ICFを理解すると仕事が楽しくなります。
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。先日こんなツイートをしました。
ケアマネ、サ責、相談員、セラピスト、そして介護職はICFの概念がとても重要。
でも普段、業務に追われすぎていると忘れてしまう。定期的に振り返り、今の利用者さんに当てはめてみるのも良いかも。研修を継続していると、ICFを考えながら仕事ができるようになります。— とも@介護士ブログを運営 (@tomoaki_0324) January 20, 2023
ケアマネ、サ責、相談員、セラピスト、そして介護職はICFの概念がとても重要。 でも普段、業務に追われすぎていると忘れてしまう。
定期的に振り返り、今の利用者さんに当てはめてみるのも良いかも。
研修を継続していると、ICFを考えながら仕事ができるようになります。
僕の働く施設では、半年に1回はICFによる事例検証を行っています。
ICFの考え方を理解するだけで、普段の計画書や提供書をスラスラ書くことができるし、もちろん利用者さんのQOL向上にも非常に役立ちます。
相談業務に必要な理論、ICFについて【デイサービスにおけるICFの使い方も解説します】
筆者
記事を書いている僕は、回復期病院で6年、その後介護現場で10年ほど働いています。介護福祉士と作業療法士を取得し、現在は4事業所の統括をしています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職にとって必要な情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
医療・介護で働いている人は、何度か「ICF」という言葉を聞いたことがあるかと思います。でも普段の業務に活かせてせていない人が大半です。
なぜ活かせないかというと、別にICFを考えなくても業務ができるからです。でも使い方を習得すると、いつもは気づけないところが気づけるようになります。
介護職でも知っているだけで業務の質が変わります。利用者さんの満足度もあがります。ICFを使った事例検証は非常に有益です。
この記事を読む価値
- ICFを理解できます。
- ポイントや大事な考え方がわかります。
- 使い方がわかります。
早速、見ていきましょう。
ICFとは何か
2001 年5月に WHO 総会で採択されました。
ICFとは、人間の全体像を捉える考え方です。
介護現場で何のために使うかというと、利用者さんのおかれた状況を理解し、より良い生活を送るためのサポートをするための考え方に使っていきます。
ICFの表を下記に載せます。
ICF には6つの「単語」が出てきます。「健康状態」「心身機能・構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」です。
それぞれが何かを解説していきます。
①「健康状態」…疾病や体の変調、怪我から妊娠、高齢、ストレスなどを含む広い概念となっている。
「疾病」だけでなく、普段から関係するような心身の状態まで含まれます。
「ADHD」「脳性まひ」「低酸素脳症」「自閉症」などの症状名は、ここに含まれます。
②「心身機能・構造」…「心身機能」の問題、「身体構造」の問題を指す。
心の問題(うつ状態)や、体の構造(腕が曲がらないとか)など。
③「活動」…「活動」とは「動作」を指す。
活動は、生活で行っている「している活動」(見守り、介助を受けながら実行しているものも含む)と、頑張ればできる、専門家の指導があればできるような「できる活動」にわかれます。
④「参加」…「参加」社会的参加のこと。
地域活動、趣味活動、家庭への参加などです。
他者が関わる活動も参加になります。他者の為の役割などのもそうです。
⑤「環境因子」…「物的環境」「人的環境」「制度的な環境」があり、促進因子と阻害因子に分けられる。
⑥「個人因子」…その人の「個性」。年齢、性別、民族、生活歴、価 値観、ライフスタイル、興味関心など。
利用者さんの情報をこれらに分類していきます。
もちろん本人からの聞き取りやアセスメントを行いますが、ご家族や多職種、家屋調査などからも情報を集めます。
全ての情報をICFに分類していきましょう。
ICFの視点
分析していくうえで、視点が非常に大事になります。
例えばあなたには、自分のいい所が5つあります。
5つ「も」あると感じるか、5つ「しか」ないと感じるか。
実際の「5つ」という事実は変わりませんが、捉え方によって表現はポジティブにもネガティブにもなります。
利用者さんの状態も同じです。
アセスメントする人の考え方や価値観で捉え方が変わります。
介護にあてはめてみると・・・
例)歩行器を使用する利用者さん
「歩行器を使わないと歩けない利用者さん」
「歩行器があればどこにでも行ける利用者さん」
どうでしょう?
同じ歩行器を使う利用者さんでもイメージが全く違ってきます。
できない「歩けない」と捉えるのではなく、できる「歩行器を使えば歩ける」ということに着目します。
“できない”ことから“できる”へと、ポジティブな視点に切り替えることは、ICFを活用するために、重要な考え方です。
1つ1つの「できる」に着目することで、他の活動レベル、参加レベルへの広がりが見えるでしょう。
ICFの生活機能
分析していくうえで重要なポイントをまとめると以下のようになります。
-
生活機能の3つのレベル(①心身機能・構造、②活動、③参加)を常に偏ることなく全体として見る。
-
3つのレベルは①生命レベル②生活レベル③人生レベルと言い換えることが可能であり、これらを総合的にとらえること。
-
3つのレベル間には互いに影響しあう関係がある。一方それぞれのレベルの独自性もある。健康状態、環境因子、個人因子との間においても相互作用があること。
ICFが理解できると医療職はもちろん、他の専門職との共通言語として機能します。
デイサービスでのICF
「心身機能」は医療的領域であり、把握することは重要ですがケアや関りでどうこうできるものではありません。
活動を生活レベル、参加を人生レベルと捉えて、他の4つレベルとのつながりを考えます。
さらに細かく分類すると、活動を「できる活動」と「している活動」に分類することができます。
「できる活動」とは、評価時やリハビリなどの訓練時などに発揮できる能力です。
評価はバーセルインデックスで行います。
※バーセルインデックスについてはこちらの記事をご覧ください。ADL維持等加算に必要な、バーセルインデックス(Barthel Index)について解説
「できる活動」と「している活動」は、もちろん利用者さんの持っている能力に違いありませんが、「評価時に無理をすれば」「専門家のかかわりがあれば」など前提条件が付くことが多くなります。
「している活動」とは、生活そのものであり、その方の生活動作です。
評価はFIM(フィム)で行います。
介護職は、自宅で「している活動」を知り、普段のケアに落とし込む必要があります。
そうすることで、普段のケアがアセスメントになり評価になります。
している活動は、家にいる時も頻繁に行う動作であり、動作の訓練はより効果的になります。
通所介護計画と個別機能
リハビリのあるデイサービスだと、当然リハビリが目的となる利用者さんが多いです。
しかし、通所計画書と個別機能計画は別物です。
リハ職(機能訓練指導員)と介護職の領域が違うので、リハビリに傾いた通所介護計画書を作成してしまうと、
「介護職がリハ職のアシスタント」になってしまいます。
領域が違うというのは「リハビリ」は機能訓練指導員にしかできないことで、介護職にはできない業務になります。
よって、通所介護計画には「リハビリ」という文言を入れることは出来ません。
そのあたりを理解して各計画書を作成する必要があります。
そもそもの介護の考え方として、
利用者さんの活動や参加を「補助する」ではなく、現在持っている活動や参加の機能を「活かす」「良くする・助ける」です。
機能訓練をして「機能を取り戻す」「新たな動作を獲得する」ということは求められていません。
ですので、介護職は「している活動」に対するケアの専門家になるべきだと思います。
利用者さんの生活を把握した上でのケアは、全て「している活動」の訓練になります。
また、家とデイの違いを知っていれば、ケアの場面で利用者さんの自己決定の回数を増やすメリットにもなります。
デイの利用で「している活動」が維持できれば、現在の在宅生活は維持されることでしょう。
逆に機能訓練指導員の領域は、「できる活動」を考えます。
「ADL維持等加算」の評価がバーセルインデックス(BI)、「できる活動」ということになっている点からも明らかです。
機能訓練により「できる」を増やす、「している活動」「できる活動」の差を評価する、
できる活動を「評価」して「している」にもっていくのか、
本人や家族の意向を踏まえて判断することが必要です。
まとめ
いかがだってでしょうか。
相談職は「している活動」と「参加」のスペシャリストになるべきです。
そしてケアスタッフがそこを理解してケアに当たると、利用者さんに最高のケアを提供することができます。
また、根拠(理由)をしっかりと「言語化」できることで普段のケアが「統一」されます。
定期的にICFを振り返ってみることは大事ですね。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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