「これって虐待?」デイサービスにおける虐待防止の視点【高齢者虐待防止研修】
- すぐ使える研修資料がほしい
- 急ぎでも伝わる資料を作りたい
- 職員が興味を持つ研修テーマは?
- 去年と同じ内容ではまずい…
- 研修担当じゃないけど伝えたい
デイサービスの現場では、「これは虐待になるのだろうか」と迷う場面が少なくありません。
殴る・蹴るといった分かりやすい暴力だけでなく、言葉づかいや待たせ方、介助の仕方など、日々の小さな関わりが利用者さんの尊厳を傷つけてしまうこともあります。
本記事では、高齢者虐待の基本から、現場で起きやすい具体例、早期発見の視点や予防の仕組みまでを整理しました。
研修にそのまま活かせる内容としてまとめています。
この記事を読むメリット
- 現場で迷いやすい場面がわかる
- 研修や職員指導にすぐ使える
- 虐待防止の具体的な行動につなげられる
それでは早速みていきましょう。
研修のねらいと背景

高齢者虐待は、「殴る・蹴る」といった目に見える暴力だけではありません。
お世話をしない「ネグレクト」、心を傷つける言葉、性的な行為、お金を勝手に使うことなども虐待にあたります。
令和6年度の調査では、施設で働く人による虐待の相談は3,633件、実際に虐待と判断されたものは1,220件でした。
どちらも年々増えていて、過去で一番多くなっています。
ここでいう「施設で働く人」には、介護職だけでなく、施設長や事務職員も含まれます。
虐待が起きる理由として多いのは、次のようなことです。
- 知識や意識が足りない
- 仕事の理念や倫理観が弱い
- ストレスが強く、感情をうまくコントロールできない
つまり、悪気がなくても起きてしまうのが虐待の怖さです。
デイサービスでは、送迎や入浴、食事などが短時間に集中します。
そのため、言葉づかいや力の入れ方、利用者さんを待たせる時間などが「これは大丈夫?」と迷いやすい場面になります。
高齢者虐待の基本
虐待は大きく2つに分けられます。
ご家族などが行う「養護者による虐待」と、施設で働く人が行う「養介護施設従事者等による虐待」です。
デイサービスは介護保険サービスなので、職員の行為は後者にあたります。
もちろん後者の虐待の方が、罪は重くなります。
虐待の種類は次の5つです。
- 身体的虐待(たたく、強く押す など)
- 介護の放棄・放任(必要なお世話をしない)
- 心理的虐待(暴言や無視)
- 性的虐待
- 経済的虐待(お金を勝手に使う)
大切なのは、「わざとではないから大丈夫」と考えないことです。
その行為によって、利用者さんの尊厳や安全、健康、生活が傷ついていないかを見ることが重要です。
デイサービスで迷いやすい「これって虐待?」場面
デイサービスでは、いきなり大きな暴力が起きるよりも、毎日の小さな関わりの中で問題が起きやすいと言われています。
気づかないうちに、利用者さんを傷つけてしまうこともあります。
送迎・移乗で起きやすいこと
送迎のときに、急がせて強く腕を引っぱったり、無理に車へ乗せたりする行為は、身体的虐待に近づきます。
移乗でも、必要以上に強い力で持ち上げる、乱暴に扱うといった行為は注意が必要です。
声かけ・呼び方・待たせ方
次のような行為も、尊厳を傷つける可能性があります。
- 子ども扱いした呼び方やあだ名
- 命令口調や強い言い方
- 声をかけずにいきなり介助する
- 呼んでいるのに無視する
- 「ちょっと待って」と何度も言い、長く待たせる
暴力がなくても、心を傷つければ心理的虐待につながります。
食事・入浴・排せつの介助
本人が嫌がっているのに無理に食べさせることは問題です。
また、排せつの話を大声でする、カーテンを閉めずにケアをするなども、羞恥心を傷つけます。
職員の都合が優先になっていないか、振り返ることが大切です。
身体拘束になっていないか
緊急の場合を除き、体をしばる、動きを強く制限することは原則として認められていません。
やむを得ず行う場合も、きちんと理由を記録する必要があります。
日々の「これくらい大丈夫」という気持ちが積み重なると、大きな問題になります。
小さな違和感を見逃さないことが、虐待防止の第一歩です。
身体拘束についてもっと具体的に知りたい方は、こちらの資料をどうぞ。
早期発見の視点
「これは虐待だろうか」と迷っている間に、状況が悪くなることがあります。
虐待は、いきなり深刻になるとは限りません。自治体では、次3段階に分けて考えています。
- 「緊急事態」
- 「すぐに関わる必要がある段階」
- 「見守りや支援が必要な段階」
デイサービスでは、とくに“まだ小さい問題”のうちに気づくことが大切です。
いわゆる「不適切ケア」を早めに見つけることが、虐待防止につながります。
そのために役立つのが「虐待の芽チェックリスト」です。
たとえば、
- 命令口調になっていないか
- 声かけなしで介助していないか
- 長く待たせていないか
- 無理強いをしていないか
- 乱暴な介助になっていないか
などを確認できます。
大切なのは、誰かを責めるためではなく、気づきを共有することです。
定期的に実施し、話し合い、改善につなげることが、安心できる職場づくりにつながります。
「不適切なケア」についての資料を確認したい方は、こちらの資料をどうぞ。
予防の仕組みづくり
虐待防止は、「一人ひとりが気をつける」だけでは続きません。
大切なのは、職場全体で回していく“仕組み”を作ることです。
厚労省のガイドラインでは、事業所に次のことが求められています。
- 虐待防止のための委員会を開く
- 防止のための指針を作る
- 研修を定期的に行う
- 担当者を決める
通所介護(デイサービス)も、これらの決まりが適用されます。
以前は努力義務の期間もありましたが、現在はきちんと行うべきものとして位置づけられています。
対策が不十分な場合、報酬が減る仕組みもあります。
また、法律でも、研修の実施や苦情を受け付ける体制づくりが定められています。
つまり、現場での「気づき」と、制度としての「決まり」の両方を整えることが大切です。
仕組みがあってこそ、安心して働ける環境がつくられます。
疑いを含めた対応フロー
デイサービスで「もしかして虐待かも」と感じたら、まず大切なのは利用者さんの安全です。
けがの有無や不安な様子がないかを確認し、安心できる環境を整えます。
そのうえで、事実を落ち着いて確認し、再発を防ぐ行動につなげます。
次に重要なのが、通報や相談をためらわないことです。
法律では、職員が業務中に虐待を受けたと思われる高齢者を見つけた場合、市町村へ通報する義務があるとされています。
特に命や体に大きな危険があるときは、すぐに通報しなければなりません。
「守秘義務があるから言えないのでは」と心配する声もありますが、通報は守秘義務に反しないと定められています。
また、通報したことを理由に不利益な扱いを受けないよう守られています。
通報後は、市町村などが事実確認を行い、必要な指導や改善支援につなげます。
現場は求められた情報をきちんと伝え、調査に協力することが、再発防止への大切な一歩になります。






