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身体拘束

介護の現場から身体拘束をなくすには?厚労省の方針と対策を紹介

とも
とも
こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。介護施設で必須の【身体拘束の排除の為の取り組みに関する研修】をブログ記事にしました。

筆者(とも)

記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。

読者さんへの前おきメッセージ

介護の現場では、利用者さんの安全を守るために、つい「身体拘束が必要ではないか」と考えてしまう場面があります。

しかし、身体拘束は本人の尊厳や自立を大きく損なうリスクがあり、厚生労働省も「原則禁止」とする方針を打ち出しています。

本記事では、厚労省の「身体拘束ゼロ作戦」の背景や考え方を紹介しながら、拘束に頼らずに安全・安心な介護を実現するために現場でできる工夫や考え方をお伝えします。

身体拘束の問題点、具体的な例、そして代替策を知り、より良いケアに向けた一歩を一緒に考えていきましょう。

この記事を読む価値

  • グループワープを入れると1時間程度の研修にすることもできます。
  • 施設のマニュアル作成にもお役立てできる内容です。
  • 難しい表現は省いているので、新人職員でも理解できる文章です。

 

早速、見ていきましょう。

厚生労働省の方針と背景

厚生労働省

身体拘束の廃止・防止は、厚生労働省の方針や社会全体の動きとも深く関わっています。

介護保険制度が始まった平成12年以降、原則として身体拘束は行ってはならないとされ、厚労省は「身体拘束ゼロ作戦」を通じて、拘束のないケアの実現に向けた取り組みを進めています。

この「身体拘束ゼロ作戦」は、制度だけでなく社会全体に身体拘束の問題を知らせ、意識改革を促してきました。

これを元に、介護施設や事業所では、研修やマニュアルの整備、委員会の設置、ご家族との連携など、拘束をしないための具体的な取り組みが進んでいます。

この方針の背景には、高齢者の尊厳を守り、自立を支えるという考え方があります。

身体拘束は、自由や意思を奪う行為であり、人間としての尊厳を損なうものです。

厚労省は、緊急やむを得ない場合に限って、切迫性・非代替性・一時性の3つの要件をすべて満たしたときのみ例外として認めています。

そして、その判断は関係者全体で慎重に行い、記録を残すことが求められています。

「緊急やむを得ない場合」の対応について詳しく知りたい方は、コチラの記事をご参照ください。

スピーチロック
【介護施設】身体拘束の排除の為の取り組みに関する研修 筆者(とも) 記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホ...

身体拘束は一見安全対策のようでいて、実は多くの弊害をもたらします。

身体的には筋力や免疫力の低下、転倒リスクの増加などがあり、精神的には不安や怒り、認知症の悪化にもつながります。

社会的にも、施設に対する不信感や、職員のやりがいの低下を招きます。

こうした「拘束が拘束を呼ぶ悪循環」を断ち切ることが必要です。

身体拘束をなくす取り組みは、利用者さんの人権を守り、その人らしい暮らしを支えるための重要な実践です。

身体拘束ってどんなこと?具体例を知ろう

まず、身体拘束とは「本人の行動の自由を制限すること」と定義されており、介護現場では原則として行ってはならないとされています。

厚生労働省の「身体拘束ゼロへの手引き」では、対象となる具体的な行為が11項目挙げられています。

たとえば、

  • ベッドや車いすに体を縛る
  • ミトンを使って手の自由を奪う
  • 向精神薬で行動を抑える「ドラッグロック」
  • 鍵のかかる部屋に閉じ込める

などが該当します。

これらは一例であり、他にも身体拘束とされる行為があることにも注意が必要です。

大事なのは、本人の自由を奪っていないかどうか、という視点です。

たとえ鍵がなくても本人が自力で出られない部屋で隔離されていれば、それは身体拘束に当たります。

また、物理的な拘束だけでなく、職員の言葉による制限「スピーチロック」や、薬を使って落ち着かせる行為も含まれることがあります。

ご家族の同意があっても、それだけで身体拘束が正当化されるわけではありません。

そもそも身体拘束をしなければならない状況がなぜ起きているのかを見つめ直すことが大切です。

たとえば、徘徊とされる行動には「どこかに行きたい」「探し物をしている」などの理由があり、おむつを外す行動には不快感や不安が背景にあることもあります。

こうした原因をしっかりとアセスメントし、適切な代替ケアを考えることが、身体拘束の廃止につながります。

厚労省が示す「身体拘束ゼロ」への基本方針

身体拘束は、生命や身体を守るためにやむを得ない場合に限り、例外的に認められていますが、その判断には非常に慎重な対応が必要です。

よく「夜間は、身体拘束が必要ではないか」という議論があります。

人手不足や転倒防止などの理由から、夜間に身体拘束を選ぶケースがありますが、それは安易な対応とされ、身体拘束がかえって事故のリスクを高める場合もあります。

筋力の低下や寝たきりを招き、QOL(生活の質)を下げてしまうため、避けるべきとされています。

代わりにできる工夫としては、日中の活動量を増やして夜間の徘徊を減らす、生活リズムを整える、手すりやマットの設置など環境を整える、トイレの誘導を計画的に行うなどがあります。

また、利用者さんの行動パターンを把握し、職員同士で情報を共有して対応を統一することも大切です。

重要なのは、「転ばせないこと」より「その人らしく生きること」を大切にする姿勢です。

そして「やめてほしいことをしてしまう場合、身体拘束が必要な場合もあるのでは」という議論も度々生じます。

本人が嫌がる場合は、それ自体が「やめてほしい」という意思表示です。

その行動の背景には必ず理由があります。

たとえば、おむつをいじる行為には不快感や不安、徘徊には目的があることが多いです。

こうした理由をアセスメントで理解し、代替ケアを考えることが必要です。

実際に、点滴を抜いてしまう人に対し、蒸れやかゆみを減らす工夫や、経口摂取に切り替えることで身体拘束を解除できた例もあります。

身体拘束の効果は必ずしも確かではなく、むしろ悪影響を及ぼす可能性があるため、他の方法を模索する姿勢が求められます。

判断は職員一人ではなく、事業所全体で慎重に行うことが必要です。

「これは本当に本人のためか?」と立ち止まって考える姿勢、違和感のあるケアは職員同士で共有して検討することが、より良い介護につながります。

身体拘束ゼロの第一歩は“気づく”ことから

身体拘束ゼロを目指すには、まず「気づくこと」が出発点です。

拘束そのものが問題行動ではなく、利用者さんの尊厳を傷つけ、自立を妨げる行為であることに気づくことが何よりも大切です。

たとえば、普段のケアの中で当たり前のように行っていた対応が、実は拘束にあたるかもしれない。

そのことに気づいた職員が、「これは本当に適切なケアなのか?」と立ち止まって考え直すことが、変化の始まりです。

明日からでも始められる行動として、まず利用者さんの行動の背景を探る姿勢が求められます。

徘徊やおむついじりなど、困った行動に見えるものにも理由があります。

不安、寂しさ、体の不快感など、本人なりの訴えがそこに隠れているかもしれません。

言葉にできなくても、表情やしぐさからその気持ちを読み取ろうとすること。

そうした日々の小さな積み重ねが、拘束をせずに安心を届けるケアへとつながっていきます。

また、生活リズムに合わせた排泄誘導や、座り心地のよい椅子、居室へのノックなど、利用者さんの「自由」や「心地よさ」を守る視点も大切です。

さらに、他の職員との情報共有や意見交換も忘れず、チームでケアの質を見直していくことが、よりよい介護につながります。

取り組みを振り返るには、日々の観察やアセスメントが適切に行われているかを確認することが重要です。

利用者さんの感情の変化や行動の意味をチームで共有し、そのうえで代替策をいくつ検討したか、どのように環境を整えたかなどを見直します。

身体拘束をしていないか?と見直す時間をつくることは、ケアの質を高め、利用者さんの尊厳を守ることに直結します。

一人ひとりの気づきと行動が、チーム全体の意識を変え、施設全体の取り組みにつながっていきます。

グループワーク

ではグループワークをしていきます。

グループワークは、学んだことを実践に落とし込むために非常に有効です。

ぜひ、取入れてみてください。

一つ目は、「この場面、どうする? ~身体拘束に頼らないケアを考えよう~」というワークをしてみましょう。

具体的な場面(例:夜間徘徊、点滴抜去の恐れ、転倒リスクが高い人)を設定し、「身体拘束以外でできる工夫」をグループで考えて書き出します。

二つ目は「“なぜ?”を深掘る ~行動の背景を考えるワーク~」というワークです。

徘徊や異食、おむつ外しなど“困った行動”に対して、「その背景にどんな理由がありそうか?」をグループで想像して書き出します。

各ワークは15分程度で行い、その後発表してもらいましょう。

おわりに

いかがだったでしょうか。

身体拘束をなくすことは、簡単なことではありません。

しかし、それは利用者さん一人ひとりの尊厳を守り、その人らしい生活を支えるために必要な努力です。

厚労省の方針に基づき、私たち介護職員が「気づき」「考え」「行動する」ことが、現場を大きく変えていきます。

まずは「なぜこの行動が起きているのか?」に寄り添い、チームで代替策を探ることから始めましょう。

利用者さんの笑顔を守るために、そして私たち自身が誇れるケアを続けていくために、今日から一緒に身体拘束ゼロへの取り組みを進めていきましょう。

それではこれで終わります。

この研修記事が御社の運営に少しでもいかしていただければ幸いです。

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介護士の資格取得/スキルUP/転職について記事を書きています。 作業療法士/介護福祉士/ケアマネージャー資格等の保有