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非常災害時の対応

災害時の情報共有とBCP|「伝達・判断・行動」の流れを見える化する

とも
とも
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。介護施設で必要な【非常災害BCP】について、タイトルのような研修資料を記事にしました。

筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

読者さんへの前おきメッセージ

災害は突然やってきます。

地震・台風・大雨など、いつ起きてもおかしくない非常事態の中で、介護の現場は多くの命と生活を守らなければなりません。

とくに災害時には「情報の伝達・判断・行動」がスムーズにできるかどうかが、対応の成否を分ける大きな鍵になります。

本記事では、介護現場における情報共有の仕組みや、BCP(事業継続計画)をもとにした対応体制の整え方を、やさしく丁寧に解説します。

実際の対応例やチェックリストも交えながら、「いざという時」に迷わず動けるための実践的な内容をお届けします。

BCP(事業継続計画)とは?介護事業所での必要性

避難

BCP(事業継続計画)とは、災害などの非常事態が発生した際に、重要な業務を途絶させず、できるだけ早く事業を復旧・継続するための計画です。

具体的には、地震・風水害などで施設が被災したりライフラインが寸断されても、優先業務(例:利用者さんの健康管理や救急対応など)を守りながら事業を継続する方策をあらかじめ定めます。

厚労省によれば、介護施設は利用者さんの命に直結するため、他産業以上に安定的なサービス提供が求められ、BCP策定が強く求められる業種です。

2024年4月からは全ての介護事業所でBCPの策定が義務化され、担当者の決定や連絡先整備、備蓄品の準備など具体的な対策が求められています。

BCPの主なポイントとしては、事業継続方針の共有、役割分担(誰が何をするか)の決定、緊急連絡網の整備、必要な備蓄品・資機材の確保などが挙げられます。

これらを組織内で周知徹底し、定期的に訓練・見直しを行うことで、「災害時にも迅速に行動できる仕組み」を作ります。

厚労省ガイドラインでは、災害時の初動対応として「①職員・利用者の安否確認・安全確保、②建物・設備点検、③職員参集」のルール化なども示されています。

介護施設では被災状況や職員数が限られることを想定し、事業継続の優先順位をあらかじめ整理しておくことが重要です。

「伝達・判断・行動」の3ステップを見える化する

災害時には、現場での情報伝達・判断・行動の流れを平時から明確にしておく必要があります。

現場職員が「伝達」すべき情報(利用者さんの安否、施設の被害状況、道路の通行可否など)を本部・管理者に速やかに伝え、本部側でそれらの情報を「把握(判断)」して適切な命令や支援要請を出す、という双方向の情報フローが不可欠です。

実際、ガイドラインでは「平時と緊急時の情報収集・共有体制や、情報伝達フローの構築がポイント」とされ、事前に意思決定者を決め、各業務の担当者や連絡先・連絡手順を整理しておくことが強調されています。

災害対策本部・現地対策本部・関係機関は連絡を密にして情報を共有し、住民の安全確保や正確な情報公表に努めなければなりません。

以下、「伝達・判断・行動」の3ステップを見える化するためのポイントを抑えておきます。

伝達(情報共有):

職員間や関係機関との連絡体制を整備します。

例えば、職員の安否・参集状況を速やかに報告できる連絡網や、避難所の開閉・物資状況を共有する仕組みが必要です。

研修や訓練で連絡手順を習熟し、どの情報を誰に伝えるか決めておきます。

災害情報共有システムやコミュニケーションアプリを活用し、現場と対策本部がリアルタイムでつながる仕組みも有効です。

判断(意思決定):

伝達された情報を基に、避難の必要性や支援優先度を判断します。

例えば、市町村から「高齢者避難」や「全員避難」の指示が出た場合、そのレベルに応じて素早く対応を決定します。

また、被災状況や職員の参集状況に応じて業務の優先順位を再確認し、現場責任者が的確に判断します。

行動:

判断の結果、避難や救護・支援活動に移ります。

必要に応じて利用者さんを安全な場所へ誘導・避難させたり、他の介護事業所との協力でサービス再開を図ったりします。

行動開始前には必ず最優先で安全確認(机の下へ避難、火元の確認など)を行い、消火・電源遮断など初動対応を確実にします。

事前に準備しておくべき情報伝達ルート

災害発生時に使う連絡手段を複数用意し、職員全員に周知しておきます。

具体的には、職員の固定・携帯電話やメールアドレスのリストを整理し、いつでも参照できるようにしておきます。

また、業務用チャットや社内掲示板、共有ホワイトボードなどデジタルツール(グループLINE等)を併用すれば、情報伝達が迅速になります。

緊急時には一般向けに開放される災害用伝言ダイヤル(117や171番)や、市区町村の防災行政無線・J-ALERT(緊急速報メール)も活用して、ご家族や地域住民にも情報を伝えられる体制を作ります。

日頃から緊急時連絡網(職員→管理者→外部機関への伝言経路)や、施設内掲示板による情報共有方法を整え、災害時に誰が最初に誰に連絡するか明確化しておきます。

非常時用の通信機器(携帯無線、衛星電話、モバイルルーターなど)の備えも検討しましょう。

なお、災害時は通信網の混雑・遮断が想定されるため、SNSや無線といった複数の連絡手段を用いることが望ましいです。

判断基準の明確化

避難や対応の判断基準を事前に決めておくことで、災害時に迷いなく行動できます。

国の「警戒レベル」によればレベル3で「高齢者等は危険な場所から避難」、レベル4で「対象地域の住民は全員避難」が呼びかけられます。

例えば台風や豪雨が予想される場合、自治体の避難情報発令基準に基づき、レベル3相当時点で要支援者の避難を開始、レベル4までに全員避難を完了する計画を立てます。

万が一自力で避難困難な利用者さんがいる場合は、事前に施設避難あるいは在宅待機の判断要件を共有しておきます。

また、災害時の支援優先順位も整理しておきます。

例えば要介護度の高い利用者さんや障がい者、車椅子使用者、医療機器が必要な利用者さんは優先的に安否確認・避難支援します。

夜間であれば寝たきり利用者さんや認知症高齢者への配慮が特に重要です。

判断が難しい場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターと連携し、行政等とも相談しながら行動基準を明確化しておきましょう。

行動パターンの例

以下に代表的な場面ごとの対応例を挙げます。

事前研修でこれらを共有し、自分の業務に置き換えて具体的な行動をイメージしておくとよいでしょう。

夜勤中の場合:

職員数が少ない夜勤帯では、災害発生時の指揮系統を明確にしておくことが重要です。

ある特別養護老人ホームの事例では、あらかじめ複数の責任者を決め、夜勤者はその日従うリーダーが誰かを把握していました。

その結果、少数の夜勤スタッフだけでも迅速に避難誘導が行えました。

具体的には、夜勤者がまず三番目の責任者に状況報告し、その指示で1階利用者を2階の食堂に移動。トップリーダーは直ちに出勤指示を受け、対応に当たりました。

このように、複数の連絡先・責任者を決め、夜勤者が訓練で誰に報告するか共有しておくことで、夜間でも混乱なく行動できます。

訪問介護中の場合:

訪問先で災害が起きたら、まず訪問先・利用者さんの安全を確保します。

地震ならば揺れが収まるまで建物内で待機し、落下物や転倒リスクを避けます。

落ち着いたら利用者さんやご家族の安否を確認し、車中など安全な場所へ避難誘導します。

連絡手段が途絶えた場合に備え、職員同士の緊急用連絡掲示板や伝言板を設けておくとよいでしょう。

施設(通所)が被災して訪問サービスに切り替えた場合は、できるだけ早く個別訪問し、状況を確認・報告します。

仮にサービス継続が困難な大規模災害の場合、事前に居宅介護支援(ケアマネ)や他施設と連携し、利用者さんの一時的な受け入れ先や連携体制を確立しておきます。

日中サービス(通所介護)中の場合:

施設で災害が発生したときは、まず利用者さんの安全確保・安否確認を行います。

災害時には事前に登録した緊急連絡先(家族やケアマネジャー)に連絡し、利用者さんを確実に引き渡すようにします。

例えば、地震発生直後に施設に集まっていた利用者さんには、揺れが収まったら速やかに毛布や車椅子を用意し、職員が付き添って帰宅させます。

送迎車両が使えない場合は、自家用車や徒歩での帰宅を支援したり、一時的に避難所で待機してもらったりします。

また、台風など災害の予報が出た場合はにあるように、事前に「荒天時は午前中でサービス終了」などの基準を設け、居宅介護支援事業所や家族と共有しておけば混乱が減ります。

実際の災害対応事例

過去の災害では、情報共有や判断の遅れが深刻な問題となりました。

東日本大震災では、通信網の遮断と自治体施設被災により被害状況の報告・発信が著しく滞り、現場が政府に状況を伝えきれない状況が発生しました。

これを教訓に、現在では行政も「災害対策本部や指定機関が連携し迅速に情報公表する」体制が重要視されています。

一方で、福祉施設では事前準備が奏功した例もあります。

前述の特養では、複数の責任者を準備し、夜勤者のリーダーを明確に決めていたため、震災後にも落ち着いて避難行動に移せました。

このような具体例を共有し、自施設でどのような連絡・判断・行動をとるか検討しておくことが、実践力向上に繋がります。

チェックリストや図解

BCPや災害対応に関するチェックリストの作成も効果的です。

例えばガイドラインで推奨されるBCP策定の項目をチェックリスト化すると、抜け漏れが減ります。

主な項目例は以下の通りです。

BCP方針と体制

事業継続の基本方針を決め、責任者(災害対策本部長)と各担当者を明確化する。

☑ 連絡先・連絡網

職員・利用者・関係機関の連絡先を整理し、迅速に参照できるようにしておく。

☑ 情報伝達手段

緊急時の連絡手順(伝言ダイヤル、チャット、掲示板の利用方法など)を整備し、全員に周知する。

☑ 備蓄・資機材

飲料・食料・医療品・懐中電灯・予備電池・予備ガソリンなどを確保し、災害時すぐ使えるよう点検する。非常用発電機や携帯無線機など通信機器の準備も検討。

☑ 避難・安否確認

避難場所・経路と安否確認方法(安否票、安否確認表)の準備。にあるように、地震発生直後はまず安全確保(机の下に隠れる、火元を確認する、ブレーカー・ガス栓を切る)を徹底します。

☑ 訓練・研修

平時から災害想定訓練を実施し、上記チェックリストやフロー通りに動けるか確認します。訓練では「伝達・判断・行動」の流れを実地で体験し、改善点を洗い出します。

以上のようなチェックリスト・手順を図解やマニュアル化し、全職員で共有しておくことで、災害時でも落ち着いて行動できます。

新人職員や中堅職員には実際の事例や訓練を交えながら具体的に指導し、日頃から身近な備えと意識を高めることが大切です。

おわりに

いかがだったでしょうか。

災害対応は「慌てず、正しく動く」ことが何よりも大切です。

そのためには、日ごろから情報共有の流れを見える化し、職員全員が自分の役割と手順を理解しておく必要があります。

BCPの策定や定期的な訓練、伝達手段の確保、判断基準の明確化は、そのすべてが“命を守る備え”につながります。

今回の記事をきっかけに、あなたの事業所でもぜひ点検・見直しを行ってみてください。

「もしも」の時に動ける組織は、「いつも」から始まっています。

皆さん一人ひとりの意識と準備が、安心を支える力になるのです。

それではこれで終わります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

「他にも【非常災害時の対応に関する研修】の資料をみたい!」という方は、コチラの記事をご覧下さい。【介護施設】非常災害時の対応に関する研修【研修資料一覧】

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