この記事を読む価値
- ベテラン職員から新人職員まで学べる内容です。
- 読み進めるだけで研修にできます。
- 極力、難しい表現は避けてあります。
早速、見ていきましょう。
倫理綱領がなぜ大切なのか
私たちの仕事は、利用者さんの人生に深く関わる仕事だからこそ、やりがいがある一方で、常に迷いや葛藤がつきものです。
人手不足や認知症ケアの難しさ、忙しさの中で、「この対応でよかったのだろうか」と悩んだことがある方も多いのではないでしょうか。
そんなとき、頼りになるのが「倫理綱領」です。
倫理とは、社会で人が守るべき道理であり、「人として」「専門職として」どうあるべきかを示すものです。
法律がルールなら、倫理は心の指針。
特に介護福祉士にとっての倫理綱領は、利用者さんへの接し方や、自分自身のあり方を考える基準になります。
たとえば、倫理綱領は次のような考えを大切にしています。
また、現場で判断に迷ったときに「どうするのが正しいのか」を考えるヒントにもなります。
法令だけでは対応しきれない場面でも、倫理綱領に立ち返れば、自信を持って行動できるでしょう。
忙しい日々の中で、つい見落としがちな心のよりどころ。
それが倫理綱領です。
定期的に見直し、自分の行動を振り返ることで、プロとして、人として、より良い介護を実践していく力になります。
倫理綱領ってなに?迷ったときの“心のガイドライン”
倫理綱領とは何か?簡単に言えば、介護職の行動のガイドラインです。
法律は守らなければならないルールですが、倫理綱領はもっと広く「こうあるべき」という考え方を示します。
罰則があるわけではありませんが、心の中で大切にしたい“道しるべ”です。
日本介護福祉士会が定めている倫理綱領は、介護職が現場でどんな気持ちで、どう行動するべきかを具体的に教えてくれます。
たとえば、次のようなことを教えています。
☑ 利用者さんの尊厳と自立を支えること
その人の「こうしたい」を大切にし、持っている力を活かす支援をします。
☑ プロとしての自覚を持ち、質の高いケアを提供すること
学び続け、責任を持って行動する姿勢が求められます。
☑ プライバシーを守ること
個人情報や生活のことは、しっかり秘密を守ります。
☑ 他職種と協力すること
医師や看護師、ケアマネなどと連携し、よりよいケアを目指します。
☑ 利用者さんの“声にならない声”をくみ取ること
表に出せない気持ちを理解し、代わりに伝える役割もあります。
☑ 地域に貢献すること
地域全体が安心して暮らせるよう、課題に向き合います。
☑ 後輩を育てること
次の世代にも、良い介護ができるようサポートしていきます。
このように、倫理綱領は「どうすれば利用者さんを大切にできるか」「介護職としてどう成長していけるか」を教えてくれる、心のガイドラインです。
迷ったとき、悩んだとき、倫理綱領に立ち返ることで、自分の行動に自信が持てるようになります。
これだけは覚えておきたい!3つのキーワード
ここでは、倫理綱領の中でも特に大切な考え方を、覚えやすい「3つのキーワード」にまとめてご紹介します。
日々の判断に役立つ“心の羅針盤”として、ぜひ参考にしてください。
利用者さんのことを一番に考える(利用者本位・自立支援)
介護の中心にいるのは、いつでも「利用者さん本人」です。
「こうしたい」「こう生きたい」という気持ち(=自己決定)を尊重し、その方ができることを活かしながら、自分らしい生活を支えるのが私たちの役目です。
たとえば、「今日はお風呂に入りたくない」と言われたとき。
無理やり入浴させるのではなく、理由を聞きながら、清拭など別の方法を一緒に考えます。
また、ご本人とご家族の意見が違う場合も、ご本人の意思を最優先にしつつ、ご家族とも丁寧に話し合っていくことが大切です。
介護のプロとしてしっかり行う(専門性・責任)
介護は“専門職”の仕事です。
正しい知識や技術を身につけ、自分の判断に責任を持つことが求められます。
たとえば、「かわいそうだから」と何でもやってあげてしまうのは、その方の力を奪ってしまうことも。
できることは一緒にやるなど、サポートの工夫が必要です。
また、分からないことはそのままにせず、調べたり相談したりして、よりよいケアを目指すこともプロとして大切な姿勢です。
個人情報や気持ちを守る(プライバシー保護・尊厳)
介護の仕事では、利用者さんの個人的な情報や気持ちをたくさん知ることになります。
それを守るのも、私たちの大切な役割です。
病気や家庭のことを他人に話さない、写真を撮るときは許可をもらう、記録に余計なことを書かない、呼び方や言葉づかいにも気をつける。
そんな日々の配慮が、利用者さんの尊厳を守り、信頼につながります。
この3つのキーワードは、迷ったときこそ立ち返るべき基本の考え方です。
どんなときも、利用者さんのことを一番に考え、プロとして行動し、相手の気持ちを大切にする。
それが、信頼される介護職への第一歩です。
グループワーク:「そのとき、あなたならどうする?」
グループワークには次のような目的があります。
- 現場での判断に迷うケースについて話し合い、倫理綱領をどう活かせるかを考える
- 価値観の共有と視野の広がりを促す
- 実践的な気づきを持ち帰る
ケース1:入浴を拒否する利用者さんに対して、どう対応する?
ケース2:ご家族の希望と本人の意思が食い違っているとき、どう調整する?
ケース3:認知症の方に対して、嘘も方便と言ってよいか?
それぞれのケースについてグループで次の内容を話し合います。
- どんな対応が考えられるか?
- どの倫理綱領の視点が関係するか?
- 自分ならどうするか?
グループワークが終われば、それぞれの代表者が発表しましょう。
このグループワークをすることで、日常のケアを倫理の視点で見直す習慣が身につきます。
また、他職員の考え方や価値観に触れ、視野が広がります。
ぜひ、グループワークを取入れてみてください。
今日からできる一歩
介護の現場では、毎日利用者さんと思いもよらない出来事に向き合うことがあります。
「これでよかったのかな?」「どうすればよかったんだろう?」と迷うことは、真剣に仕事に向き合っている証拠です。
倫理綱領は「こうしなさい」というルール(型)ではなく、「人としてどうあるべきか」「より良い関わりとは何か」を示してくれる“道しるべ”です。
では、この道しるべを実際のケアにどう活かしていけばいいのでしょうか?
ここでは、今日からできる一歩を4つご紹介します。
「倫理綱領」や「施設の理念」を見直してみる
まずは、基本に立ち返ってみましょう。
「倫理綱領」や「職場の理念」を読み返してみることで、自分がどんな価値観をもとに働いているのかを再確認できます。
「この理念にそって行動できているかな?」と振り返ることが、ぶれない判断につながります。
迷った場面を振り返ってみる
「あのとき、どうすればよかったのかな」と思った場面を、倫理綱領の視点(利用者本位、尊厳、自己決定など)で振り返ってみましょう。
過去の経験に“心の視点”を加えることで、次の判断に活かせる気づきが得られます。
同僚や先輩に相談してみる
一人で悩まず、「この対応、どう思う?」と周りの仲間に声をかけてみましょう。
話すことで新しい気づきが得られたり、お互いの考え方を共有することで、チーム全体の判断力も高まります。
「なぜ守るのか」を考えてみる
倫理や法令はただの決まりではなく、「利用者さんの安全や信頼を守るためにある」と考えてみましょう。
意味を理解して行動することで、形だけのルールではなく、自分自身の意志ある行動になります。
どれも難しいことではなく、少し意識を変えるだけで始められることばかりです。
完璧でなくても大丈夫。
「今日からできる一歩」を大切にすることで、あなたのケアがより良いものになっていきます。
迷ったときは、倫理綱領という“道しるべ”に立ち返りましょう。
それが、利用者さんの安心につながり、あなた自身の専門職としての誇りを深めてくれるはずです。
【介護事業所の必須研修資料一覧(2025年度版)】
お知らせ①介護サービスごとにわかりやすく、情報公表調査で確認される研修と、義務づけられた研修を分けて記載しています。
また、それに応じた研修資料もあげています。研修資料を探している方は、ぜひ参考にしてください。
【介護職の方へ!老後とお金の不安を解消する方法!】
お知らせ②介護職の仕事をしていると、低賃金や物価の高騰、そして将来に対する漠然とした不安がついて回ります。
特に独身の方は老後の生活費や年金に対する不安が大きいのではないでしょうか?
下記のブログは、そんな不安を解消するために実践すべき7つの方法です。
- 【節約】 これだけでOK!サクッとできる節約テク二ック
- 【資産運用】 低収入でも大丈夫?iDeCo & NISAの超カンタン活用術!
- 【転職】 未経験OK・高待遇!失敗しない介護職の転職術
- 【婚活】 忙しくて出会いがない…独身介護職のための婚活戦略!
- 【お金の勉強】 将来が不安?介護職のためのかしこい資産運用セミナー!
- 【ポイ活】 介護職におすすめ。スマホで簡単!【ワラウ】で楽しくポイ活デビュー♪
- 【副業】 介護職の副業は、これこれ1択!
少しの工夫と努力で、将来の不安を減らし、安心した未来を作るための第一歩を踏み出してみましょう! 詳しくはこちらの記事をご覧ください。