筆者(とも)
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
冬の季節は高齢者にとって、何かとリスクの多い時期です。
介護施設で働く我々は、利用者さんにどのようなリスクがあり、どんな対策が必要かを伝えていくことも仕事の内です。
本記事では、ヒートショックのリスクや対策、さらに冬場に気をつけたい転倒防止や水分補給など、健康を守るためのポイントについて詳しく解説します。
高齢者が寒い季節を安心して過ごすために、ぜひ参考にしてください。
この記事を読む価値
- この記事のまま進めることで、研修にできます。
- そのまま利用者さんに伝えても、介護予防の啓発になります。
- 運動内容は動画があるのでわかりやすいです。
それでは早速、見ていきましょう。
ヒートショックに要注意!
ヒートショックとは、急激な温度変化によって体にダメージが生じる現象です。
特に冬場、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移動する際に血圧が急激に変化し、心臓や血管に負担がかかることがあります。
最悪の場合、命に関わる危険もあるため、予防が大切です。
① 浴室や脱衣所を温める
入浴前にシャワーで浴室の壁を温める、またはヒーターを使用して脱衣所の温度を上げましょう。
② 服装に注意する
夜間トイレに行くときなど、寒い場所へ移動する際には、1枚多く上着を着て体を冷やさないようにしましょう。
③ トイレに暖房器具を設置する
トイレは寒くなりやすい場所です。小さなヒーターを設置するか、便座カバーを使用して寒さ対策をしましょう。
④ 家全体の温度差を小さくする
部屋ごとの温度差を少なくし、家全体で一定の温度を保つことが大切です。特に寒くなりやすい廊下や寝室も適切に暖房を使い、寒い場所を作らない工夫を心がけましょう。
ヒートショックが起こりやすい場所は、脱衣所、浴室、廊下、トイレ、寝室などです。
日々の生活の中で温度変化に注意し、体調管理を心がけましょう。
転倒に注意
寒い季節になると、体がこわばり、普段はできていた動作が難しく感じることが増えます。
その結果、転倒のリスクも高まります。
高齢者にとって、転倒は骨折や入院につながる危険があるため、十分な対策が必要です。
① 立ち上がる前に体を温める
椅子や布団から立ち上がる前に、手足を動かして体をほぐしましょう。少しでも筋肉が温まると、動きがスムーズになり転倒リスクを軽減できます。
② 手すりを活用し、ゆっくり歩く
寒さでバランスが取りにくくなるため、手すりを積極的に使い、いつもよりゆっくり歩くことを心がけましょう。焦らず慎重に動くことで、転倒のリスクを大幅に減らせます。
③ 転倒を未然に防ぐ環境作り
冬は重ね着による動きにくさや、暖房器具のコード、カーペットなどによる転倒が起こりやすいです。配線は壁に沿わせ、カーペットは専用の固定テープでしっかりと床に固定しましょう。
少しの注意が、大きな事故を防ぎます。
冬場はいつも以上に用心して、転倒を防ぐための対策を行いましょう。
規則正しい食事を心がける
朝食を抜いたり、好きな時間に好きなだけ間食をしていると、体調を崩しやすくなります。
日々の健康を維持するためには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
食事を通じて体に必要な栄養素をしっかり摂取し、エネルギーを補給することが、元気な毎日を支える基本です。
① 主食:エネルギーを補給する
ご飯やパンなどの主食は、体を動かすエネルギー源です。適量を意識して摂取しましょう。
② 主菜:タンパク質をしっかり摂る
魚、肉、卵などは体の筋肉や細胞を作るために欠かせません。日々の食事に取り入れ、栄養をバランスよく補給しましょう。
③ 副菜:ビタミン・ミネラルを豊富に
野菜、キノコ、いも類などは、体の調子を整えるビタミンやミネラルが豊富です。彩りを意識して、さまざまな種類の野菜を摂ることが大切です。
規則正しい食事と栄養バランスが整ったメニューを心がけることで、体調を崩しにくくなり、日々の生活を元気に過ごすことができます。
誤嚥や窒息に気をつける
冬は寒さの影響で口や喉の動きが鈍くなることがあります。
また、新年には特別な食事をする機会が増え、窒息や誤嚥のリスクが高まります。
特にお餅などの食材は、しっかりと対策をすることが大切です。
安全に食事を楽しむためのポイントを押さえましょう。
① 30回以上しっかりかんで食べる
口の中のかたまりがなくなるまで、しっかり噛むことが重要です。噛むことで食べ物が細かくなり、誤嚥や窒息を防ぎやすくなります。
② 水分をこまめに摂る
食事中に水分をとりながら食べると、喉を潤し、食べ物がスムーズに通りやすくなります。食事の際は、飲み物を近くに用意しておきましょう。
③ 食べやすい大きさに切り分ける
食べ物を一口大に切り分けることで、口の中での処理が楽になります。特にお餅は小さく切って食べるようにし、ゆっくりと噛んで飲み込みましょう。
寒い時期やお正月の食事では、いつも以上に気をつけて、誤嚥や窒息を防ぎながら、安全に食事を楽しむことを心がけましょう。
冬も水分補給は忘れずに
冬は寒さの影響で喉の渇きを感じにくくなり、水分摂取量が減りがちです。
しかし、水分不足は脱水症状を引き起こす原因となり、特に高齢者や室内で過ごす時間が多い人は注意が必要です。
脱水を防ぐためには、意識してこまめに水分補給を心がけましょう。
① 入浴前や入浴後
入浴は思っている以上に汗をかき、水分を失いやすいです。入浴の前後にはコップ一杯の水を飲む習慣をつけましょう。
② 朝起きたとき
睡眠中は水分が補給されないため、起きた直後にコップ一杯の水を飲むことで、体内の水分バランスを整えることができます。
③ 寝る前に
就寝前にも水分を摂取することで、睡眠中の脱水を予防します。
冬も1日に1.5Lを目安に水分を摂取しましょう。
トイレに行った後や運動の前後、食事の前後など、生活の中に水分補給のタイミングを取り入れるのが効果的です。
たとえば「テレビでコマーシャルが流れたら飲む」など、自分なりのルールを作ると習慣化しやすくなります。
寒い季節でも、意識して水分補給を行い、健康を保ちましょう。
自宅で体操を
転倒予防には、日々の適度な運動が大事です。
若者がしているような、筋肉を太くする筋トレなどは必要ありません。
ちょっとした体操からでも効果はあります。
まずは、座ってできる簡単な体操から始めましょう。
どのような運動をすればよいか知りたい方は、コチラの動画を参考にしてみてください。
そして、転倒予防には足の筋力の向上と、持久力の向上やバランス能力の向上が大切です。
でも負荷の強いスクワットなどは、高齢者(特に膝の悪い方)には難しいかもしれません。
そこでおすすめなのが【ウォーキング】です。
ウォーキングは足の筋力の改善以外にも、高血圧の改善、心肺機能の強化、腰痛の改善など、様々な効果が期待されます。
まずは10分程度から初めてみてはいかがでしょうか。
詳しくはコチラをご参照ください。
睡眠をしっかりとる
元気に活動的な毎日を過ごすためには、十分な睡眠が欠かせません。
睡眠は体の回復を助け、心身の健康を保つための重要な時間です。
質の高い睡眠を得るためには、いくつかのポイントを意識することが大切です。
① 日光を浴びる
1日15~30分程度、日中に日光を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜に自然と眠くなるサイクルが整います。散歩や軽い外出を習慣にするのがおすすめです。
② 適度な運動をする
適度な運動は、体をリフレッシュさせ、夜の眠りを深くする効果があります。激しい運動でなくても、軽いストレッチやウォーキングなど、無理のない範囲で体を動かすことがポイントです。
③ 毎日同じ時間に寝る
規則的な生活リズムを作ることで、体が寝る時間を覚え、スムーズに眠りにつくことができます。休日でもできるだけ同じ時間に寝起きすることが、質の高い睡眠につながります。
良い睡眠は、日中の集中力や活力を高め、活動的に過ごすためのエネルギー源です。
毎日の生活の中で、質の高い睡眠を意識して過ごしましょう。
冷え性の解消
寒い季節には、体を内側から温める工夫が大切です。
冷えを感じると血行が悪くなり、体調を崩す原因にもなりかねません。
以下の簡単なケアを日々の生活に取り入れ、体をしっかりと温めましょう。
① 朝の白湯で内側から温まる
朝起きたときに白湯を一杯飲むことで、胃腸が温まり、体の中からポカポカしてきます。内臓を温めることで、新陳代謝も促進され、一日のスタートを元気にはじめられます。
② 手浴・足浴で血行促進
洗面器にぬるま湯を入れ、冷えた手や足を5分ほど浸けると、血行が改善されて体が温まります。終了後はタオルでしっかりと拭き、保湿クリームを塗って乾燥を防ぎましょう。手軽にできるので、冬の冷え対策に最適です。
③ 軽い運動で血流をサポート
椅子に座った状態で、床に足をつけたまま、かかとを上げ下げする運動を繰り返すだけで、足元の血行が良くなります。簡単にできる運動なので、ちょっとした空き時間に取り入れて、体を温めましょう。
これらの方法を日常に取り入れることで、冷えにくい体を作り、寒い冬でも元気に過ごすことができます。
感染症対策
寒い季節は乾燥しやすく、ウイルスや感染症にかかりやすくなります。
体調を崩さないためには、適切な室内環境の維持と、こまめな手洗いが大切です。
以下の2つのポイントを押さえて、感染予防を強化しましょう。
① 室内の湿度を50〜60%に保つ
湿度を50〜60%に保つことで、喉や鼻の粘膜を乾燥から守り、ウイルスの侵入を防ぐことができます。
加湿器や濡れタオルを使って、室内の湿度を調整することがおすすめです。
適度な湿度は、肌の乾燥予防にも役立ち、快適な室内環境を維持するために重要です。
② 手洗いの徹底で感染症を予防
帰宅時や食事前、トイレ後には必ず手洗いを行いましょう。
手洗いは感染症予防の基本です。石けんを使い、指の間やしわの奥までしっかり洗うことで、細菌やウイルスを効果的に除去できます。
少なくとも20秒以上かけて、丁寧に手を洗う習慣を身につけましょう。
これらの対策を日常的に取り入れることで、冬の感染リスクを大幅に減らすことができます。
おわりに
いかがだったでしょうか。
冬は寒さによって健康リスクが高まる季節ですが、日常の小さな工夫で体調を守ることができます。
ヒートショックや転倒、脱水症状、感染症の予防を意識し、室内の温度管理やこまめな水分補給、適度な運動を取り入れましょう。
また、バランスの良い食事や安全な食事方法にも注意を払い、体調を崩さないようにすることが大切です。
寒い季節を健康に過ごすために、家族全員で対策を心がけましょう。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この研修資料が、御社の運営にお役立ていただければ幸いです。
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