筆者(とも)
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
入浴介助中の事故は、利用者さんの命につながることもあります。
介護士なら誰もが経験する入浴介助ですが、入浴中は事故のリスクが高く、しっかりとした準備と、知識が必要です。
この記事では、入浴中はどのようなリスクがあり、どのような準備が必要かを書いています。
この記事を読む価値
- デイサービスの入浴介助研修にすることのできる資料です。
- ワークを入れると30分程度の内容です。
- 難しい表現等はありません。
動画視聴のご案内
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動画で見たい方は、画像をタップしてください。
入浴介助中の事故防止
入浴介助中に起こりうる事故をあげてみます。
- 転倒
- 転落
- 溺水
- ヒートショック
- 湯のぼせ
- 皮膚トラブル(内出血や表皮剥離)
- やけど
- 脱水症状
高齢者は身体機能は衰え、皮膚感覚は鈍く、肌も弱く、ちょっとしたことで事故は生じます。
そして、事故の多くはヒューマンエラーです。
「スタッフが利用者さんから目を離した隙に溺水した」「床のボディーソープを流し忘れて、利用者さんが滑ってしまい転倒した」という状況がほとんどです。
入浴介助は、しっかり準備をしたうえで細心の注意を払うことが大切です。
リスクマネジメントを徹底する
リスクマネジメントは【環境設定】と【意識】の2つに分けて考えます。
まずは【環境設定】です。
事故防止につながる環境を、事前に準備しておきましょう。
1、床の清掃(転倒・転落予防)
シャンプー・洗剤・せっけん残り、床のぬめりなどを除去して滑りにくくし、はだしで歩いて確認する。
必要に応じて、滑り止めマットなども使う。
2、湯温を確認(やけどの予防)
職員が自分の手でお湯の温度を確認後、利用者さんにも適温かどうか確かめてもらう。
3、脱衣室・浴室は25℃程度に設定する(ヒートショック予防)
入浴介助が始まる1時間程度前からエアコンをつけておく。
4、水分補給(熱中症、脱水症予防)
入浴前後(入浴前は15分~30分ほど前)に水分補給し、湯船につかる時間は10分以内にする。
5、食後30分〜1時間後は食後低血圧を考慮し、入浴を避ける(血圧異常予防)
6、バスマットの交換(水虫防止)
バスマットはこまめに交換し床は清潔に保つ
次は【意識】です。
ヒューマンエラーを減らすため、次のような項目を意識します。
1、目を離さない(溺水予防)
介助時はそばを離れず、湯船につかっているときは、利用者さんの姿勢に注意し目を離さないようにする。
万が一その場を離れなければならない場合は、利用者さんに浴槽の外に出てもらい、転倒 ・転落の危険がない安定した場所で待機していただく。
2、移動は慎重に(転倒・転落予防、皮膚トラブル予防)
床は濡れているので、普段より滑って転倒しやすくなっている。手すりに捕まる、手引き介助をするなど、移動は普段よりも慎重に介助する。
また高齢者の肌は薄い為、少し壁に当たったり、ちょっとした摩擦などで、内出血や表皮剥離が起こる。
3、洗体は、皮膚状態に合わせて強度を調整する
肌が薄く乾燥している肌に対して、ゴシゴシとこすってしまうと、すぐに表皮剥離や炎症を起こしてしまう。
入浴介助チェック表
入浴介助中に「利用者さんの〇〇がない…」、「あんな所にブラシをおいていたら危ないのに…」など、いろいろ気を遣うことが多くては、ヒューマンエラーを引き起こしかねません。
事前にできる準備はしておき、ゆとりを持った入浴介助ができるようにしておきましょう。
そのためにもチェック表を脱衣所などに置いておくことをおすすめします。
以下、「入浴介助チェック表」を作成したしたので、参考にしてください。
入浴介助チェック表①は【環境設定】についてのチェック表で、入浴介助チェック表②は【意識】についてのチェック表です。
入浴介助チェック表①:
- 床に滑り止めマットなどを敷いている
- 脱衣所に必要物品(着替え、バススタオル、おむつなど)は揃っている
- ボディーソープやシャンプーの補充はできている
- 入浴前に水分摂取してもらっている
- 掃除道具は利用者さんに見えないところへ保管されている
- 交換用のバスマットを複数用意している
- 脱衣室と浴室は、25度前後になっている
- 湯温は38〜40度(熱すぎず、ぬるすぎず)に設定している
入浴介助チェック表②:
- 浴室用洗剤・せっけんかすや泡などが、床に残らないよう流している
- 傷、あざなどがないか全身を確認している
- 移動はゆっくりと、転倒予防を常に意識している
- 浴槽内に入っている
- 湯温は、利用者さんにも確認してもらっている
- お湯につかる時間は5分~10分程度にしている
- 洗体・洗髪は、自分でできるところはしてもらっている
- 洗体は皮膚状態に合わせて、力を入れ過ぎず、場合によっては泡で優しく洗っている
- バスマットはこまめに交換している
- 入浴後に水分摂取をしてもらっている
ワーク
職員によって、入浴介助中に大事にしているポイントが異なることもあります。
「自分はこんなことを大事にしている」「ここは欠かせないポイントだと思う」などを出し合い、共有しましょう。
まずは、個人ワークです。
時間は5分程度で、思いつく限りを書き出します。
次にグループワークです。
グループワークを10分程度です。
グループごとに分かれ、発表し合いましょう。その後、質問や提案などをして、知識をより深めていきましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
もし入浴中に事故が生じたら、利用者さんは勿論ですが、職員も無事とは限りません。
「滑って転倒しそうになったところを助けようとして、自分が怪我をしてしまった」というようなことも生じます。
この研修によって、入浴中はいかに事故の危険が高く、それにはどのような対策が必要かを理解していただけたのではないでしょうか。
このような研修を定期的に実施して、職員全員で入浴中の転倒事故について知識を深め、利用者さんが安全で安心できる入浴を目指して、頑張っていきましょう。
この研修資料が、御社の運営にお役立ていただければ幸いです。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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