こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。先日、以下のようなツイートをしました。
意外と算定されていないADL維持等加算。今までデイだけの加算だったけど、2021年4月度の介護報酬改定で特養など5つの介護サービス事業で算定可能となった。算定の難易度も低下している。にもかかわらず算定している事業所が少ないのはなぜだろう。売上アップにはもってこいの加算だと思うのだけど。
— とも@介護士ブログを運営 (@tomoaki_0324) December 17, 2022
意外と算定されていないADL維持等加算。
今までデイだけの加算だったけど、2021年4月度の介護報酬改定で特養など5つの介護サービス事業で算定可能となった。算定の難易度も低下している。
にもかかわらず算定している事業所が少ないのはなぜだろう。
売上アップにはもってこいの加算だと思うのだけど。
僕の働く事業所では、2年前からADL維持等加算を算定しています。セラピスト1人で管理できます。
これでOK!介護施設のADL維持等加算の解釈・算定方法・計算方法をわかりやすく解説します!
筆者
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職にとって必要な情報をシェアしていきたいと思います。
この記事を読む価値
- ADL維持等加算について理解できます。
- 自分の働く事業所でも算定できるかがわかります。
- なぜADL維持等加算がこれから重要視されてくる加算なのかわかります。
早速、見ていきましょう。
ADL維持等加算とは
ADL維持等加算は2021年4月度の改定に伴い、加算単位が10倍に増え、算定要件が大きく緩和されました。
加算単位がこれだけ大きくなったということは、それだけ国から期待されている加算です。
算定要件の変更の背景には、
「介護事業所が、高い収益が期待できる利用者のみを受け入れる、ということ防止する」「介護事業所の提供するケア等によって、日常生活動作機能の向上・維持を実現できる利用者を増やすこと」
を目的とされています。
ADL維持等加算の詳細・算定要件
改定前後の比較は下記のとおりです。
算定対象施設
【改定前】
- デイサービス
【改定後】
- デイサービス
- 認知症対応型デイサービス
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 介護老人福祉施設
- 特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設
ADL維持等加算(Ⅰ)
次に単位数と算定要件を改定の前後で比較しながら載せていきます。
※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定はできません。
単位数:
【改定前】3単位/月
【改定後】30単位/月
算定要件:
【改定前】
- 5時間以上の利用回数が、5時間未満の利用回数を上回っていること。
- 利用者総数が20名以上いること。
- 評価対象利用期間の初月内で、要介護3以上の利用者が利用者総数の15%以上いること。
- 評価対象利用期間の初月時点で、要介護・要支援認定を受けた月から12か月以内の利用者が利用者総数の15%以下であること。
- 評価対象利用期間の初月・6か月目で、利用者の90%以上の
- BarthelIndex(ADL値)※1の測定結果を厚生労働省に提出していること。
- ADL利得(※2)が上位85%の利用者全員のADL利得を合計した数値が0以上であること。
※1 Barthel Indexについて詳しく解説している記事はこちらです。
※2 評価対象利用開始月から起算して6か月目に測定したADL値から、評価対象利用期間の初月に測定したADL値を差し引いたもの。
【改定後】
- 事業所の評価対象利用期間が6か月を超える利用者が、利用者総数の10名以上いること。
- 利用開始月・利用該当月の翌月から6か月目に、BI(バーサル・インデックス)に関する研修を受けた者がADL値を測定、測定日が属する月ごとに科学的介護システム「LIFE」に登録する。
- 利用者開始月の翌月から6か月目に測定したADL値から、利用者開始月に測定したADL値を差し引いたものに(ADL利得)、初月のADL値・要介護認定に関する数値を加えたADL利得(調整済ADL利得)の平均数値が「1」以上。
1度読んだだけで理解できる人はおそらくいないのではないでしょか。
ではここを掘り下げて解説します。
まずは"ADL利得"について再度説明します。
ADL利得とは"評価対象利用開始月から起算して6か月目に測定したADL値から、評価対象利用期間の初月に測定したADL値を差し引いたもの"のことです。
例えば、
通所介護の利用者の佐藤さんは、評価期間初月のバーセルインデックスが70点で、7月目(翌月から6月目)のバーセルインデックスが80点だったとします。
ではADL利得はどうなるかというと、80点-70点=10点です。
違う利用者の鈴木さんの場合、評価期間初月のバーセルインデックスが65点で、7月目(翌月から6月目)のバーセルインデックスが60点だったとします。
このような場合ADL利得は、60点-65点=-5点となります。
次に"調整値"について説明します。
調整値というのは、「要介護認定を受けたばかりの方だと数か月後には身体の状態が良くなっている可能性が高い。要介護認定を受けて1年以上経過してある程度身体の状態が固定されている人と同じ扱いにしては良くない」という考えのもと、作られたものです。
下記の表は、利用者の初回の要介護認定があった月から起算して12か月以内である者を【A】としそれ以外を【B】とした場合のものです。
※デイサービスの加点表で、同じ条件でもサービス内容によって加点が異なるため要注意。
次に"調整済ADL利得"についてです。
佐藤さんは仮に「要介護認定を受けて15か月経過」、鈴木さんは「要介護認定を受けて9か月経過」とします。
佐藤さんの調整済ADL利得はこのようになります。
10点(ADL利得)+3点(加点)=13点
鈴木さんの調整済ADL利得はこのようになります。
-5点(ADL利得)+1=-4点
そして最後に、調整済ADL利得の上位下位それぞれ1割の者を除き、それを平均した値が1以上であるということが加算算定の条件になるわけです。
ADL維持等加算(Ⅱ)
こちらも、単位数と算定要件を改定の前後で比較しながら載せていきます。
単位数:
【改定前】6単位/月
【改定後】60単位/月
算定要件:
【改定前】
- ADL維持等加算(Ⅰ)の算定要件(改定前)の①・②を全て満たしている。
- 評価対象利用期間終了後もADL値を測定、厚生労働省に提出している。
【改定後】
- ADL維持等加算(Ⅰ)の算定要件(改定後)の①・②を全て満たしている。
- 利用者開始月の翌月から6か月目に測定したADL値から、利用者開始月に測定したADL値を差し引いたものに(ADL利得)、初月のADL値・要介護認定に関する数値を加えたADL利得(調整済ADL利得)の平均数値が「2」以上。
(引用サイト:令和3年度介護報酬改定の主な事項について(厚生労働省発行))
改定に伴う経過措置対応
経過措置対応を適用する且つ、改定前のADL維持等加算(Ⅰ)の算定要件を満たしている場合は、ADL維持等加算(Ⅲ)が加算されます。
おわりに
いかがだったでしょうか。
算定要件を満たすには苦労しますが、今後必ず必要となる加算です。
今回詳しく理解できたのをきっかけに、算定を考えてみてはいかがでしょうか。
それではこれで終わります。
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