本ブログでは介護施設・介護事業所においての、災害発生時に必要な心構えや、災害発生前や発生直後に求められる対応を記載します。
そもままコピペで施設のマニュアルにできる内容です。
ただし、介護保険サービス全般に共通する内容なので、具体的なことは御施設の内容を取り入れる必要があります。
施設運営に少しでもお役立てできれば幸いです。
この記事を読む価値
- そのままマニュアルとして施設に保管できるような内容です。
- 研修資料としても役立てれます。
- 難しい表現は省いているので、誰でも理解できる内容です。
早速、見ていきましょう。
防災への心構え
災害の対応にはさまざまな「判断」が必要になります。
災害が発生した際に、「上司がいないのに、判断をしないといけない…」といった急を要することもあるかと思います。
よって普段から災害時の準備を入念に行っておく必要があります。
災害発生時に想定される被害は、介護サービスや施設ごとに異なります。
備蓄品をどこに保管するか、利用者はどこに非難すべきか、入居者は施設内のどこに集まっていただくか(各階か、上階か避難場所か)、誰に連絡したらよいのか、などは様々です。
すべて個々に計画をたてて、それに基づいた災害訓練を行う必要があります。
そうすることで、いざというときに適切な判断や対応をすることができます。
意味のある訓練を継続的に実施し、入居者や利用者(以下。入居者等と省略)・職員を守れる体制を常に整えておきましょう。
災害前の準備
施設によって準備項目は異なります。
必要なチェック項目を検討し、あらかじめ決めておきましょう。
停電対策
- 非常用照明は30分程度で消えてしまう。懐中電灯、携帯発電機、ラジオなどの準備と配置場所の確認
- 各会社の緊急連絡先を把握(エレベーター会社など)
家具の固定
- 施設内の家具を固定し、転倒を防止しておく
- 家具が転倒した場合、入居者等や職員がケガをしてしまうだけでなく、避難経路が断たれ逃げ遅れてしまう可能性も考える
断水対策
- 入居者数や職員数を把握して飲水量を確保しておく
- 簡易トイレに使用できるような水を確保しておく(浴室に水をためておく等)
ガス停止対策
- カセットコンロ、ガスボンベの準備
- ガス復旧方法を確認
通信停止対策
- 日ごろから携帯電話を充電しておく
浸水対策
- ハザードマップで浸水リスクの確認
- 防水板の準備
交通手段がマヒした場合の対策
- 職員のシフト体制を確認
- 職員の通勤手段の確認
暴風対策
- 鉢植えなど風に飛ばされると危険な設置物の撤去
移動手段の確保
- 日ごろから車のガソリンの残量を確認
- タクシー会社の連絡先の把握
連絡手段の確認
- 緊急連絡先一覧の情報
- 施設内指揮系統の整備
- 職員の連絡先
- 関係機関の連絡先
- インフラ関係の連絡先
- 行政機関の連絡先
- 医療機関の連絡先
避難経路の決定
- どのような経路で避難するかを職員間で決定し、利用者様にも共有ておく
- また職員はどのような順序でどこを周り、どのように利用者様を避難させるか具体的に決めておく
- 避難場所と避難経路は、施設内に掲示しておくようにする
避難が必要な場合のマニュアル
災害といっても震災、火災、台風などさまざまなケースがあります。
災害発生時にあらかじめ決めておいたルール通りに冷静に行動できるよう、訓練を行いましょう。
避難の優先順位
避難する入居者等には優先順位が必要です。
優先順位はこのようになります。
- 独歩の方
- 認知症の方
- 車椅子の方
- 介助歩行の方
- ベッドで寝ている方
- 職員
優先順位は、「避難場所へ誘導しやすい方」から誘導するよう判断します。
まず自分で動ける人(独歩の方)から避難させていきます。
独歩が可能な方を一か所に集めて、先頭と最後尾に職員が付き安全を確保しながら誘導するのも一つの方法です。
その際は拡声器や笛などを使い、混乱防止に努めます。
ロープを使うのも有効です。
誘導後の避難場所には職員一人を必ず置いておくようにします。
もし認知症などで避難指示が入りずらい方ならば、最初に無理に避難させず、それ以外の人をまず誘導します。
その次に「歩いて移動できるけど時間がかかる方」の誘導に入ります。
歩行に介助を要する場合は、車椅子を使うのか、介助歩行にするのか事前に決めておき安全を確保しながら避難します。
そして最後に寝たきりの人を誘導します。
寝たきりの人はシーツにくるんで3人で移送が必要です。
出入り口から近い順か、もしくは体重の軽い人から避難させます。
担架を使用する場合は、複数人でご利用者を持ち上げ、その下に担架を差し込みます。
持ち上げる時は声を掛け合い、水平にゆっくりと持ち上げます。
担架での移動は下記の点に注意しましょう。
- 平地では足側を進行方向にする(搬送者は前後で異なる足を出すと揺れが少ない)
- 階段昇りでは頭側を進行方向にする
- 階段下りでは足側を進行方にする
火災が発生した場合
- 発見(火事)
- 呼びかけ
- 通報
- 誘導
- 点呼
- 消火
- 救護
①➡⑦の順で動きます。
具体的には下記のような行動をしましょう。
- 発見者が大きな声で「火事だー!!」と周りに知らせる
- 発見者は責任者(管理者)に火事の状況を簡潔に報告する
- 周りのスタッフは慌てることなく、入居者等に落ち着くように働きかける
- 119に「火災です」通報する
- 住所、施設名、氏名、連絡先、対象物がどのように燃えているか、を慌てずに正確に伝える(電話の近くにこれらの項目が書かれたものを張っておく)
- 誘導は優先順位通りに行う(災害前に色分けしておくのも有効)
- あらかじめ決められた避難経路に沿って誘導する
消火は初期消火のみで、天井まで炎が達したら消火班も避難を始めましょう。
最後に避難場所での点呼をします。
点呼者(管理者)は最後に施設内の逃げ遅れがないかを確認しましょう。
災害発生後に必要な対応
災害が発生したら、すぐに下記の対応を行いましょう。
- 入居者等・職員の安否確認
- 一か所に集まる
- 避難経路の確保
- エレベーター内を確認
- 備蓄品をまとめる
役割分担をだれが行うかあらかじめ決めておき、手分けして迅速に行えるようにしておくことも大切です。
①入居者等・職員の安否確認
まず最初にすべきなのは安否確認です。
入居者等にけが等はないか、職員が全員無事かを確認します。
②一か所に集まる
災害時はナースコールが使えません。
安全を守るために一か所に集まり、見守りがしやすいようにします。
③避難経路の確保
地震の際には、扉や非常口を開けます(余震で開かなくなる)。
また避難経路に物が落ちていないか、棚なが倒れていないかを確認します。
④エレベーター内を確認
エレベーター内に誰かが閉じ込められていないか確認しましょう。
もしエレベーターに乗っていた場合は、近くの階から素早くエレベーターから降ります。
⑤備蓄品はまとめる
停電時に物を探すのが困難です。
照明器具が使えるうちに、水・食料・生活消耗品などの備蓄品を集めておきましょう。
もし施設内に医療機器使用の方がおられるなら、医療機器の状況確認も必要です。
医療機器の誤作動がないか、充電(バッテリー)の残量は十分かを確認します。
避難訓練実施状況チェックリスト
避難訓練実施の際に、チェックするポイントです。
- 素早く避難できたか(避難時間を測定)
- 逃げ遅れた者はいなかったか
- 役割分担※どおり素早く動けたか
- 管理者(サービス管理責任者)の指示は的確だったか
- 落ち着いて行動できたか
- 毎年避難訓練を行えているか 毎年○月と△月の2回
- 日中のみでなく、夜間発災した場合の避難訓練も行えている
- フィードバックを全従業者と共有できたか
できる限り職員と入居者等は全員参加し、必ずフィードバック(振り返り)を行いましょう。
※役割分担の例
総務班
- 他の業務班との連絡調整
- 事業所内外の安全確認
情報班
- メディア、行政等からの情報収集、調整
- 近隣の事業所との調整
避難班
- 避難場所・避難経路の安全確保(障害物の撤去含)
- 利用者の誘導・避難
- 事業所内点検や浸水予防措置の実施
- 避難終了後の確認(負傷・逃げ遅れ等)
救護班
- 負傷者の救護
- 医療機関との連絡調整
物資班
- 重要書類の搬出
- 非常食料、飲料水等備蓄品の搬出
これは一般的な避難訓練の例です。
施設に合ったものに作り替えてください。
おわりに
災害は、火災・震災・台風などさまざまです。
各々の災害時に対して、どの準備や対応をすればよいか細かく準備しておき、それに応じた訓練をすることで意味のある避難訓練になります。
このマニュアルを参考に、御施設の独自の方法でフローチャートを作成することをお勧めします。
また本記事では記載しませんでいたが、災害時対応マニュアルには、以下のような項目を記載することも重要です。
- 消火訓練と消火器の使用方法
- 重症者の移送方法
- 非常用発電機や給水ポイントの利用方法
それではこれで終わります。
本記事を1つの参考として、御施設の非常災害時対応マニュアルが意義深いものになることを願っています。
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