こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。介護施設でもハラスメント対策は必須です。「指針等がまだない」もしくは「古すぎて役に立たない」などの場合は急ぎましょう。
【介護施設も必要】セクシャルハラスメント対策に関する法令の定めについて
筆者
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
セクシャルハラスメント(以下、セクハラ)に対する指針を整備しておくことは会社の義務です。
平成19年の男女雇用機会均等法の改正により事業主の義務とされています。
措置がきちんと講じられているか、その内容は男女雇用機会均等法に則したものなのか、 チェックするために役立つ記事を書きました。
御社のハラスメント対策に少しでも役立てていただければ幸いです。
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この記事を読む価値
- セクハラ対策のために必要な措置の内容がわかります。
- 具体例などもあるので、措置への対応はこの記事ですべて完結できます。
- 5分で読めて、理解できる内容です。
早速、見ていきましょう。
セクハラ対策の為の3つの措置
男女雇用機会均等法では、事業主に以下の3つの措置を講ずることが義務付けています。
- 事業主の方針の明確化。およびその周知・啓発
- 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- セクハラに係る事後の迅速かつ適切な対応
それでは今から、具体的に解説します。
① 事業主の方針の明確化。およびその周知・啓発
セクハラ防止でまずすべきことは、「職場におけるセクハラは絶対に許さない」という極めて明確な方針を打ち出し、それを全スタッフに周知し、啓発することです。
抑えるべき点は以下の2つです。
1、セクハラの内容およびセクハラがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
例:
⑴ 就業規則その他の服務規律等を定めた文書において、職場におけるセクハラがあってはならない旨の方針を規定し、職場におけるセクハラの内容と併せ、全スタッフに周知・啓発すること
⑵ 社内報、バンフレット、社内ホームページ等広報または啓発のための資料等に職場におけるセクハラの内容および職場におけるセクハラがあってはならない 旨の方針を記載し、配布等をすること
⑶ 職場におけるセクハラの内容および職場におけるセクハラがあってはならない旨の方針を労働者に対して周知・啓発するための研修、講習等を実施すること
2、セクハラに係る性的な言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針および対処の内容を就業規則等に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
例:
⑴ 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、職場におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者に対する懲戒規定を定め、その内容を労働者に周知・啓発すること
⑵ 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者は、現行の就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において定められている懲戒規定の対象となる旨を明確化し、これを労働者に周知・啓発すること
就業規則への記入例は以下のようになります。
第〇条 社員は次の行為をしてはならない。
(1)…
(2)…
(3) 職務上の地位を利用して、他の従業員に交際を強要するなど、性的な強要を行ったり、性的言動により不快な思いをさせること
(4) 性的な言動により、職場環境を悪化させたり、他の従業員の業務 に支障を与えること
(5) <以下略>
第△条 社員が次の各号の一に該当するときは、第◎条に定める懲戒処分に処する
(1)…
(2)…
(3) 職務上の地位を利用して、他の従業員に性的な強要を行い、または性的言動により不快感を与えたとき
(4) 性的な言動により、他の労働者に対して不快な思いをさせ、または職場環境を悪化させるなど、会社の秩序・規律を乱し、またはその恐れのあったとき
(5) <以下略>
② 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談への対応のための窓口(以下、相談窓口)の設置は、職場におけるセクハラの未然防止、再発防止の観点からも重要な機能を果たします。
抑えるべき点は以下の2つです。
1、相談窓口をあらかじめ定めること
- 相談に対応する担当者をあらかじめ定めること
- 相談に対応するための制度を設けること
- 外部の機関に相談への対応を委託すること
2、相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、相談窓口においては、 広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること
- 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容は状況に応じて、相談窓口の担当者と人事部門とが連携を図ることができる仕組みとすること
- 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、あらかじめ作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応すること
③ セクハラに係る事後の迅速かつ適切な対応
抑えるべき点は以下の3つです。
1、事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること
- 相談窓口の担当者、人事部門または専門の委員会等が、相談を行ったスタッフ(以下、相談者)および職場におけるセクハラに係る性的な言動の行為者とされる者(以下、行為者)の双方から事実関係を確認すること。また、相談者と行為者との間で事実関係に関する主張に不一致 があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること
- 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、男女雇用機会均等法18条に基づく調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛争処置を委ねること
2、職場におけるセクハラが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置、行為者に対する措置をそれぞれ適正に行うこと
- 事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復、管理監督者または 事業場内産業保健スタッフ等による被害者のメンタルへルス不調への相談対応等の措置を講ずること
- 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書における職場におけるセクハラに関する規定等に基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずること
- 男女雇用機会均等法18条に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を講ずること
3、あらためて職場におけるセクハラに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること
- 職場におけるセクハラがあってはならない旨の方針および職場におけるセクハラに係る性的な言動を行った者について厳正に対処する旨の方針を、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報または啓発のための資料等にあらためて掲載し、配布等をすること
- 労働者に対して職場におけるセクハラに関する意識を啓発するための研修、講習等をあらためて実施すること
上記①〜③とあわせて講ずべき措置
抑えるべき点は以下の2つです。
1、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること。
- 相談者・行為者等のプライバシー保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談を受けた際には、当該マニュアルに基づき対応するものとすること
- 相談者・行為者等のプライバシー保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと
- 相談窓口においては相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報、バンフレット、 社内ホームページ等広報または啓発のための資料等に掲載し、配布等をすること
2、セクハラに関し相談をしたこと等を理由として、不利益な取り扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
- 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書において、労働者が職場におけるセクハラに関し相談 をしたこと、または事実関係の確認に協力したこと等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益取り扱いをされない旨を規定し、 労働者に周知・啓発をすること。
- 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報または啓発のための資料等に、労働者が職場におけるセクハラに関し相談をしたこと、または事実関係の確認に協力したこと 等を理由として、当該労働者が解雇等の不利益な取り扱いをされない旨を記載し、労働者に配布等をすること。
これらがすべて整っていることで「措置義務履行」であるといえます。
逆に一つでもできていなければ「措置義務不履行」です。
相談窓口について
セクハラ措置義務として、相談に応じる適切な体制の整備が求められています。
これは、セクハラ相談窓口さえ設置しておけば安心ということではありません。
窓口を形式的に設置しただけでは足りず、相談に対してきちんと機能し、対応してくれるものでなければ意味がありません。
したがって、相談窓口をどこにすると定めるだけではなく、窓口で相談を受け付けた場合の業務フロー、具体的には、セクハラの事実調査が必要と判断された場合に、どの部署がそれを担当するのか、配置転換や懲戒の発動も考えられるとすれば、それらを担当する部署とも連動して対応する体制を整えるか、など一連の相談の流れを明確に定めておくのが望ましいといえます。
また、相談窓口の存在を労働者に周知していなければ、活用されません。
相談窓口を周知し、労働者がアクセスしやすい方法で対応できるような工夫も望まれます。
相談窓口には、実にさまざまな相談が寄せられます。
セクハラとは関連がない事案であったり、あるいはセクハラとまではいえないが、その発生の恐れがあると判断される事案であったり、早期に対応が望まれる事案であったりです。
相談担当者はその事案の状況を的確に判断して、その内容に応じて望まれる対応をとる必要があります。
ときには状況を注意深く覓守ることが望ましい場合や、行為者に対して未然に問題を防ぐベく注意を促したほうがよい場合もあります。
相談窓口において、「これはセクハラではない」と門前払いをする対応は好ましくありません。
セクハラの未然防止の目的もあるのですから、その対象は広くしておくことが望まれます。
そしてどの事案に対しても、相談担当者は公正かつ真摯に対応することが必要です。
相談窓口が、労働者から信頼される制度となることが一番重要であり、相談をした労働者が、相談担当者の言動によって、さらに被害を受ける(いわゆる二次セクハラです)ことなど決してないようにしなければなりません。
相談窓口におけるプライバシーについて
セクハラ相談窓口が必要な調査を行うに当たっては、相談者、行為者のプライバシーが守られる制度とするのは大変重要です。
相談者が相談した内容が職場に知られていたり、行為者の行動が職場でうわさになっているなどすれば、相談窓口に安心して相談することなどできませんし、職場でうわさになることを恐れて、関係者は事実を報告しないかもしれません。
これでは、相談窓口はその機能を失います。
したがって、一連の調査の内容は守秘義務によって守られることが、相談窓口制度の信頼性を担保するために大変重要であり、相談担当者はこの点をしっかり自覚するべきです。
相談窓口は相談者らのプライバシーを保護することを記載し、それを周知することも重要ではありますが、相談窓口の体制が整っておらず、実際には相談者等のプライバシーが守られていない状況であれば、措置義務を尽くしたことにはなりません。
外形だけではなく、内容も伴うことが必要です。
セクハラ対策研修の内容について
セクハラ研修は、そもそもセクハラ事象が起きることを防ぐという大変重要な目的を持っています。
セクハラ対策の第一は、予防です。
セクハラ研修において、どのような内容を具体的に盛り込むかについては、事業主の判断に委ねられています。
しかし研修で、「セクハラはいけないことだ」と抽象的に伝えるだけでは、教育として十分とはいえません。
具体的な事例を示したり、「何をしてはいけないか」ということを明確に内容に盛り込まなければ、労働者 の理解が進まず、セクハラの予防のための実効性がありません。
「セクハラはしてはいけないことだ」という認識を職場に浸透させるに は、まず上位者層がその認識を正しく持ち、部下に対しても指導していく ことが必要です。
そのため、研修や講習については、職場の実態を踏まえた上で実施し、管理職層を中心に職階別に分けて実施することなどが効果的です。
おわりに
いかがだったでしょうか。
この措置は、セクハラ事案が生じた場合に即座に対応できる相談体制の整備を行うことを義務付けるとともに、事後対応において留意すべき点を細かく定めており、迅速かつ適切に事後に対応することの大切さを示しているものともいえます。
もし、まだセクハラ指針が整備されていないのであれば是非、この記事を参考に作成してください。
それではこれで終わります。
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