんが笑顔で過ごせる毎日のために、今ここで一緒に学んでいきましょう。
この記事を読む価値
- 新人職員向けの簡単な内容です。
- 読み進めるだけで15分程度の研修にできます。
- 入社オリエンテーションで使っていただくと便利です。
早速、見ていきましょう。
それ、虐待かも?新人が知っておきたい基本知識
介護の現場では、高齢者との関わり方ひとつで、その人の尊厳を守ることも、傷つけることもあります。
とくに新人職員の皆さんは、「どこからが虐待になるのか」「自分は大丈夫だろうか」と不安に感じるかもしれません。
高齢者虐待とは、暴力や暴言だけを指すものではありません。
本人の同意なくお金を使ったり、必要な介護を怠ったり、本人の意思を無視して一方的に世話をすることも虐待にあたる場合があります。
【虐待5種類】
- 身体的
- 心理的
- 性的
- 経済的
- ネグレクト
大切なのは「本人の気持ちを置き去りにしていないか」という視点です。
日本では「高齢者虐待防止法」により、高齢者への不適切な対応が法律的にも問題視されています。
「高齢者虐待防止法」について詳しく知りたい方は、コチラの記事をご参照ください。
知らずにしてしまう虐待の背景とは?
虐待と聞くと「自分には関係ない」と思うかもしれませんが、実際には悪気がないままに起きてしまうケースも少なくありません。
その背景には、さまざまな要因が関係しています。
たとえば、人手不足や業務の忙しさが続くと、心にも体にも余裕がなくなり、つい乱暴な対応をしてしまうことがあります。
介護の知識や技術が十分でないと、高齢者の言動を誤解したり、どう接していいか分からなくなったりして、適切でない対応につながることもあります。
また、認知症の症状に戸惑い、何度も同じ質問をされることでストレスがたまり、イライラしてしまうこともあるでしょう。
そうした日々の積み重ねが、知らず知らずのうちに虐待へとつながることもあります。
職場の雰囲気も関係しています。
相談できる人がいない、無理なシフトが続く、職員同士の連携が取れない――こうした環境では、気持ちがすり減ってしまい、冷静さを失いやすくなります。
新人職員が気をつけたいNG言動とその理由
現場では、時間に追われたり、思うようにいかないことが多くあると思います。
ですが、その中でも「してはいけないこと」「言ってはいけないこと」はしっかり意識しておく必要があります。
たとえば、無理に身体を動かしたり、ベッドに縛ったりすることは、たとえ介護のしやすさを考えての行動でも、身体的虐待にあたります。
本人の身体に傷や痛みを与えるだけでなく、自分の意思で動く自由を奪うことにもつながります。
怒鳴ったり、無視をしたり、子ども扱いをするような言動は、心理的虐待にあたります。
相手にとっては、心に深い傷を残す行為です。
また、羞恥心への配慮を欠いた排泄介助や着替えの方法も、場合によっては性的虐待とされることがあります。
お金の使い方も注意が必要です。
本人の了承を得ずに金銭を管理したり、必要な支出を制限したりすることは、経済的虐待にあたるおそれがあります。
さらに、入浴や食事を提供せずに放置したり、必要な医療や介護サービスを受けさせなかったりすることは、ネグレクトです。
これらは、本人の健康や尊厳を大きく損なう行為です。
虐待には至らないが、放っておくと虐待に発展してしまうような言動のことを「不適切なケア」とよびます。
「不適切なケア」について詳しく知りた方は、コチラの記事をご参照ください。
現場でのサインに気づくには?観察と違和感を大切に
高齢者自身が「虐待されています」とはっきり言うことは、実はあまり多くありません。
そのため、周囲がいち早く異変に気づくことがとても重要です。
たとえば、理由のないアザや傷が体にある、表情がこわばっていたり、元気がなくなっていたりする。そんな小さな変化も、見逃さないようにしましょう。
衣服が汚れていたり、部屋が極端に不衛生だったりすることも、何かがうまくいっていないサインかもしれません。
また、食欲の変化や、不自然な拒否反応、介助を極端に嫌がるような態度も見逃してはいけません。
本人がうまく言葉で説明できない場合もあるので、「なんだかおかしいな」と感じる違和感を大切にしてください。
虐待を防ぐために日頃からできること
日々の仕事の中で虐待を防ぐためには、何よりもまず「相手の立場に立つこと」が基本です。
そして、焦らず、慌てず、一つひとつのケアを丁寧に行う意識が必要です。
まず、自分自身の介護技術を高めることが、安心できるケアにつながります。
知識があることで、誤解や不安からくるトラブルを減らせます。
また、ストレスをためすぎないように、自分の心身の状態にも気を配りましょう。
疲れたときや、感情的になりそうなときは、無理をせずに周りに頼ることも大切です。
高齢者とは、しっかりと向き合い、言葉や表情を通して丁寧に関わることが信頼関係のもとになります。
そして、職場の仲間とは日頃から声をかけ合い、困ったときにすぐに相談できる関係を作っておくことが、虐待を防ぐ力になります。
先輩からのアドバイス:困ったときはどうする?
現場で「これって大丈夫かな?」と迷ったときや、「もしかして虐待かも」と感じたときは、絶対に一人で抱え込まないでください。
判断に迷うときこそ、相談することが大切です。
虐待の疑いがある場合には、職場内の上司や虐待防止の担当者に必ず報告してください。
法律では、介護職員が虐待を見つけた場合、市町村に通報する義務があると定められています。
万が一のときには、地域包括支援センターなどの専門機関に連絡をすることも必要です。
通報したことで職員が不利益を受けることはありません。
通報者は法律によって守られていますので、安心して相談・報告してください。
通報の手順等について詳しく知りたい方は、コチラの記事をご参照ください。
問題が起きたときには、組織全体で対応することが基本です。
一人の判断で抱え込まず、周囲と協力しながら、適切な対応を心がけましょう。
現場で気をつけたい!3つの場面別チェックポイント
介護の現場では、「日常的なケア」「急なトラブル」「家族対応」の3つの場面で特に注意が必要です。
日常的なケアでは、慣れが生まれる分、雑な対応になりがちです。
利用者さんの表情や言葉を軽視せず、毎回の声かけや動作を丁寧に行うことが大切です。
急なトラブルが起きたときには、感情的にならず、まずは落ち着いて状況を確認しましょう。
焦って怒鳴ったり、力づくで対応してしまうと、それが虐待につながる危険があります。
また、ご家族との関わりでは、高齢者本人の意思を置き去りにしないよう注意が必要です。
ご家族の意見に流されすぎず、あくまで「本人の立場」を尊重する姿勢が求められます。
おわりに
いかがだったでしょうか。
高齢者虐待を防ぐために大切なのは、特別な技術よりも「気づくこと」と「相談すること」です。
「これって大丈夫かな?」と迷ったとき、その小さな違和感を大切にして、信頼できる人に話してみてください。
一人で抱え込まないことが、虐待の芽を早く見つけ、安心できるケアにつながります。
そして何より、利用者さんの気持ちに寄り添い、尊厳を大切にする姿勢を忘れないでください。
今日学んだことを心にとめて、毎日のケアに役立ててもらえたらうれしいです。
どんなときも、「誰のために、何のためにこの仕事をしているのか」を思い出しながら、チームで支え合って、よりよい介護を一緒に目指していきましょう。
【介護事業所の必須研修資料一覧(2025年度版)】
お知らせ①介護サービスごとにわかりやすく、情報公表調査で確認される研修と、義務づけられた研修を分けて記載しています。
また、それに応じた研修資料もあげています。研修資料を探している方は、ぜひ参考にしてください。
【介護職の方へ!老後とお金の不安を解消する方法!】
お知らせ②介護職の仕事をしていると、低賃金や物価の高騰、そして将来に対する漠然とした不安がついて回ります。
特に独身の方は老後の生活費や年金に対する不安が大きいのではないでしょうか?
下記のブログは、そんな不安を解消するために実践すべき7つの方法です。
- 【節約】 これだけでOK!サクッとできる節約テク二ック
- 【資産運用】 低収入でも大丈夫?iDeCo & NISAの超カンタン活用術!
- 【転職】 未経験OK・高待遇!失敗しない介護職の転職術
- 【婚活】 忙しくて出会いがない…独身介護職のための婚活戦略!
- 【お金の勉強】 将来が不安?介護職のためのかしこい資産運用セミナー!
- 【ポイ活】 介護職におすすめ。スマホで簡単【ワラウ】でポイ活デビュー♪
- 【副業】 介護職の副業は、これこれ1択!
少しの工夫と努力で、将来の不安を減らし、安心した未来を作るための第一歩を踏み出してみましょう! 詳しくはこちらの記事をご覧ください。