筆者(とも)
記事を書いている僕は、作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。
日々忙しく働かれている皆さんに少しで
もお役立てできるよう、介護職に役立つ情報をシェアしていきたいと思います。
読者さんへの前おきメッセージ
介護施設の運営において、利用者さんやご家族等からの苦情は必ず発生します。
苦情を適切に対応することは、施設サービスの品質を向上させるきっかけすることもできます。
しかし苦情に対して不適切に対応すると信頼は損なわれ、更なる苦情に発展してしまう場合もあるので慎重な対応が必要です。
本マニュアルが御社の施設運営に、少しでもお役立てできれば幸いです。
研修動画
本ブログ記事と同じ内容の動画です。
研修等で役立ててください。
この記事を読む価値
- そのままマニュアルとして施設に保管できるような内容です。
- 研修資料としても役立てられます。
- 難しい表現は省いているので、誰でも理解できる内容です。
早速、見ていきましょう。
苦情の定義
本マニュアルにおける「苦情」とは、
職員が提供したケア及び相談援助等に対する不満、またはサービスを利用する上で生じる何らかの不都合、不利益などへの訴え等を「苦情」とします。
苦情解決の目的
苦情相談への適切な対応によって、利用者様の満足度を高めるとともに、利用者様個人の権利を擁護し、利用者様が介護サービスを適切に利用できるよう支援します。
本マニュアルは、社会福祉法第82条の規定をふまえて適切な対応を行うことにより、利用者様が安心して生活できる環境を整え、迅速な改善を図るための対応手順及び留意事項を定めるものです。
苦情を隠さず、社会性や客観性を確保し、本マニュアルに沿った方法で対応を進めることにより、円満な解決の促進や介護施設の信頼や適正性の確保を図ります。
基本的な心構え
利用者様やその関係者(以下、苦情申出人)からの苦情に対応する際、苦情受付担当者その他職員は、次の事項に留意します。
- 苦情内容の中には、介護保険制度の範囲外の案件もあるので注意して聞き取る。
- 説明が必要なときは、専門用語をできるだけ避ける。
- まずは事実確認を十分に行い、事実に基づいて対応する。
- 感情的にならずに常に冷静になる。
- 言い分に対しすぐに否定しない。
- 復唱する等の確認を行う。
- 高圧的になり、相手を言い負かそうとしない。
- 苦情申出人のプライバシーの保護のため個室を使用する。
- 対面での苦情相談の際は、1人で対応せず、立会人1人を含む複数人で対応する。
- 苦情申出人を長く待たさず、正確・迅速・丁寧な対応を心掛ける。
- 苦情申出人の話しを、途中で遮らない。
- 苦情申出人が興奮している場合は、場所を移したり他の職員に参加してもらう。
- たらいまわしにしない。
- 不快な思いをさせたことに対して、謝罪する。
- 言いがかりに対しては、毅然とした態度をとる。
- わからないことはあいまいに答えず、上司に引き継ぐ。
- 事実確認や問題解決には、期限を明確にして後日回答するように伝える。
- できないことをはっきりと伝え、過大な期待は抱かせない。
- 苦情申出人や関係者のプライバシーを守る。
- 苦情は隠さず、透明性を確保する。
- 電話のよって苦情があった場合、必要に応じて速やかに直接面談の機会を設ける。
苦情解決体制
苦情申出人が苦情を申し出やすい環境を整えるため、次のような体制で受け付けます。
苦情解決責任者:施設長
統括責任者として、苦情解決責任者を設置します。
苦情解決責任者は、苦情内容を確認し、場合によっては第三者委員を招集し、苦情の直接原因の調査、分析を行い、解決策を検討します。
苦情受付担当者:生活相談員
苦情申出人からの苦情を受付ます。
苦情内容や利用者様の意向等を確認し、記録します。
受付けた苦情を、苦情解決責任者に報告します。
苦情受付担当者の不在時には、他の全ての職員が苦情を受付けますが、その場合、速やかに苦情受付担当者へ連絡し、状況を正確に報告します。
第三者委員
苦情解決に社会性や客観性を確保し、苦情申出人の立場等に配慮した適切な対応を推進す
るため 、第三者委員を設置します。
第三者委員の業務は以下のようになります。
- 苦情受付担当者からの受付けた苦情内容の確認
- 苦情内容の報告を受けた旨の苦情申出人への通知
- 苦情申出人からの苦情の直接受付
- 苦情申出人への助言
- 苦情申出人と苦情解決責任者の話し合いへの立合、助言
- 苦情解決責任者からの苦情に係ることの改善状況等の報告聴取
- 話し合いの結果や改善事項等の書面での記録と確認
苦情解決の手順
苦情解決には ① ➡ ④ の順に動きます。
① 関係者への周知
施設内の提示、パンフレットの配布等により、苦情解決責任者は利用者様等すべての関係者に対して、苦情解決責任者、苦情受付担当者及び第三者委員の氏名、連絡先や苦情解決の仕組みについて周知します。
② 苦情の受付
苦情受付担当者は、苦情を随時受付けます。また、第三者委員も直接苦情を受付けることもできます。
苦情受付担当者は苦情受付に際し、次の事項を書面に記録し、その内容について苦情申出人に確認します。
- 苦情の内容
- 苦情申出人の希望内容
- 第三者委員への報告要否
- 苦情申出人と苦情解決責任者の話し合いへの第三者委員の助言、立合の要否
③ 苦情に向けての話し合い
苦情解決責任者は、苦情申出人との話し合いにより解決に努めます。
その際、苦情申出人又は苦情解決責任者は、必要に応じて第三者委員の助言を求めることができます。
④ 苦情解決の記録、報告
苦情受付担当者は、苦情受付から解決、改善までの経過と結果について書面に記録します
苦情解決責任者は、必要に応じて苦情解決結果について第三者委員に報告し、必要な助言を受けます。
苦情受付記録様式
苦情内容、解決に至るまでの経緯、解決内容等はすべて記録に残しておきます。
苦情解決や改善を重ねることにより、サービスの質が高まり、運営の適正化が確保されるためです。
その記録は、2年間保存しておきます。(厚生省令第39号第37条第2項)
以下、苦情受付書・苦情受付通知書・苦情処理結果報告書のひな形を張っておきます。
参考にしてください。引用:鹿児島県社会福祉協議会
【苦情受付書】⇩
【苦情受付通知書】⇩
【苦情処理結果報告書】⇩
他の相談窓口
苦情申出人は、苦情の相談窓口として施設だけではなく次のような機関に相談することができます。
市町村 介護保険主管課等
市町村がサービス事業者に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を求め、若しくは依
頼し、または職員に質問若しくは照会をさせることができます。
事業者は市町村が行う調査に協力するとともに、指導・助言を受けた必要な改善を行なわな ければなりません 。
国保連合会
国保連合会は運営基準の規定により、サービスの質の向上に関する調査並びに事業者に対する必要な指導及び助言を行うこととされています。
必要に応じ、サービス事業者等から書類等を求め、現地で申出人との面談や事業所の調査を行います。
必要がある場合はサービス事業者に対し指導助言を行い、運営基準違反のおそれがある場合は、県との連携を図り、対応します。
対象案件としては、【市町村 介護保険主管課等】を超える案件になります。
県
県は、指定居宅介護支援事業者及び介護保険施設の指定権限を持つ機関として、苦情のあった事業者の実地指導、指定取り消し等の業務にあたります。
苦情の通報に対し、電話や文書、実地指導により事業者に報告を求めたり、帳簿書類の提出、従業者への質問などにより検査し、基準に違反していないかを確認します。
おわりに
いかがだったでしょうか。
マニュアルによって適切な対応と予防策を講じることで、利用者さんやご家族との信頼関係を築き、施設の評価を高められます。
そしてマニュアルは施設に保管しておくだけではなく、定期的に研修等で職員へ周知させ、苦情対応への準備をしておくことは重要だと思います。
その際はぜひ、本ブログを参考にしていただければ幸いです。
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