会議の進行方法で悩んでいる管理職。
【介護施設】有意義な会議やり方のコツを伝授!【無駄に長い会議はやめましょう】
筆者
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職やリーダー・管理職にとって必要な情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
決定事項の報告をするだけの会議や、何も決まらずただただ長い会議などはよく見られます。実際、僕もそんな会議をやっていました。
でも今の時代、そんな会議をしていると不満の声が上がり、そのうち参加者が減ります。「会議って、する意味あるんですか?決定事故だけなら読んでおきますよ」と直接言われた経験があります。
僕が会議の方法を研修で学んだり、本で調べたりし、それを実践して失敗を繰り返した結果、良かった会議の方法を記載していきます。昔の僕と同じような悩みを抱えている管理職の人に、少しでも参考になればうれしいです。
この記事を読む価値
会議が以下のように変化します。
- 全職員の共通認識ができる
- 意思決定(決定事項)ができる
- 皆が意見が反映される
- 無駄な時間がない
- 時間通りに終わる
- 職員の関係性が深まる
早速、見ていきましょう。
会議の目的
まず質問ですが、
あなたの施設で行う会議は何のための会議ですか?
基本的には、以下の3つのいずれかが会議を行う目的になります。
- 全職員の行動を決めるための【意思決定会議】
- 全職員から提案や意見を出すための【提案会議(付箋会議)】
- お互いの理解を深め合うための【コミュニケーション会議(ダイアログ)】
そして1回の会議では1つの方法のみ進行するべきです。
1度に2つ以上進行するとファシリテーターも参加者も混乱しがちです。
ダメな会議例
先に、ダメな会議を紹介します。
ダメな会議は以下のような会議です。
- 始まりと終わりの時間が決まっていない
- 声の大きい職員だけが発言している
- 議題が準備されていない
- 「皆で決めよう」という内容と雰囲気
- ファシリテーターがいない
- 否定的な意見が飛び交っている
- 事前に議題が周知されていない
- 情報共有と報告だけ
- 開始後に資料を読み始める
- 継続検討ばかりで何も決まらない
こんな会議をしていませんか?
目的別の会議方法を紹介
会議は目的に応じて方法を変える必要があります。
- ルール作成や決定事項の作成には【意思決定会議】
- 皆で提案を出し合うには【付箋会議】
- スタッフ同士のコミュニケーションを活性化するには【ダイアローグ】
これらを使い分けます。
以下、一つづつ具体的に解説します。
【意思決定会議】
介護現場は日々問題が生じ、管理職はそれを解決していかなければいけませんよね。
その場その場で決められる問題もあれば、職員皆が納得したうえでルールとしてを決めていく必要がある問題もあります。
そしてこの会議方法を進めるうえで必要な考え方があります。
まず施設のルールや決定事項に対して責任を取るのはあくまでも管理職だということです。
ルールが失敗して皆が混乱しようと、成功しようと、責任は管理職にあります。
そう考えたとき、他人(職員)の意見でルールが決まってしまいそれがもし失敗に至った際、その責任をとるのはその職員ではなく管理職のあなたになります。
例えばこんな感じです。
デイサービスで利用者Aさんが飴玉を持参したとします。
管理職の僕としては「利用契約のときに、基本的に飲食物の持参は禁止だと伝えていた。ルールなので却下するべき」と考えました。
しかし声の大きいスタッフが「それは自立支援の理念に反します、飴ぐらい問題ないと思います」と発言し、利用者さんの飴玉持参はOKと決まりました。
翌日、利用者Aさんが嚥下障害のある方に飴玉を上げてしまい喉を詰まらせてしまい、救急搬送…。
どうでしょう?責任は声の大きいスタッフではなく管理職になりますよね。
ちょっと極端な例ではありますが、このように施設のルールの責任は管理職になってしまいます。
ではどうすればよいかといいますと、ルールは管理職が作ってしまえばよいのです。
もし他のアイデアが欲しければ、信頼している職員2,3人でルールを決めてしまいます。
そしてこの【意思決定会議】ではそれを発表するだけです。
簡単ですよね。
そして、その意思決定に対して【質問】【提案】などを職員が発言する場とするのです。
あくまでも”これはもう決定しているものなんですよ”という呈で。
先ほどの例でいくと、
『利用者さんの飴の持参は、《契約のときに持病のため持参をやむを得ないと判断しない限りは持ってきてはいけない》と決めました。今回のAさんも同様に、持参はダメだとお伝えします。これについて何か質問などはありますか?』
と言います。
それでも声の大きいスタッフが意見を言ってくるかもしれません。
それに対しその場で反論できない場合は【宿題】として、後日個別でその意見に答えます。
『自立支援も大切ですが、まずはリスク管理を重視します』という感じで。。
あくまでもその会議では『これは当施設のルールとしますが宜しいですね』という場にします。
最終的にはそれが皆の共通ルールとなる仕組みです。
質問や提案の時間は設定しておかなければいけません。設定していなければ際限なく言ってくるかもしれませんからね…。
以上が【意思決定会議】です。
【付箋会議】
全員参加型の会議なので「暇だな~、早く終わらないかな~」と考える職員がいなくなります。
そして無駄な会話がなく皆の意見が反映され、効率よく短時間で終わることができます。
では、付箋紙会議の流れも例えを使いながらご説明します。
議題は【年間の研修計画を立てますので、皆さんが普段困っていることや知りたいことはありますか?】
1.参加者が付箋に思いつく限りのアイデアを書き込む(10分程度)
1つの付箋には1つのアイデアだけ書き込み、基本的には無記名です。
無記名にすることで立場や役職に関わらず意見を出せます。
「今更こんなこと聞くのもな~」、「知りたいことがあるけど皆の前で発言するのは恥ずかしいな」ということがなくなります。
2.共有の場に張り出す
付箋を回収し模造紙やホワイトボードにすべて張り出します。
3.司会者が似たようなワードをグループ化する
付箋を貼ったり剥がしたりしながら司会者がグルーピングします。
今回の例では、下記のようにグルーピングしていきます。
- 骨折について知りたい。糖尿病について知りたい。透析について知りたい⇒《よくある病気や疾病について》というグループ
- ケアマネとの係わりを具体的に知りたい。他び施設について知りたい。⇒《介護保険制度について》というグループ
- 腰痛について知りたい。四十肩についてしりたい。膝痛について知りたい。⇒《痛みと介助方法について》というグループ
4.模造紙をデジカメで記録する
この写真が議事録の代わりとなります。写真なら会議終了後すぐに共有できるので会議後の仕事もスムーズです。
議題としては他にも、以下のような内容を聞き出すのにうってつけの会議です。
- レクの種類
- 当施設に必要なマナー
- 利用者さんがお過ごしで、不快に思っていること
- 業務改善が必要だと感じていること
- 当施設の強み など
【ダイアログ】
前述した【意思決定会議】は、職員が普段の考えていることや思っていることを引き出すことができません。
また職員間の関係性をより良くすることもできます。
ただしやり方を間違えると”ただの雑談”となります…。
雑談でもそれはそれで関係性が深まりも良いかもしれませんんが、やはり同じ時間を使うなら目的を持った意味のあるものにしたいですよね。
僕が実践してみたコミュニケーション会議はこの3つ。
この中で一番良いと感じたのが【ダイアログ】です。
ただこれは非常に難しく、難易度が高いです。
僕自身、研修にも何度か行いましたがうまくいっているかどうか、というレベルです…。
それぞれ本が出版されていますので検索してみてください。
研修もいろんなところで開催されています。
大まかな流れとしてはこちらの記事が大変参考になりますので載せておきます。【ダイアログについて】
それぞれ共通しているのが、以下の事項です。
それを前提に対話をすることで《気づき》《コミットメント》《協働関係》を等を得ることができます。
会議には準備が必要
準備次第で会議は決まるといっても過言ではありません。
以下のような準備が必要です。
- 自施設に今必要な議題を考える
- 議題に対して管理職同士で意思確認をしておく(管理職が複数いる場合)
- 根回しをしておく(目的によって)
- 議題や項目、会議のルール等を事前に職員へ周知させておく
最初はぎこちない会議になるかもしれませんが、しっかり準備することで何が問題だったか、次はどうすればよいかを振り返り改善することができます。
いわゆるPDCAサイクルを回すことができます。
そうすることで自施設に合った会議に進化していくことができます。
目的を持った意味のある会議にするには準備が不可欠です。
おわりに
いかがだったでしょうか。
当施設では2か月に1回のペースで会議をするようにしています。
あまりやりすぎると職員に負担をかけてしまいますからね。
僕はその都度”当施設で今必要な会議は何か”を考え実施するようにしています。
まずは【意思決定会議】と【提案会議】をしてみることをおススメします。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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