アンガーマネジメントはなぜ介護職に必要なのか?
介護の現場は、イライラや怒りの原因になりやすい要素が多く、メンタル面が左右されやすい職業です。
人手不足、認知症の方への対応、職員間のコミュニケーション不足、ご家族からの要望など、様々なストレス要因が存在します。
これらのストレスが蓄積されると、介護職員のバーンアウト、離職、そして、利用者さんへの不適切な対応に繋がるリスクも高まります。
実際に、介護現場での虐待事件は増加傾向にあり、深刻な問題となっています。
アンガーマネジメントを学ぶことで、これらのリスクを減らし、より良い介護サービスを提供できる環境を作ることができます。
介護職のためのアンガーマネジメント実践テクニック
では次に、具体的なテクニックを5つ紹介します。
① 衝動のコントロール:6秒間ルール
人間の怒りのピークは6秒程度と言われています。
怒りを感じた瞬間に反応してしまうのではなく、6秒間だけ意識的に時間を置いてみましょう。
【具体的な方法】
- 心の中でゆっくりと6秒間数える
- 深呼吸をする
- コーピングマントラ(ストレスや困難な状況に対処するために自分自身に繰り返し語りかける、心を落ち着かせるための短い言葉やフレーズのこと)を唱える(例:大丈夫、落ち着こう)
- 「ありがとう」を伝える(例:他の職員に確認してきます。ありがとうございます。)
② 思考のコントロール:「〇〇すべき」を見直す
私たちは、「こうあるべき」「こうするべき」という考え方にとらわれがちです。
しかし、その「べき思考」が、怒りの感情を生み出す原因となっている場合があります。
【具体的な方法】
- 自分の「べき思考」を認識する
- 怒りを感じたときに、どんな「べき思考」が働いているのか書き出してみる
- 自分と異なる意見や行動も認め、「べき思考」のハードルを下げてみる
- 相手の立場や状況を理解する
- 相手にも「べき思考」があり、それは自分と異なる可能性があることを理解する
- 相手の行動の背景にある事情や感情を想像してみる
- 価値観は人それぞれ違うことを受け入れる
- 多様な価値観が存在することを認め、自分の価値観を絶対視しない
③ 行動のコントロール:変えられること/変えられないこと
怒りの対象が、自分が変えられることなのか、変えられないことなのかを見極めることが重要です。
変えられることには、自分の言動、考え方、業務の進め方などがあります。
そして、変えられないことには、他人の性格、過去の出来事、制度、利用者の状態などがあります。
【変えられることに対して】
- 積極的に改善に取り組む
- 周囲に協力を求める
- 職場環境の改善を提案する
【変えられないことに対して】
- 受け入れる
- 距離を置く
- 無駄なエネルギーを使わない
- 現実的な選択肢を探す
④ 怒りの記録をつける:アンガーログ
自分の怒りのパターンを把握するために、アンガーログをつけましょう。
アンガーログとは、怒りの感情が湧いた出来事やその際の反応、原因、結果などを記録する手法です。
怒りのパターンやトリガー(引き金)を客観的に把握し、感情をより効果的に管理するために使われます。
【記録する項目】
- 怒りを感じた日時
- 怒りを感じた場所
- 怒りのレベル(10点満点で評価)
- 怒りの原因となった出来事(具体的に)
- 自分の思考・感情・行動(その時考えたこと、感じたこと、とった行動)
- 怒りに対する対処法(どのように対処したか、または、どのように対処すればよかったか)
⑤ リラックス方法を見つける
ストレスを軽減し、怒りの感情をコントロールするためには、自分にとって効果的なリフレッシュ方法を見つけておくことが大切です。
【具体的な方法】
- 深呼吸
- 瞑想
- 音楽鑑賞
- 軽い運動
- 趣味の時間
- アロマテラピー
- 入浴
- 間食
- 手をグーパーする
ワーク
ワークを取入れてみましょう。
① 最近怒りを感じた実例を出して、アンガーログをつけましょう。
- 怒りを感じた出来事(いつ、どこで、何があったか)
- 怒りの原因(どんな「べき思考」やトリガーが働いたか)
- 自分の反応(その時にとった行動)
- 結果(その出来事がどのように終わったか)
- 改善の方法(どうすればよりよい対応ができたか)
② 6秒ルールのロールプレイ
状況設定:
一人が認知症の利用者さん役を演じ、同じ台詞を感情的に繰り返して言う。
その対応で、怒りを感じた瞬間に6秒ルールを実践してもらう。
ロールプレイ後、どのように感じたか、実践した方法の効果を振り返り、他の方法も試して意見交換しましょう。
最後に、2つのワークの意見や感想等を共有する時間を設けてみてはいかがでしょうか。
おわりに
いかがだったでしょうか。
アンガーマネジメントは、一朝一夕に身につくものではありません。
しかし、日々の積み重ねによって、確実に効果を実感できるスキルです。
今回ご紹介したテクニックを参考に、ぜひ、実践してみてください。
そして、怒りの感情に振り回されることなく、自分自身も穏やかに、利用者の方にも笑顔で接することができる、そんな介護を目指していきましょう。
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