デイサービス利用中に「有償ボランティア」などの活動を行うことは可能か
筆者
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。
自治体に伺うと「ケアプランに載せていればよい」「平成30年の通知があるので、デイの中で仕事をしても大丈夫ですよ」などと返答される場合もあるようです。
でも安易に有償ボランティアを始め、それが「労働」とみなされた場合、いろいろな問題が発生してしまいます。
デイサービスで有償ボランティアを始めたいと思っている管理職やオーナーの方に、大変参考となる記事を書きましたので、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事を読む価値
- 有償ボランティアを始めるうえで、注意すべきポイントがわかります。
- 厚労省の通知を一部抜粋しているので、信頼性があります。
- 簡単な内容なので3分で読めて理解できます。
早速、見ていきましょう。
有償ボランティアを運営する上で注意すべきポイント
「Vol.669平成30年7月27日若年性認知症の方を中心とした介護サービス事業所における地域での社会参加活動の実施について」では、デイサービスの利用者さんに「仕事」をさせることを許可しているのではなく、ほかの企業と連携して事業所の外で社会参加活動に取り組むことで、利用者の機能訓練や自立支援、生活の質の向上を図ることを目的としています。
デイサービス利用中の有償ボランティアは、 その活動が『機能訓練』 として事業所外での社会参加による自立支援や生活の質向上になっていることで認められます。
気を付けるべき点として、外部企業や団体などとの間に雇用関係があると判断された場合は、労働基準法が適用されます。
「これは社会参加活動である」と主張しても、その活動を強制したり納期を設けたりすると「労働」と見なされ、そうなると定款や労働基準法、社会保険、認可や資格、 税法上の扱い、 建築基準法上の用途扱いなどさまざまな問題が発生します。
そして「労働」とみなされた場合は、デイサービスの提供時間とは認められないので、返戻を求められてしまいます。
よってどのような取組をするのかを決める前に、あらかじめ自治体に問い合わせるべきかもしれません。
社会参加活動を行う際の留意点(一部抜粋)
以下の文章は、Vol.669平成30年7月27日若年性認知症の方を中心とした介護サービス事業所における地域での社会参加活動の実施についてを一部抜粋したものです。
もし読者の方で有償ボランティアの導入を考えている場合は、必ず読んでおく必要があるものです。
是非、参考にしてください。
事業所外で定期的に社会參加活動を実施することについて
次の要件を満たす場合には、介護サービス事業所が、利用者の自立支援や生活の質の向上等を目的としたサービスの一環として、事業所の外(こおいて、社会参加活動等に取り組むことができます。
なお、利用者の心身の状況によっては、必要に応じてかかりつけ医等と連携することも必要です。
① 介護サービス計画に沿って個別サービス計画が作成されており、利用者ごとの個別サービス計画に、あらかじめ社会参加活動等が位置づけられていること
② 社会参加活動等の内容が、利用者ごとの個別サービス計画に沿ったものであること
③ 利用者が社会参加活動等を行うに当たり、事業所の職員による見守り、介助等の支援が行われていること
④ 利用者が主体的に社会参加活動等に参加することにより、利用者が日常生活を送る上で自らの役割を持ち、達成感や満足感を得て、自信を回復するなどの効果が期待されるような取組であること
企業等と連携した有償ボランティアを行う場合の労働関係法令との関係について
(1)労働者性の有無について
有償ボランティアに参加する利用者についても、個別の事案ごとに活動実態を総合的に判断し、利用者と外部の企業等との間に使用従属関係が認められる場合には、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条の労働者に該当するものとして、労働基準関係法令の適用対象となります。
有償ボランティアに参加する利用者が労働基準法第9 条の労働者に該当するか否かに当たっては、以下の点等について総合的に勘案して判断することになります。
事業所の取組に疑義が生じる場合には、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署まで相談願います。
i 利用者が、ある活動日、活動時間に、活動を行うことについて、外部の企業等からの指示があるか(注1)
ii 活動時間の延長や、活動日以外の日における外部の企業等からの活動指示が行われているか
iii 活動の割当、活動時間の指定、活動の遂行に関する指揮命令違反に対して、外部の企業等からの謝礼等の減額等があるか
iv 欠席・遅刻・早退に対して、外部の企業等からの謝礼等の減額があるか
(実活動時間に応じた謝礼等を支給する場合においては、活動しなかった時間分以上の減額を行うことはないこと)
v 利用者と一般の労働者が明確に見分けられるか(注2)
(注1)活動を行うことにっいて、利用者に諾否の自由があるか
(注2)「明確に見分けられる」とは、例えば、活動場所については、一般の労働者と全く異なる部屋で活動しなければならないということではなぐ一般の労働者と同じ部屋の中で活動する場合であっても、服装等により利用者と一般の労働者が見分けられるようになっていることが考えられる。
事業所が、社会参加活動等の実施に当たり、外部の企業等と業務委託契約を結ぶ場合にも、上記iからvを踏まえて、その契約の内容が、社会参加活動に強制的に参加させることにつながるものとならないよう留意することが必要です。
また、当該事業所のサービスを利用するに当たり、社会参加活動等に参加することが条件であると誤解されないよう、利用申込者に対する丁寧な説明が必要です。
(2)謝礼の受領について
有償ボランティア活動を実施するに当たり、(1)のiからvを総合的に勘案して判断した結果、有償ボランティアに参加する利用者が労働基準法第9 条の労働者に該当しないと判断された場合、一般的には、社会参加活動等に参加した利用者に対する謝礼は、労働基準法第11条の賃金に該当せず、労働基準関係法令の適用対象外になると考えられます。
なお、当該謝礼は、利用者に対するものであると考えられ、事業所が、利用者に対する謝礼を一部でも受領することは、介護報酬との関係において適切ではありません。
利用者に支払われる謝礼を、一時的に利用者を代理して預かることは可能ですが、その場合でも、あらかじめ利用者本人やその家族等の了解を得ることが必要です。
(3)「労働者派遣」、「職業紹介」、「労働者供給」の該当性について
外部の企業等との連携により社会参加活動等を実施するに当たり、有償ボランティアに参加する利用者と、事業所及び外部企業等のいずれとの間にも使用従属関係が無い場合には、利用者が連携先の企業等において社会参加活動等に参加した場合であっても、事業所が「労働者派遣」、「職業紹介」、「労働者供給」(詳しくは以下の参考を参照ください)を行ったことにはならないものと考えられます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
確かに利用者さんに有償ボランティアをしてもらうと、役割感をもっていただくことができ、よい機能訓練を提供できます。
男性利用者さんなどは喜ばれる方も多いです。
ですが適切な準備が必要です。
運営指導の際しっかりと返答できるよう、事前に準備をしておきましょう。
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