こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。介護業界で働く人の給料が上がっていません。今のままでは人手不足に拍車がかかり、人手不足倒産する事業所が相次ぎます。
【介護業界の未来】このままでは人手不足が想像を絶するものになる【給料アップが不可欠】
筆者
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
介護職員の給料は上がっていません。あげられないのには理由があります。
そして、このままでは介護職を離れる人が相次ぎ、倒産する事業所が続出します。そうなると介護を受けらない要介護者も大勢出てしまうので、何らかの施策が不可欠です。
この記事ではこういったことを具体的に解説してます。是非、最後まで読んでみてください。
この記事を読む価値
- 各産業の賃上げ状況がわかります。
- 未来の介護業界がどのくらい人手不足になるかがわかります。
- 介護業界で働く人の給料が上がらない理由がわかります。
早速、見ていきましょう。
各産業の賃上げがすごい!
以下の資料を読んでみてください。
「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、ことし3月から国内の社員の年収を最大でおよそ40%引き上げることを決めました。
国内と海外の報酬の差をなくし、能力や実績などに応じた形にすることが目的で、物価の上昇も踏まえつつ、国際的な人材獲得競争に対応する狙いがあるとしています。
日本生命は営業職員およそ5万人を対象に固定給と成績に応じた「成果給」を合わせた全体でことし7月から7%程度引き上げる方向で労働組合と調整に入る方針です。
またビールメーカーの間では、ベースアップを検討する動きが相次いでいます。
サントリーホールディングスはことしの春闘で5年ぶりにベースアップを行う方向で検討を進めていて、定期昇給分などを含め平均6%程度引き上げる方向で労働組合との交渉を進める方針です。
また、アサヒビールがベアを含む平均5%ほどの賃上げ、サッポロビールもベアを行う方向で検討しています。
このほか製造業では、キヤノンが20年ぶりに基本給を一律で引き上げる事実上のベースアップを行う方針を決めたほか、NECが総人件費を3%あまり増やした去年と同じ規模での賃上げを続ける方針を示しています。
また、三菱自動車工業が物価上昇に対応する支援金として最大10万円を支給するなど、一時金の形で待遇の改善を進める動きも出ています。
JAM集計によると、大手企業は平均で4.5%のアップをする予定です(2023年3月15日時点)。
またUAゼンセンによると、パートの賃上げは5.9%になる予想です(2023年3月時点)。
最低賃金は、2016年から毎年3%以上アップしています(新型コロチの影響があった2020年を除く)。3月15日に岸田首相は、最低賃金を今年1,000円へ上げる目標を示しました。
では介護業界はというと、実は令和3年度の段階では、前年度よりも下がってしまっています。
画像引用:賃金構造基本統計調査
厚生労働省の調査では、介護職と他産業との賃金差は7万円となっています。
ただし、介護職員の夜勤者の賃金をそのまま計算しているのであれば、実質の差はもっと大きくなるはずです。
未来の介護業界の人手不足は、想像を絶するものになる
以下は厚労省の資料で、人材不足を示したグラフです。
画像引用:厚労省HP
2025年約32万人、2040年約69万人の介護職員が必要との試算がなされています。
つまり、毎年、約5万人以上の介護職員を確保しなければなりません。
そして、さまざまな産業で人手不足が顕著になっており、人材の争奪戦が激化しています。
リクルートワークス研究所は、2040年には国内で1,100万人の人材が不足し、最も人材が不足する業種として介護を挙げています。
また、介護サービス事業者で組織する11の団体の独自の調査では、「賃上げの状況から、昨年度に介護現場を離れて他産業へ行った人が前年度比で約30%増えた」とも報告しています。
このままでは、未来の介護業界は想像を絶する人手不足になってしまします。
2022年は倒産と休廃業・解散が過去最多
まずはこちらをご覧ください。
2022年は倒産も過去最多の143件を記録し、倒産と休廃業・解散の合計は638件と初めて600件台を超えた。
ヘルパー不足や競争激化に加え、コロナ下の感染防止から利用控えが進んだほか、物価高の影響で事業継続を断念する介護事業者も相次いだ。
2024年度は介護報酬の改定が予定されるが、大幅なプラス改定は期待できず、本格化する高齢化社会に備え、介護事業者の経営力強化は重要さを増している。
だが、コロナ禍で資金面を含めて体力が疲弊している小・零細事業者も少なくない。
コロナ関連支援の縮小も進行し、2023年は先行きの厳しさから休廃業・解散がさらに増加する可能性も高まっている。
引用:東京商工リサーチ
倒産と休廃業・解散の要因をまとめる以下のようになります。
- 人手不足
- 事業者間の競争の激化
- コロナ禍による“利用控え”
- 感染対策費の増大
- 物価高騰
具体的には、利用控え、濃厚接触・感染によるキャンセル、複数人の感染発生による休業などで収入は低下しています。
新型コロナ対応で、複数回の体調管理、各設備・場所の消毒作業、手指消毒や予防物の着用などの感染予防行為、感染予防機器の管理など、介護現場は通常業務に加え、非常に多くの業務が付加されました。
感染者・濃厚接触者の自宅待機による残業時間の増大と時間外手当の急増もあります。
そして物価高騰(ガソリン代、水道光熱費、感染対策費用など)によって経費は上がり、2重苦3重苦になっています。
さらに、人材獲得競争の激化により求人に要する費用もアップしています。
この他にも東京商工リサーチでは、国の支援策の効果が薄れてきたことも要因のひとつとされています。
「コロナ禍で疲弊している小・零細事業者は少なくない。関連支援策の縮小も進行し、今年は先行きの厳しさから休廃業・解散が更に増加する可能性が高まっている」述べています。
その結果、WAM (福祉医療機構)の令和3年度決算の調査では、5ヶ年調査継続事業所で49%と約半数が赤字でした。
また2023年には更に経費が上昇し、介護事業所の経営に厳しさが一層増します。
このままま物価高が続くと小規模事業所を中心に倒産がさらに広がる可能性があるとしています。
ほかの業界では、ワークライフバランス、健康経営などの取り組みも進んでいますが、介護業界は、「それどころではない」状態です。
このままでは「介護崩壊」で本当に大変なことになります
要介護者の多くが、介護が受けられなくなる
要介護認定者数は、2040年〜2042年に最大になると予測されています。
職員確保は時を経るごとに職員不足は激化していきます。
2022年は過去最多の倒産・休廃業数でしたが、今後も人手不足倒産が相次ぐことが予想されます。
そうなると介護が必要な要介護者の多くが、介護が受けられないという状態になってしまいます。
すでに現状でも「訪問介護」「中重度者への介護」は人材不足からサービス提供を避けられる傾向にあります。
このままでは良い介護を提供する施設は限定され、そこで介護が受けられるのは数少ない限られた人だけとなります。
職員確保の具体策
今は、お金をかけるとそれなりの反応がきます。
でも前項でもお伝えしたように、人手不足が加速する未来では、お金をかけたからといって必ず人材を確保できるとは限りません。
おすすめの採用方法を別の記事に詳しく記載しているので、こちらの記事もご覧ください。
職員不足のさらなる激化のため、国も介護職員の待遇をどんどん良くしていくはずです。
今の介護職員の処遇アップは3つの加算でできています。
まずはこれらの加算をすべて算定すること、そして今後出てくる新たな処遇改善加算にも柔軟に対応していくことが必須になるかと思います。
おわりに
いかがだったでしょうか。
介護が必要な人が介護サービスを受けられなくなる「介護崩壊」は「介護離職」を引き起こし、さらなる人手不足・人材争奪戦を引き起こします。
「介護離職者」は職場復帰、正規雇用復帰が困難で低所得になりやすく、働き手の減少と社会保障費の増大につながり、経済面にも大きなダメージを与えます。
厚労省や経産省の方々は、これらについて予想しているので、今後必ず何らかの施策が出るはずです。
生き残る介護施設にするには、情報収集を怠らず、柔軟に素早い対応が求められます。
まずは2024年の改正に注目してみましょう。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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