職場の人間関係が悪く、どうしたらよいか悩んでいる人。
【介護現場】人間関係が最悪…【人間関係の改善にはコミュニケーション能力の育成が必須】
筆者
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職やリーダー・管理職にとって必要な情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
介護現場での退職理由の一般的なランキングは以下の通りです。
- 働き方や労働環境への不満
- 身体的・精神的負担
- 職場の人間関係
- 介護の難しさに対する理解不足
- 職場の適合性の欠如
ひと昔前は【職場の人間関係】が常にランキングトップでしたが、ここ数年は下がってきています。とはいうものの、常に退職理由の上位ランキングに入っています。
なぜこれだけ人間関係が問題になるのか、意外と現場で働いているとわかりません。そして原因がわからなければ改善の方法もわかりません。放っておくと人間関係はどんどん悪化し退職者を出してしまい、人手不足が深刻化します。
この記事では介護現場で人間関係が悪化する理由とその改善策を執筆していきます。あなたのキャリア生活に少しでも参考になれば嬉しいです。
この記事を読む価値
- 人間関係が悪化する理由がわかります。
- 人間関係の改善策がわかります。
- あなたが今後とるべき行動がわかります。
早速、見ていきましょう。
人間関係の改善にはコミュニケーション能力の育成が必須
介護現場における人間関係悪化の原因は、以下のようにあげることができます。
- 常に高いストレスレベル
- 人手不足
- 勤務時間の超過
- 価値観の違い
- 役割や責任の不明確さ
- コミュニケーション不足
この中で最も大事なのが【コミュニケーション不足】です。
逆に【コミュニケーション不足】が改善すると、他の項目も自然と改善してきます。
それでは、それぞれを具体的に解説していきます。
常に高いストレスレベル
服薬の誤飲や転倒事故などは利用者さんの命にかかわります。
そのため、職員同士の間でストレスがたまりやすく、イライラや不満が募り、コミュニケーションやチームワークが悪化する場合があります。
人手不足
原因はいろいろあります。
給料水準が低い、社会的地位が低い、仕事が大変、など。
介護業界は中小企業が多いため、事業所側も人員ギリギリで運営しないと、黒字にならないといった理由もあります。
現場は常に人手不足であるため、担当する業務が多くなり、ストレスや負担がたまりやすくなります。
人員不足が原因でトラブルやミスが起こりやすくなり、人間関係にも悪影響を与えることがあります。
人手不足から生じる、人間関係悪化に至る要因は以下のようになります。
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
業務負担の増大
人員不足が生じると、個々のスタッフの業務負担が増大します。
例えば1日のスタッフ数を7人で回している事業所があるとします。
そこで1人が新型コロナウイルスに感染し、5日間の休養をしなければならない場合、6人で回す必要があります。
1人の業務量を分散し、皆で補うには相当業務量が増大してしまいます。
「シフト制だから休みのスタッフに出てきてもらおう」とすると、週6日勤務のスタッフもでてきます。
それが5日間ならまだしも、次に違うスタッフが感染し更に5日間、そして疲弊したスタッフが風邪などを発症し更に3日間、と常に人手不足な状態が続くとどうでしょうか。
スタッフ同士のコミュニケーションが減少し、ネガティブな方向へ思考が回り、人間関係の悪化につながりかねません。
業務の優先順位のずれ
人員不足が生じると、常にスタッフは動き回らなければなりません。
そして、よりスタッフ間の協力が迫られる為、優先順位にずれが生じると人間関係が悪化してしまいます。
認知症の利用者さんとのコミュニケーションを大事にするスタッフがいれば、業務を時間内に終わらすことを優先するスタッフなどスタッフの価値観はそれぞれです。
そんな場合、声の掛け合いが大事になりますが、つい強い口調で言ってしまったりすると、それだけでスタッフ同士の信頼関係が損なわれ、人間関係が悪化することがあります。
業務の質の低下
人員不足が生じると、スタッフの負担が増大するため、業務の質が低下します。
たとえば、介護者が食事や入浴の介助を行う時間が不足するため、十分なケアができなかったり、洗濯や清掃などの生活支援業務が疎かになったりすることがあります。
業務の質が低下が続くと、利用者さんやその家族からクレームがでてくるようになり、スタッフのストレスが溜まります。
ストレスが溜まっているスタッフ同士では、何かの拍子で人間関係は悪化してしまいます。
勤務時間の超過
それに加え、事故や急変など、予想外の事態が発生した場合には、更に勤務時間が超過することも少なくありません。
勤務時間の超過が続くと、スタッフの健康や心理的な負担が増大し、職場の人間関係にも悪影響が及ぶ可能性があります。
たとえば、過剰な勤務時間によって、スタッフのストレスが蓄積され、イライラや不機嫌が態度で出始め、職場内でのコミュニケーションが悪くなることがあります。
他にも、過剰な勤務時間が原因で、睡眠不足になり、常に疲労がある状態で仕事をこなす状態が続いてしまいます。
また、プライベートな時間が減少し、家庭や友人との交流が制限されることもあります。
このような状況に陥ると、スタッフのストレスが増大し、仕事に対するモチベーションが低下してしまいます。
それによって、スタッフ同士の協力やチームワークが弱まり、トラブルや意見の食い違いが生じることもあります。
価値観の違い
利用者さんとの会話を大事にする職員もいれば、現場を時間内に回すことを大事にする職員、またルールや規律を大事にする職員など優先順位が異なる場合もあります。
そのため「あの人は、また利用者さんと喋ってサボってる…」とか、「あの人は、利用者さんを放っておいて業務を回すことばかり…」などといった偏った見方になってしまいます。
そうなると、トラブルや人間関係の不和が起こることがあります。
職員の価値観の違いによるトラブルを解決するためには、以下のような具体的な対策があります。
それぞれを簡単にご紹介します。
ミーティングの実施
ミーティングの場で互いの考えを共有したり、業務上で意見交換をすることが有効です。
お互いの価値観を理解し合うことで相手をリスペクトし、短所を補い合えるような良好な関係を築くことを狙います。
トレーニングや研修の実施
職員が互いの尊重やコミュニケーションの大切さを学ぶことができるトレーニングや研修を実施します。
トレーニングを通して価値観の違いを理解することができます。
相談窓口の設置
職員が悩みや相談事を気軽に話せる相談窓口を設置することで、トラブルの早期解決が可能になります。
フィードバック(振返り)の実施
業務上での良い点や改善点を共有することで、職員同士の信頼関係を築き上げることができます。
イベントや行事があるごとにフィードバックをしたり、また普段担当している仕事や通常業務真も定期的にフィードバックをしましょう。
価値観の違いが生じた際にも、フィードバックを実施することでトラブルを未然に防ぐことができます。
チームビルディングの実施
職員同士の交流を深めるために、レクリエーションやスポーツ大会などのチームビルディングを実施することで、職員同士のコミュニケーションや信頼関係を強化することができます。
チームビルディングって何?
チームビルディングとは、チームメンバー同士が協力し、信頼関係を深め、より良いチームとして機能するための取り組みのことを指します。
個人のスキルや能力だけでなく、チーム全体の力を最大限に引き出すことを目的としています。
具体的な取り組みとしては、チームメンバー同士がお互いのスキルや能力を共有し合ったり、チームワークを高めるためのゲームや活動を行ったり、チーム内でのコミュニケーションを促進するための定期的なミーティングや意見交換会を開催することが挙げられます。
また、チームビルディングには、チームメンバーの意見やアイデアを尊重することや、課題解決に向けた共通の目標を設定することも重要です。
介護現場においても、チームビルディングの取り組みが重要です。介護現場では、利用者さんとのコミュニケーションや協力が必要となります。そのため、チームメンバー同士が協力し、信頼関係を深め、より良いチームとして機能することで、介護現場での業務をよりスムーズに進めることができます。
チームビルディングには、チームメンバー同士のモチベーションを高める効果もあります。介護現場は、非常に厳しい環境であり、長時間労働やストレスがかかることもあります。そのため、チームメンバー同士が協力し、共通の目標に向かって努力することで、モチベーションを維持し、介護現場での業務に取り組むことができます。チームビルディングとは?チームを強くする5つの手法・目的・注意点まで基礎知識を紹介
役割や責任の不明確さ
介護現場では、介護士、セラピスト、ナース、ケアマネージャーなど多くの職種が関わっています。
また、施設長、主任、リーダー、サブリーダー、などの役職もあり、それぞれの業務内容や役割分担を明確にしていない場合、スタッフ間での認識にズレが生じていることがあります。
このような状況では、優先順位の違い、業務の重複、ミスなどが生じる可能性が高まります。
また、職員同士の意見や考え方に食い違いが生じ、トラブルや不和につながることもあります。
例えば、毎年恒例の企画である「クリスマス会」を開催するとします。
その場合、介護士がメインですることになりますが、その時間のトイレ介助や着脱介助などは他の専門職の助けがいります。
またこのような企画を事項するには、マンパワーが足りなくなるため、リーダーや施設長などの助けも必要です。
「クリスマス会」を実行するには、誰が主体となり、他の役職者や専門職はどのように動くべきなのかも決める必要が生じます。
このように役割や責任を明確にしておくと企画はスムーズに実行されます。
企画だけではなく、普段の業務においても「この業務は誰が実行するのか、誰に責任があるのか」を明確にしておくことで、業務はスムーズに行うことが出来ます。
役割や責任の所在が不明確な状態が長期化すると、スタッフのストレスや不安感が蓄積され、仕事に対するモチベーションが低下し、スタッフ同士の信頼関係は低下し、人間関係はさらに悪化してしまいます。
役割や責任の不明確さによるトラブルを解決するためには、以下のような具体的な対策があります。
それぞれを簡単にご紹介します。
業務分担の明確化
業務内容や責任範囲を明確にすることで、職員同士の業務分担がスムーズに行われます。
業務分担が明確になることで、それぞれの優先順位が理解でき業務効率を向上することができます。
業務プロセスの改善
同じ専門職同士でも業務内容に差異が生じる場合があります。
そんな時は業務プロセスの見直しや改善を行うことで、職員同士の業務内容に差異が生じることを防ぐことができます。
また、業務プロセスの改善によって、業務のスムーズな進行や効率化が図れます。
業務内容の共有化
業務内容や手順について、職員同士で共有することで、業務に関する情報が不足することを防ぐことができます。
共有化によって、業務に関する情報が透明化されることで、業務の質の向上やトラブルの未然防止が可能になります。
コミュニケーションの改善
職員同士のコミュニケーションを改善することで、業務内容の差異によるトラブルを未然に防ぐことができます。
コミュニケーションの改善には、ミーティングや業務上での意見交換、フィードバックの実施などが有効です。
コミュニケーション不足
介護現場では、利用者さんやご家族とのコミュニケーションも重要ですが、介護職員同士のコミュニケーション不足は更に重要です。
これは、情報共有の不備や意思疎通の不良、職員同士の信頼関係の欠如などにつながります。
コミュニケーション不足を解決するためには、以下のような具体的な対策があります。
前半の3項目はすでに説明したので、後半3項目について記載していきます。
コミュニケーション手段の多様化
コミュニケーション手段を多様化は大事です。
例えば、電話やメール、チャットツール、SNSなど、状況に応じて適切な手段を使い分けることで、連携不足や連絡ミスを解消することができます。
今ではグループラインを使った情報の共有やZoomを使った研修なども主流になりつつあります。
コミュニケーションに関するルールの明確化
職員同士のコミュニケーションに関するルールを明確化することで、コミュニケーションの質を向上させることができます。
ルールには、報告のタイミングや報告内容、伝達方法などが含まれます。
ルールを守ることで、職員同士のコミュニケーションが円滑に進み、不必要な誤解やトラブルを防ぐことができます。
コミュニケーション研修の実施
職員のコミュニケーション能力を向上させることで、コミュニケーション不足を解消することができます。
コミュニケーション能力の向上には、研修やトレーニングを行うことが有効です。
具体的には、コミュニケーションスキルの習得や心理学の理解などが挙げられます。
自分の意見や要望を伝えるだけでなく、相手の意見や感情に耳を傾けることで、信頼関係を築くことができる。また、相手の気持ちを汲んで対応することで、コミュニケーションの品質が向上することなどを学びます。
ただし研修だけでは意味がなく、職員同士のコミュニケーション意識の向上や、職場全体の雰囲気改善なども必要となります。
職員同士がコミュニケーションを取りやすい環境を整えることも大切です。
具体的には、職場内にコミュニケーションのためのスペースを設けたり、定期的に意見交換会やアイデア出しの場を設けたりすることが挙げられます。
以上のように、コミュニケーション不足を解決するためには、職員同士が信頼関係を築くことや、コミュニケーションスキルの向上、コミュニケーションのための環境整備、などが必要となります。
職員同士が円滑にコミュニケーションを取り、介護現場での業務をより良いものにするために、積極的に取り組んでいくことが重要です。
コミュニケーションのルールをもっと具体的に知りたい
介護現場においてコミュニケーションをスムーズに進めるためには、以下のようなコミュニケーションのルールを設けることが重要です。
メモや記録をとる
利用者さんの状況や進捗状況を把握するために、メモや記録を取ることが必要です。
メモや記録を取ることで、情報共有がスムーズに進み、ミスを防ぐことができます。
伝える内容を明確にする
コミュニケーションがスムーズに進むためには、伝える内容を明確にすることが大切です。
曖昧な表現や言葉遣いを避け、伝えたいことを明確に伝えるようにしましょう。
確認する
コミュニケーションがスムーズに進むためには、確認することが重要です。
相手が理解しているかどうかを確認し、誤解を防ぎましょう。
人前で批判しない
人前で批判することは避けるべきです。
批判的な発言や態度が、チーム内の雰囲気を悪くすることがあります。
必要であれば、プライベートな場所で話し合うようにしましょう。
聞く姿勢を持つ
コミュニケーションがスムーズに進むためには、聞く姿勢を持つことが大切です。
相手の話をしっかりと聞き、理解しようとする姿勢が大切です。
これらのコミュニケーションのルールを守り、相手とのコミュニケーションをスムーズに進めることが、介護現場での業務をより効率的に進めるために重要です。
コミュニケーションを大事にしない介護施設の末路は
コミュニケーションを大事にしない介護施設の末路は、以下のような問題が発生する可能性があります。
スタッフ同士の不和
コミュニケーションが不十分な場合、スタッフ同士の意思疎通がスムーズに進まないため、トラブルや不和が生じる可能性があります。
また、スタッフ同士がお互いに信頼関係を築けていない場合、チームワークの低下につながることもあります。
利用者さんとの信頼関係の低下
利用者さんとの信頼関係が非常に重要です。
スタッフ同士の不和が利用者さんに伝わることで、施設全体の信頼性が低下することもあります。
業務の遅れやミスの発生
コミュニケーションが不十分な場合、情報共有がスムーズに進まないため、業務の遅れやミスが発生する可能性があります。
利用者さんの健康状態や治療方針などの情報の不足や誤解が生じると、利用者さんの健康に深刻な影響を与える可能性があります。
今後、とるべき行動
コミュニケーション不足は、職員のストレスレベルを上げてしまい職員は退職していきます。
でも、役職者でないならどうすべきでしょうか。
コミュニケーションを大事にしない介護施設で働いている場合、スタッフ同士のトラブルや業務の遅れ、利用者さんとの信頼関係の低下など、さまざまな問題が発生する可能性があるため、働き続けることはストレスや精神的な負担がかかることがあります。
もし改善の見込みがないのなら、自分自身のキャリアプランや健康面を考慮して、他の介護施設への転職を検討することも必要かもしれません。
ただし、転職をする場合でも、今いる職場での問題や課題の改善を促すためにも、コミュニケーション力やチームビルディング能力を身につけることは重要です。
自己啓発書籍やセミナー、研修などを活用して、自分自身のスキルアップに取り組むことで、あなた自身でよりよい職場環境を作ることができるかもしれません。
もし転職を考えるなら転職前には今後の自分のキャリアビジョンや希望する職場環境を明確にしておくことが重要です。
また、転職をする際には、前職での経験やスキルを生かせる職場や、自分が望む働き方ができる職場を選ぶことが大切です。
僕は転職サイトに登録することを推奨しています。
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それではこれで終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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