筆者(とも)
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
介護の現場では、認知機能の低下や恥ずかしさなどから入浴を拒む方がいらっしゃいます。
利用者さんが「なぜ入浴を嫌がるのか」、「どうすれば気持ちよく入浴してもらえるか」を考えるのは、ケアスタッフにとって大事なことです。
入浴拒否への万能な対策方法はなく、利用者さん一人ひとりの背景や状態を理解し、身体的・精神的な理由に応じた工夫が必要です。
利用者さんの価値観に配慮し、工夫を重ねながら、事業所全体で「入りたくなるお風呂作り」に取り組みましょう。
この記事が、その一助となれば幸いです。
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この記事を読む価値
- デイサービスの入浴介助研修にすることのできる資料です。
- ワークを入れると30分程度の内容です。
- 難しい表現等はありません。
それでは早速、見ていきましょう。
身体的な理由と対応
入浴は体力を使うため、利用者さんが疲れないような配慮が必要です。
特に体力が低下している高齢者や心臓に負担のある方には、温度や時間に注意し、適切な介助を行いましょう。
また、スタッフ間で体調が急変した際の対策を共有することが大切です。
入浴前後に休息を取ってもらい、体調に合わせた入浴を心掛けましょう。
- 入浴前: 体力を温存する
- 入浴中: 利用者さんに合った温度と時間で介助
- 入浴後: 直後の食事は避け、ゆっくり休む
このような配慮を繰り返すことで「次もまた入りたいな」と思ってもらうことが大切です。
精神的な理由と対応
入浴に対する不安や羞恥心も、拒否の一因です。
知らない人に介助されると緊張するため、利用当初の拒否は仕方が無いかも知れません。
徐々に関係性をつくり、そして顔なじみのスタッフが担当し、安心感を与えることが大切です。
また、ご自宅の浴室に似た環境を作る工夫や、入浴の手順を説明することで不安を和らげるような配慮もできます。
- 自宅で使用している物品を準備
- 入浴手順を絵や文字で表示し、説明する
入浴に不安を感じる方への対応
認知機能が低下した方は、知らない場所で入浴することへの不安を感じることがあります。
この場合、「お風呂に入る」という表現を避け、別の方法で入浴に導く工夫が必要です。
また、ご家族やスタッフと協力し、無理に入浴させるのではなく、ゆっくりと取り組みましょう。
- ご家族に協力してもらい、連絡帳に「今日は入浴してきてね」と書いてもらう
- 足のオイルマッサージをしてから洗い流す
羞恥心に対する配慮と対策
多くの方は、他人の前で衣服を脱ぐことや裸を見られることに羞恥心を感じます。
このような状況に対しても、慎重に対応し、安心して入浴してもらえるよう工夫が必要です。
衣服を脱ぐことへの抵抗
脱衣に対する抵抗を感じる方には、他人の視線を避けられるようにする工夫が有効です。
例えば、介助者が見えない場所に待機したり、他の作業をしながら声かけをすることで、利用者さんが安心して衣服を脱ぐことができるようにします。
裸を見られることへの羞恥心
裸を見られることに抵抗がある場合は、肩や足の付け根にタオルをかけるなどして、恥ずかしさを和らげる工夫をします。
また、陰部を洗う際は、できるだけご本人に行ってもらい、必要な場合には「失礼します」と一声かけてから介助を行うことで、気持ちに寄り添う対応を心がけます。
服を脱ぎたくなる状況の作り方
利用者さんが自発的に服を脱ぎたくなるような状況を作ることも重要です。
例えば、身体が温まる活動や汗をかく作業を行った後に入浴を勧めると、自然に衣服を脱ぐ流れを作りやすくなります。
また、冬場の寒さによる拒否に対しては、室温を快適に保つことで抵抗感を減らすことができます。
- 軽い運動や体操を行った後に、入浴に誘導
- 「背中に湿布を貼りますよ」、または「薬を塗りましょう」と声をかけ、自然と衣服を脱ぐ流れを作る
着脱のサポート
服の種類や脱ぎ方に配慮し、利用者さんが着脱しやすい方法を見つけることも大切です。
脱衣を意識させずに、部分的に声をかけながら進めることで、スムーズに着脱ができる場合もあります。
また、音楽や歌を使って意識を逸らすのも有効な方法です。
- 「袖から腕を抜いてください」など、動作に合わせた部分的な声かけ
- 感情を落ち着かせられるような音楽を流す
介助方法の工夫
浴槽への出入りに苦労される方にはバスボードやバスグリップを使ったり、
浴槽内で不安定になる方に対しては浴槽台や入浴サポートクッションを使ったりしながら、安心できる環境を作ります。
また、歩行に対して不安が強い方には滑り止めマットやシャワーキャリーを使うことなどもできます。
福祉用具を適切に使うことで安心感をもっていただき、それが入浴拒否への解消につながるケースもあります。
福祉用具について詳しく知りたい方は、コチラの記事を参考にしてください。
ワーク
それではワークをします。
まずは、個人ワークからです。お題は2つです。
① 利用者さんの入浴拒否があった場合、どのような対応を心がけていますか?
- 身体的な理由での拒否
- 精神的な理由(不安や羞恥心)での拒否
② 介助方法にどのような工夫をしていますか?
次にグループワークです。
グループごとに分かれ、発表し合いましょう。その後、質問や提案などをして、知識をより深めていきましょう。
個人ワークを10分、グループワークを10分程度に設定しましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
入浴拒否は、介護現場でよく見られる課題です。
利用者さん一人ひとりの背景や状態を理解し、身体的・精神的な理由に配慮しながら、柔軟な対応が求められます。
本記事を参考に、利用者さんの気持ちに寄り添いながら、快適な入浴を提供するための工夫を実践してみてください。
皆さんのケアが、利用者さんにとって「入りたくなるお風呂作り」につながることを願っています。
それではこれで終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
「他にも入浴介助研修の資料となるブログを見たい」という方は、コチラを参考にしてください。
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