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- 資料作成を急いでいる、でもちゃんと伝わる内容にしたい
- 現場の職員が興味持ってくれるテーマって何?
- 去年と同じ内容じゃまずいよな…
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筆者(とも)
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
介護の現場では、利用者さんの意識消失(いわゆる気絶や失神)が突然起こることが、ちょくちょくあります。
意識消失とは一時的に意識を失う状態のことで、多くの場合は数秒から数分以内に意識が回復します。
ですが、短時間でも利用者さんの反応がなくなると驚いてしまうものです。
よって利用者さんが突然意識を失った場合に何をすべきかを、日頃から理解しておくことが重要です。
本研修資料では、介護施設で働く職員が急な意識消失に直面した際に取るべき対応についてまとめます。
主な原因と予兆サイン、初期対応の手順、状況別の注意点、そして現場対応のポイント(「動かさない」「記録を残す」「報告」等)を、専門用語をできるだけ避けて分かりやすく解説します。
急な意識消失の主な原因と予兆サイン
意識消失を引き起こす原因はさまざまですが、介護現場で注意すべき主な原因は以下の4つです。
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血など)
- 心停止・心疾患によるもの
- 低血糖発作(糖尿病など)
- 失神(起立性低血圧・迷走神経反射など)
それぞれ具体的にみていきましょう。
①脳卒中(脳梗塞・脳出血など)
脳の血管が詰まったり破れたりする脳卒中によって、脳への血流や酸素供給が障害されると、重篤な場合には意識を失うことがあります。
特に大きな脳出血や広範囲の脳梗塞が起きると、意識消失や意識障害を伴うことがあります。
予兆となるサイン:
脳卒中による意識消失の前には、片側の手足に力が入らない・しびれる、口や顔の片側が垂れる、ろれつが回らないといった症状が現れることがあります。
また突然の激しい頭痛や嘔吐、視野が欠ける・二重に見えるなどの症状も要注意です。
こうした症状が見られた場合、「これまでに経験したことのない頭痛」や明らかな片麻痺などがあれば脳卒中の可能性が高いため、ただちに医療機関へ連絡(119番通報)します。
②心停止・心疾患によるもの
心臓の動きが突然止まる心停止や、重度の不整脈・心筋梗塞など心臓の疾患によって脳に血液が送れなくなると、人は数秒で意識を失います。
心停止が起きると呼びかけても反応がなく、普段通りの呼吸もしていない状態になります。
放置すると3〜5分で脳に深刻な障害が及ぶため、即座の対応が必要です。
予兆となるサイン:
心臓由来の場合、意識消失の直前に胸の痛み(胸部圧迫感)や動悸、息切れを訴えるケースがあります。
たとえば「胸が苦しい」「脈が飛ぶ感じがする」といった訴えがあった後に急に倒れた場合は、心疾患や不整脈による失神が疑われます。
特に胸痛や動悸を伴う突然の意識消失は心臓発作の可能性があるため緊急性が高いです。
心停止に至った場合は反応も呼吸もない状態となるので、ただちに心肺蘇生(後述)を開始し119番通報します。
③低血糖発作(糖尿病など)
低血糖とは血液中のブドウ糖(血糖値)が異常に低くなる状態で、糖尿病の方がインスリンや薬を使用している場合などに起こりえます。
脳はブドウ糖をエネルギー源としているため、血糖値の急激な低下によって脳にエネルギーが行き渡らなくなると意識を失うことがあります。
一般的に血糖値が50mg/dL以下に下がると意識混濁や昏睡状態に陥る危険があります。
予兆となるサイン:
低血糖による意識消失には特徴的な前兆があります。
代表的なのは冷や汗(発汗)や手指の震え、顔面の青白さです。
また動悸がする、ふらつく、異常な行動をとるといった症状や、ひどくなるとけいれん発作が起こる場合もあります。
利用者さんが糖尿病を患っている場合は特に注意が必要で、顔色が悪く汗をかいて元気がないときは「血糖値が下がりすぎていないか?」を念頭に置いてください。
④失神(起立性低血圧・迷走神経反射など)
失神とは一時的に脳へ行く血流が低下することで起こる意識消失です。
急に立ち上がったときに血圧が下がる起立性低血圧や、痛み・驚き・恐怖などで迷走神経が刺激されて血圧が下がる迷走神経反射(神経調節性失神)などが該当します。
これらは高齢者だけでなく若い人にも起こり得ますが、高齢者の場合は心臓病や血圧調節機能の低下によって失神しやすい傾向があります。
予兆となるサイン:
失神の直前には、「なんとなく気分が悪い」「目の前が急に暗くなる」といった訴えがみられることがあります。
具体的には眠気(うとうとする)、顔色不良(顔面蒼白)、冷汗、吐き気、あくびなどが典型的なサインです。
たとえば長時間立っていた後に「気分が悪い…」「目の前がチカチカする」と言いはじめ、顔色が青白く冷汗をかいている場合は、まもなく失神する可能性があります。
このような兆候に気づいたらすぐに安全を確保しましょう(その場に座ってもらう、作業中止など)。
上記以外にも、高齢者の場合は熱中症(高体温による意識障害)やてんかん発作、食事中の窒息なども意識消失の原因になります。
日頃から利用者さんの持病や既往歴を把握し、「どのような持病がある方が意識を失ったか」によって原因を推測し対応策を考えることが大切です。
意識消失時の初期対応:介護職がまず行うべきこと
利用者さんが急に反応を失った場合、慌てずに迅速な初期対応を取ることが命を守る鍵となります。
意識消失時の基本的な対応手順は次の①→⑦です。
- 安全の確保
- 反応の確認
- 応援を呼ぶ(周囲への連携)
- 呼吸と脈拍の確認(バイタルチェック)
- 119番通報と救命処置(必要に応じて)
- 気道確保と嘔吐物への注意
- 状況の記録と引継ぎ
それぞれ具体的にみていきましょう。
①安全の確保
利用者さんが意識を失いそうな様子に気付いたら、まず転倒など二次事故を防ぐことが最優先です。
立っている場合は急ぎ支えて座らせる、入浴中ならすぐ湯船から上げるか湯を抜く、車椅子移乗中ならベルトを締める・床に降ろすなど、可能な範囲で安全な体勢にします。
周囲に危険な障害物や家具があればどけて、頭部をぶつけないよう保護しましょう。
利用者さん本人と他の利用者さんの安全確保が最初の一歩です。
②反応の確認
安全を確保したら、利用者さんに声をかけて反応を確かめます。
肩や腕を軽くトントンと叩き、「○○さん、聞こえますか?」「大丈夫ですか?」と大きな声で呼びかけます。
このとき強く揺すったり大声で怒鳴ったりしないよう注意します。
名前や刺激に対して目を開けたり返事をしたりするか確認しましょう。
③応援を呼ぶ(周囲への連携)
呼びかけに反応が鈍い、または無い場合は、一人で対応しようとせず他のスタッフに応援を要請します。
具体的にはその場で大声で助けを呼ぶか、ナースコールや館内放送が使える場合は所定の緊急呼び出し用フレーズ(例:「○○で急変です!至急応援お願いします」)で応援を依頼します。
近くに看護職がいればただちに連絡し、医務室などにいる場合は走って呼びに行ってもらいます。発見者本人は利用者から目を離さずその場を離れないことが原則です。
④呼吸と脈拍の確認(バイタルチェック)
反応がない利用者さんに対して、呼吸の有無をまず確認します。
胸やお腹の動きを見て普段通りの呼吸をしているか、途切れ途切れの呼吸(あえぎ呼吸)になっていないか確かめます。
可能なら手首の脈(橈骨動脈)にも触れ、脈拍が感じられるか確認します。
看護師や他職員が来たら、血圧計・聴診器・パルスオキシメーターなどを用いてバイタルサインの測定も行います。
呼吸や脈がある場合でも極端に弱い・不規則な場合は危険な状態です。
「呼吸なし」または「脈が触れない」場合は心停止状態と判断し、直ちに次の救命処置に移ります。呼吸や脈がある場合でも意識が戻らなければ、119番への連絡は必要です。
⑤119番通報と救命処置(必要に応じて)
反応がなく呼吸もしていない場合は、ただちに119番通報を行い救急車を要請します。
周囲に人手があれば、一人は心肺蘇生法(CPR)の準備・実施、もう一人が電話通報というように役割分担しましょう。
心肺蘇生を行う際は、胸骨圧迫(いわゆる心臓マッサージ)を開始し、施設内にAED(自動体外式除細動器)があれば持ってきてもらいます。
「意識がなく呼吸もない」場合は迷わず胸骨圧迫を開始し、可能であれば人工呼吸やAED装着も行います(※職員は日頃からAEDの使い方を理解し、定期的な訓練を受けておきましょう)。
具体的な手順については、こちらの記事をご覧下さい。
119番通報時には「意識がない」「呼吸がない(または普段と違う呼吸をしている)」ことを伝えると、オペレーターが状況に応じて蘇生手順の指示をしてくれます。
呼吸や脈拍がある場合でも、意識が戻らず明らかに普段と様子が違うときは躊躇せず救急車を呼びます。
判断に迷うときは#7119(救急相談センター)に相談し指示を仰ぐ方法もあります。
⑥気道確保と嘔吐物への注意
呼吸がある場合でも意識が戻らないときは、舌や嘔吐物による窒息を防ぐため気道の確保を行います。
具体的には利用者さんを横向きの安定した体位(回復体位)にして、嘔吐や誤嚥が起きても喉が詰まらないようにします。
嘔吐がみられたら、頭部を横に向けて吐瀉物が気道に入らないよう介助しましょう(可能であれば吸引器を使用)。
呼吸が確保できている場合でも、顔色や意識レベル、呼吸状態を継続的に観察しながら救急隊や看護師の到着を待ちます。
なお、食事中の場合で喉に異物が詰まっていたり、吐瀉物が口腔内に残っていたりする場合は、指を口に突っ込んで無理に取ろうとしないことも大事です(奥に押し込んでしまう危険があるため)。
⑦状況の記録と引継ぎ
応急対応を行いながら、発生時刻や発見状況、行った処置などを簡単にメモしておくと後で落ち着いてから記録を作成するのに役立ちます。
救急隊や医師に引き継ぐ際も、「いつ、どこで、どんな状況で意識消失したか」「呼吸や脈の有無」「現在の状態」などを簡潔に説明できるよう、頭の中で整理しておきます。
また、バイタル測定値や利用者の持病・内服薬、普段のADL状態なども伝えられるとスムーズです。
以上が基本的な初期対応の流れです。
大切なのは落ち着いて行動し、声を掛け合いながら協力して対処することです。
慌てず正確な対応ができるよう、日頃からシミュレーション訓練を行いましょう。
シチュエーション別:意識消失時の対応と注意点
状況によって意識消失時の対応で特に注意すべきポイントがあります。
入浴中・移動中・食事中という介護現場で起こりやすい場面別に、具体的な対処法と留意点を解説します。
入浴中に意識消失が起きた場合
入浴介助中に利用者さんが意識を失った場合、溺水のリスクがあるため一刻を争います。
以下の手順で対応しましょう。
①溺れを防ぐ措置
まず浴槽に浸かっている場合は栓を抜いてお湯を排水します。
可能であれば速やかに利用者さんの身体を湯船から引き上げ、床や脱衣所など安全な場所に移動させます。
一人で持ち上げるのが困難な場合は、無理せず頭をお湯から上げた状態で浴槽内に留め、浴槽の蓋等に頭を乗せて呼吸確保を優先します(湯を抜いた後、体が冷えないようタオルや毛布をかける)。
②反応・呼吸の確認と通報
上記と並行して大声で他の職員を呼び、意識の有無を確認します。
呼びかけても反応がなく呼吸が確認できない場合は、直ちに119番通報して心肺蘇生を開始します。
呼吸がある場合は、嘔吐に注意しつつ呼びかけながら様子を見て(必要なら吸引)、看護師に連絡して指示を仰ぎましょう。
③その後の処置
意識がすぐに戻った場合でもその日の入浴は中止します。
身体をよく拭いて暖かく保ち、バイタルサインを測定して看護職に状態を報告します。
意識が戻らない場合やバイタルに異常がある場合は救急搬送が必要です。
入浴中の事故はヒートショック(温度差による急激な血圧変動)などが原因の場合も多いので、普段から脱衣所や浴室の温度管理や見守りを徹底し、予防に努めましょう。
移動中に意識消失が起きた場合
ベッドから車椅子への移乗中や歩行介助中に利用者が急に力が抜けてしまうケースもあります。
この場合の対応ポイントは「転倒防止」と「無理に動かさない」ことです。
①転倒させない
移動中に「あれ、様子がおかしい」と感じたら、すぐ動作を中止して利用者さんを支えます。
もし歩行中であればその場に座らせるか、ゆっくり床に寝かせるようにして、頭を打ったりしないよう注意します。
介助者が一人の場合は、安全に床へ横たえることが難しいかもしれませんが、できる限り身体を支えながらゆっくり倒れるよう誘導しましょう(周囲にクッションや毛布があれば頭の下に差し込む)。
②状態確認と応援要請
床や車椅子上など安全な姿勢をとったら、呼びかけ・刺激による反応を確認します。
やはり反応がなければ他の職員を呼び、初期対応の手順に沿って呼吸と脈をチェックします。
移乗動作中なら近くに他職員がいる可能性が高いので、「意識消失です、手伝ってください!」と大声で知らせましょう。
③むやみに動かさない
移動中の意識消失では転倒によるケガの有無も確認が必要です。
倒れた際に頭部を打っていないか、骨折の疑いはないかを観察します。
万一、頭を強くぶつけた形跡や手足の変形・痛みがある場合は、その場で安静にさせ、絶対に身体を動かさないようにします。
介護職の判断で勝手に「ベッドに戻してあげよう」などと移動するのは避け、専門職(看護師や医師)の指示を仰いでから動かすようにしましょう。
基本は発見した場所から動かさずに対応することが鉄則です。
④必要に応じ救急対応
意識がすぐに回復し、自力で会話できるようならそのまま様子観察に移ります。
ただし少しでも様子がおかしい場合や意識が戻らない場合、頭部外傷が疑われる場合は念のため119番通報して医療評価を受ける方が安全です。
高齢者ではわずかな頭部打撲でも後から容態が悪化することがあります。
また、失神が起きた背景に心疾患等が潜んでいる可能性もあるので、念のため看護師に報告しバイタル測定や医師の診察を受けることが望ましいでしょう。
食事中に意識消失が起きた場合
食事介助中に利用者さんが急に意識を失った場合、誤嚥(ごえん)や気道閉塞をまず疑います。
口に入れた食べ物が喉に詰まって窒息すると、数十秒で意識が遠のき心肺停止に陥る危険があるため、ただちに対応します。
①咳やむせがあるか確認
誤嚥しかけた場合、通常は激しくむせる・咳をする反応が見られます。
食事中に利用者さんがゴホゴホと咳き込んでいるときは「大丈夫ですか?」「吐き出せますか?」と声をかけ、できるだけ自力で咳を続けてもらうよう促します。
軽度のむせ込みなら、咳で異物を排出できることもあります。
※この際、あわてて水やお茶を飲ませるのは逆効果になることもある(誤嚥を悪化させる可能性)ため、落ち着いてから飲ませるようにします。
②気道閉塞への対処
息ができず苦しそうな様子(呼吸困難)になった場合は一刻を争う緊急事態です。
すぐに119番に通報しつつ、可能なら背部叩打法(背中を強めに連続して叩く)やハイムリッヒ法(腹部突き上げ法)を試みて異物除去を行います。
介護施設では職員同士で役割分担し、「○○さん、背中叩いて!私は電話します!」等、声を掛け合いながら対応しましょう。
③意識がない場合の対応
もし利用者さんが反応もなく意識がない状態になってしまったら、ただちに心肺蘇生を開始します。
大声で助けを呼び、胸骨圧迫とAEDの準備を進めましょう。
同時に119番にも状況を伝え、「○○(食べ物)を喉に詰まらせて意識がありません!」と伝達します。
絶対に利用者さんの口の中に指を入れて無理にかき出そうとしないでください。
指で取ろうとしても届かず、かえって異物を奥に押し込んでしまう危険があります。
プロ(救急隊や医師)が到着するまでは、胸骨圧迫を続け利用者さんの酸素供給を維持することに専念します。
④その後の処置
異物が取れて意識が戻った場合でも油断せず、呼吸状態のチェックと医療者による評価を受けるようにします。
窒息しかけたケースでは、肺に食物が入る誤嚥性肺炎のリスクもあるため、看護師や医師に報告して指示を仰ぎましょう。
食事介助中は席を外さず見守る、利用者に合った食形態にする、しっかり嚥下してから次を勧める等、日頃から誤嚥予防に努めてください。
現場対応のポイント:動かさない・記録と報告の徹底
最後に、緊急対応時に現場職員が留意すべきポイントをまとめます。
①むやみに利用者を動かさない
前述のとおり、意識を失った利用者さんに対しては安易に体位を変えたり移動させたりしないことが大原則です。
特に倒れた直後は、骨折や頭部外傷の有無が不明です。
下手に動かすと状態を悪化させる恐れがあります。
呼吸確保など必要最低限の範囲で体位を整える以外は、その場で様子を見守りつつ専門職の到着を待ちましょう。
「焦って起こそうとしない」「抱きかかえて移動しようとしない」ことがポイントです。
②状況を記録し、経過を観察する
緊急時にはその場での記録より利用者対応が優先ですが、可能な範囲で構いませんので後で振り返られるようメモを取っておきます。
例えば発見時間、発見時の状態(体位や表情)、取った行動(呼びかけ○○回・胸骨圧迫○分など)、変化(何分後に意識回復 等)を簡単に書き留めておくとよいでしょう。
一段落ついた後、正式な介護記録や事故報告書を作成します。
救急搬送となった場合は、戻ってから速やかに事故報告書を提出する必要があります。
記録を作成するときは時系列で漏れなく書けているか確認し、同僚スタッフとも情報を突き合わせて正確性を期しましょう。
③適切な報告・連絡(誰に・いつ報告するか)
緊急時には報告・連絡・相談(いわゆるホウレンソウ)も的確に行う必要があります。
まず急変発生時は近くの同僚や看護師に即座に報告し協力を仰ぎます。
次に、必要に応じて上司(フロアリーダーや施設長)へも状況を報告します。
利用者さんの主治医やかかりつけ医への連絡は施設のルールに従い、看護師経由で行うか、救急隊到着後に指示を仰ぎます。
ご家族への連絡も忘れてはなりません。
救急搬送となった場合はできるだけ早くご家族に連絡し、現在までの状況説明や搬送先の病院名・容体を伝えます。
特に入院や手術が必要になりそうな場合は、ご家族の同意が求められるため速やかな連絡が重要です。
夜間で連絡がつかない場合は留守番電話にメッセージを残し、時間をおいて再度連絡するなどの工夫も必要です。
報告のタイミングとしては、緊急対応中は現場対応が最優先ですが、応急処置をしながら他職員に「○○さんに家族連絡お願いします」と役割を振るなどし、できるだけ同時進行で行います。
最後に、対応が落ち着いた段階で職員間の情報共有とカンファレンスを行い、今回の対応を振り返って改善点がないか確認しておきましょう。
以上、急な意識消失への対応について解説しました。
介護職員は日頃から利用者さんのちょっとした体調の変化にも敏感に気づける立場です。
「おかしいな?」と思ったら早めに声をかけて様子を確認することで、大事に至る前に防げるケースもあります。
また、いざ意識消失が起きても慌てず冷静に、チームで協力して対応することが大切です。
緊急時対応は繰り返し訓練することで身につきます。
普段からマニュアルを確認し、定期的な救命講習やシミュレーションを行って、もしもの時にも落ち着いて対応できるよう備えておきましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
急な意識消失は、介護の現場で誰にでも直面しうる緊急事態です。
原因は脳卒中や心疾患、低血糖、失神など多岐にわたり、対応の一つひとつが利用者さんの命に直結します。
だからこそ私たち介護職は、日頃から「安全確保・反応確認・応援要請・呼吸と脈の確認・119番通報・救命処置・記録と報告」という流れを頭と体で覚えておくことが重要です。
慌てず落ち着いて行動するためには、日常的な観察力と小さな変化への気づき、そして定期的な研修やシミュレーション訓練が欠かせません。
現場全体で意識を共有し、チームとして動ける体制を整えることで、いざという時も安心して対応できます。
利用者さんの命と尊厳を守るために、日頃からの備えを大切にしていきましょう。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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