【2024年2月より月6000円の処遇アップ】それでも全然足りていない理由を解説
筆者
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
まずはこちらの記事をご覧ください。
政府は10日、新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案を閣議決定した。【Joint編集部】
来年2月から介護・障害福祉職員の給与を平均で月6000円引き上げる方針も盛り込んだ。その財源として490億円を計上している。
介護職員の不足が深刻化していることを踏まえた措置。ただ、必要な人材を確保するためには規模が不十分という声もある。専門家に考えを聞いた。
東洋大学の高野龍昭教授は、「介護職員の処遇改善は、ここ10年ほどにわたる国の累次の施策で一定の進展がみられた。しかし、昨年来の他産業での賃上げに伴い、その処遇改善が相対的に帳消しされた形となり、介護分野からの人材流出の報告も多くなっている。更なる処遇改善は不可欠であり、それを早急に政策化することが重要だ」と指摘。
引用:JOINT介護ニュース
月6000円では、全然足りない理由をこの記事では具体的に解説していきます。
この記事を読む価値
- 月6000円アップの内容を具体的に知ることができます。
- 全産業との給与差がわかります。
- このままでは介護業界がどうなるかを解説します。
早速、見ていきましょう。
介護職の月6,000円相当の賃金引き上げ
政府は2024年2月から介護職員を対象に、介護職員等ベースアップ等支援加算に上乗せする形で、収入を2%程度(月額平均6,000円相当)弓Iき上げるための措置を行います。
内容をまとめると下記のようになります。
対象期間:2024年2月〜5月の賃金引き上げ分(以降も、別途賃上げ効果が継続される取り組みを行う)
補助金額:対象介護事業所の介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均6,000円の賃金引き上げに相当する額。対象サービスごとに介護職員数(常勤換算)に応じて必要な交付率を設定し、各事業所の総報酬にその交付率を乗じた額を支給
対象職種:介護職員(事業所の判断により、ほかの職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認める)
月6000円では全く足りていない!
厚生労働省の調査では、2022年度の介護職と全産業の賃金差は月6.8万円でした。
2023年度の介護職の賃上げは1.42 %、一方、全産業の平均賃上げは3.58 %となっています。
金額にしてみると、下記にようになります。
【給与平均】介護職月29.3万円、全産業月36.1万円
【平均賃上げ】介護職1.42 %、全産業3.58 %
介護職:29.3万円X1.0142=297,160円
全産業:36.1万円X1.0358=373,923円
【給料の差】
373,923円ー297,160円=76763円
さらに、他産業では来年度の賃上げも予定されており、賃上げ傾向は継続しそうです。
月6000円のアップでは全く足りていないことがわかります。
このままでは人材不足が激化
2040年には介護職員が約290万人必要です(厚労省・経産省資料からの予測値)。
介護職は全体の50%が50歳以上です。(令和3年度 介護労働安定センター)
このまま全産業との給与差が広がり、また物価高騰が続くと、介護職からの離職は拡大します。
そして勿論ですが、介護業界への入職者が増えません。
そうなると介護崩壊が全国で多発してしまいます。
介護崩壊が起こると、自宅で親の介護をするために離職する人(介護離職)も増加します。
大胆な給与アップをないと、介護職(減)➡介護崩壊➡介護離職(増)➡人材不足アップ・日本経済ダウン、という流れが生じてしまいます。
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